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知の大腸

教育訓練給付金で取ったフォークリフトの免許を活かしたいと思い、
フォークリフトオペレーターの仕事を探していました。
運送会社のブラックさに閉口したりしていた中、
古紙回収業者の構内作業員の募集がありました。
行った事も見た事もない業種でしたが、それはそれで経験になると思い、
面接を受けたら即合格、月曜から来てくれと相成りました。
人居ないんですねえ……

で、昨日初出勤でしたが、思いの外しんどいですね。
業務自体はそんなにしんどくないです。
力仕事はありますが、ずっと動きっぱなしでもないですし、
残業自体もほぼ無いです。家からバイクで10分の位置なんで通勤も楽。
では何がしんどいかと言うと、メンタルに来ます。

古紙を積んだでっかいダンプがどさーーーっと降ろして行くんですが、何せ古紙。
新聞や雑誌なんかだとまだいいんですが、書籍なんかも結構あります。
ハードカバーの新書や単行本、漫画に小説に百科事典。
いろんな本が紙ゴミに混じって存在してます。
これ、結構メンタルに来ます。本好きだと特に。

ここでは東野圭吾の小説だろうとのぶみの絵本だろうと
誰が出したかわからない同人誌だろうと同じ紙ゴミです。
キリスト教の聖書も督促状もおばあちゃんに宛てた子供の手紙だろうと同じく紙ゴミ。
ここに来る紙類は、情報を搾り取られ、残す価値がないとされた廃棄物です。
それらを一切合切まとめてプレス機で固めて出荷する。
ここはまさしく知の大腸であり、この固められた物は知のうんこ。
昨日今日は強い雨が降っており、そのせいでべちゃべちゃになっているのを見ると
うんこと言うよりは下痢の方が近いのでは? とも思えます。

正直、この仕事を続けられるかどうか微妙だなと思っています。
本をゴミとして扱うこの仕事。何だか価値観が変わってしまいそうで怖い。
さっき、俺が若い頃好きで読んでた小説が捨てられてるのを見かけてしまって
心がずーんと重くなりました。

そして俺の文章は、いつか捨ててくれるような形で残ってくれるんでしょうか。
書籍にもなっていない俺の文章。
まだ捨てられる価値すら付いていないんだ。

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