7/22 vs横浜Fマリノス(アウェイ・明治安田生命J1リーグ)

遂に訪れた13年ぶりのリーグ戦での横浜ダービー!昨シーズンのJ1王者にJ2で2位だった横浜FCが挑むわけですが、ダービーである以上負けられない!我らこそ真の横浜のフットボールクラブだ!という意気込みがTwitterのタイムライン上のあちらこちらで燃え盛っていました。

えー、実は私、小さい頃はマリノスが好きでして。厳密に言えば井原が好きだったので、オリジナル10の中ではマリノス派くらいの感じですが。そんなわけで、「あー、やっと戦えるんだなぁ」と感慨深く、「あの頃はこんな風になるとは思ってなかったなぁ」と独り言ちていました。いや、私17歳ですけどね。

ただ、「今度は天皇杯とかじゃなく、リーグ戦で本気の勝負だ!」という気持ちにもなれてないのです。「夏場に中3日だと、天皇杯とそんな変わらんよなぁ」と。ターンオーバーで挑むならそれこそ(気持ちはさておき)天皇杯と変わらないし、固定メンバーでも蓄積疲労で90分熱い戦いにはできないんじゃないかと……とにかく勝ちたいですけどね。


試合の感想

前節から少しメンバー変更はあったもののターンオーバーというほどでもない。マギーニョが右WBに復帰し、連続スタメン出場を続けていたルーキーの瀬古に代えて手塚がスタメンに。中山がベンチにもいないのはちょっと驚いた。松尾過労死確定である。誕生日の草野が遂にベンチ入り。今まで通りの戦い方で行く!というのが伝わってくるが、3日前にへとへとになっていた3CBと謙介は大丈夫なのかと不安である。

一方の横浜マリノスは、完全にターンオーバーとまでは言わないまでも、結構メンバーを入れ替えてきた。マリノスケをベンチに控えさせておく余裕がある選手層が羨ましい。

ここ最近は負けこんで順位は向こうが下とは言え、まずは攻撃を確立させようとした結果隙ができているというだけで、マリノスの攻撃力そのものはかなり高い。ネット上では扇原とフリ丸がお互い頑張ろう!みたいなことをやっているが、実際はどっちが先に相手の喉笛を食いちぎるかだ。スタミナや選手層を考えると、とにかく先制点を取って、あとはひたすら効率よく相手の隙を突く展開に持っていきたいところである。先制を許して攻めなければいけない展開になると、むしろ隙を突かれて大量失点しかねないので……

前半


大攻勢だ!!

みたいな感じで怒涛の攻撃を仕掛ける横浜FC。スライド式のマンマークで相手ペナルティエリア真正面の選手にまでマギーニョが寄せて行ったりするハイプレスをかけ、ボールを奪ったら相手のSB裏のスペースを突いてゴールに迫っていく。特にティーラトンの後ろのスペースを面白いように攻略し、光毅の惜しいシュートや立て続けのCKでチャンスを作っていたのは横浜FCだった。

対するマリノスも、それで戦い方を変えるわけでもなく、とにかくまだ未完成な攻撃の形を仕上げるのだと真っ向から応戦してきた。そういう意味では、サポでなくても見ていて面白い展開になっていたと思う。横浜FCがかなり優勢だったが仕留めきれず、いったん飲水タイムに。この時間までに先制しておきたかったのだが……

嫌な予感というのは当たるもので、右サイドからのクロスをクリアしようとした田代の足に当たってオウンゴールという形で先制点を献上してしまった。田代がオフサイドをアピールして目線を一旦切らしてしまったのは良くなかった。ちゃんとボールに集中していれば不安定な体勢で足を伸ばすことなく、普通にクリアできていたのではないだろうか?

