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バーベイン物語

とある企業
イベントの企画でディスプレイ部門の担当になったバーベイン
ラフもその一員です

あるショウルームのディスプレイ
バーベインは昔、フラワーデザインの仕事をしていた経験があるので、今回抜擢され、本人も腕の見せ所と張り切っています

イベントの会議では、魅せるディスプレイについて熱く語り、あれもしないとこれもしないと、と頭の中はとても忙しい様子

ディスプレイに関わる人は、動きやすい格好で、ウエストポーチはこんな形のが良くて、是非この道具を用意してほしい

と、過剰な程の提案をし、時間が経つにつれ、周りの人達は少し負担を感じるようになってきました

でも、必ずいいものを作り上げるから!と賛同を要求します

準備は進み、バーベインはここの場所はこの花がいいんだ、絶対にいいからこの花でやってみて!

ここの形はもっとこうする方がいい!

等々、あちこちに支持して、企業のディスプレイというより、バーベインのディスプレイのような雰囲気に、周りの人達は、なんとなく疲れを感じてしまっています

その様子もバーベインは感じとっているのですが、絶対良いディスプレイにするという自信があるので、自分の意見を押し通し、あれもこれもという発想は止まりません

残業はあたりまえの毎日、ディスプレイはだんだん終盤に差し掛かった頃、若い社員が、発した言葉

若い社員
とてもいい雰囲気、なんか懐かしい感じがして、ホッとします
まるで10年前にタイムスリップしたみたい

バーベイン
なぜそう思うんだ?

若い社員
昔母に連れられて行った美術館に、このディスプレイに似た絵がありました
母は、今はこんなのが流行ってるのよと教えてくれました

若い社員は褒め言葉として言ったのですが、バーベインは少しショックを受けているようです

他にも、若い社員が言った言葉に、頷く人もいました

ラフ
あともう少しで完成ね
この雰囲気活かして頑張りましょ

社員達は、そうだな、もうここまでやったんだから••

という気持ちで、仕上げに取り掛かります

バーベインは手を止めて、少し離れた所から、ディスプレイを見ていました

いよいよディスプレイが完成し、みんなが帰った後、ラフに問いかけます

バーベイン
さっき若い社員が言ってただろ
10年前にタイムスリップって

ラフ
そうね

バーベイン
ただただ、昔を思い出して、昔の感覚で、いいと思った事を全て出してみたんだ
そしたら、トレンドを追うディスプレイじゃなく、古いディスプレイになってしまった

ラフ
いいじゃない、レトロって事で
今はレトロっぽいのも個性的よ

バーベイン
ありがとう、そう言ってもらって、少し気が楽になったよ
今回は皆んなを疲れさせてしまった
次回は若い社員に提案してもらった方が良さそうだな

ラフ
きっとね、みんなこれからもバーベインを頼りにしてると思いますよ
次は若い社員に提案してもらったとしたら、それだったらこういうやり方をすればいいよ、とか、技術を教えてあげるといいんじゃないかしら
技術面では、バーベインはプロなんだから

バーベイン
そうだな
今の流行りを若い社員から学ぶって事も大事だしね

とバーベインは世代交代という、少しの寂しさを感じていましたが
若い社員にこれから伸びていってほしいという思いもあります

季節が変わり、また新たなディスプレイの企画では、若い社員の提案に耳を傾け、バーベインも純粋にその提案に賛成し、若い社員達を見守るかのように、いつも穏やかに手解きをし、作業は順調に進みました

そのディスプレイを見たあるカメラマンは、前回のもレトロ調で素敵だったけど、今回のはまた雰囲気が違って、トレンド先取りという感じ、この展開の速さ、デザインの幅の広さが評価され、雑誌にも取り上げられてました。

バーベインは、若い社員にこれからも自信を持って個性を出すといい、と

若い社員は、バーベインが指導してくれたお陰、これからもご指導宜しくお願いします、と

お互いを讃え合い、企業全体の雰囲気も良くなり、これから期待される企業の1つとなりました。

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