その後も流れを取り戻せないまま前半は終了。立ち上がりと比べて守備に付ききれていないので、スタミナを考えると後半も正直不安をぬぐえない。

後半

なんとか追いつきたい横浜FCだったが、流れはどんどん良くない方向に進んでいく。繋ぎの部分でミスが出て相手にボールを渡してしまうとプレスが思うようにかからず、中盤で相手に繋がれるシーンが目立つ。また、相手外国人選手からボールを奪えず、狭いスペースでもパスを通されるようになり、リードされているにも関わらず守りの時間が続くことに。松尾が個人のスピードと技術で持っていくシーンもあったげ、決定的なシーンとまではならず。逆にマリノスには何度も危ないシーンを作られた。


その後立て続けにWBとCBの隙を突かれて2失点。2点目はオフサイドかどうか際どいシーンとはいえ、マギーニョは相手選手の前に入っていてほしかった。前に入り込まれた時点で負けている。3点目はもう最終ラインがバラバラの状態。星がラインを上げていればオフサイドを取れていたし、マギーニョがしっかり付いていればあんなにどフリーでシュート撃たれないだろとも言えるし。どちらが悪い、という話ではなく、そこで意思統一できずにバラバラの動きになってしまったことが、組織面でまだまだと言うことだろう。統率役の田代を前に引きずり出したうえでパスを通して見せた相手が上手だった。ウチとしては参考にすべき得点場面だったと思う。

4失点目は……マギーニョが9割がたボール奪取に成功していたのに、カバーに入った星がこぼれたボールに反応しきれずトンネルし、相手にすり抜けられたうえにマギーニョをブロックしてしまい中の人数も足りないというかなり見ていて情けない失点だった。

その後お互いに選手交代をしていくが、負傷交代の二人はさておき、マリノスケ投入で攻撃のアクセントを加えたマリノスと比べると、横浜FCは『疲れた選手を下げた』程度にとどまっていた。一応、それぞれ1度ずつくらいは見せ場はあったものの、流れは変えられず、4失点で試合終了。完敗としか言いようのないダービーマッチになってしまった。

全体的に

相手が強かった、としか言いようがない。って、前節と同じじゃんか!
上にも書いたようにマリノスはここまで調子が良くなかった。ただそれは、攻撃重視で守備バランスが崩れている、という話であって、攻撃力そのものは高いのである。勝つためには外人選手や仲川などの強力な攻撃を封じ込めるのが大前提であり、守備の隙を突いて先制し、それで攻撃せざるを得ない相手の隙を突いて負のスパイラルに陥らせることが必要だった。

実際、横浜FCの狙いはそれだったろうし、最初の20分は上手くいっていた。攻撃と守備の数的同数・有利の状況や、セットプレーの連続など、あと一歩のところまでは迫っていた。が、見ていて危うい戦いに感じたのはおそらく私だけではなかっただろうと思う。前線からの敵陣での積極的なプレスはチャンスを確かに生み出してくれたが、スタミナばっちり開幕戦とかでも90分やり切れる戦い方にはとても思えない。ましてや、例年より少し涼しいとはいえ、7月下旬の中3日での試合である。絶対に、序盤で先制しなければならない戦法だった。それができずに飲水タイムを迎えてしまい、あまつさえ先制点まで許してしまった時点で、ゲームプランは崩壊してしまった。

先制したはいいけれど、それが却って相手の猛攻を招く。という試合は良くある。そこを耐えきれずにやられるか、隙を突くかでまた試合展開は変わってくるし、本来はその後者の形を目論んでいたはずだが、それはさておく。問題は、先制された横浜FCが猛攻を仕掛けるという形すらできず、サンドバッグとまでは言わないまでも、たまにパンチが飛ぶミット打ち程度の展開になったことだ。45分と保たず、スタミナが尽きてしまっていた。2試合9失点の守備崩壊はその結果だろう。

ケガ人含め、選手のコンディションはサポーターに知る由もないので、選ばれた18人については納得するしかないのだが、どう考えたって体力的に厳しいのが目に見えている選手がいるくらいのことはわかる。それでもこの戦い方を選ぶしかない状況は厳しい。選手交代してもクオリティが維持できているならまだしも、交代すると明らかにチームのクオリティが落ちている。これはなにも交代選手が悪いというわけではない。交代選手が出てくるころにはチームとしてのスタミナが残っておらず、良さを出せる状況にないというのが大きい。途中投入の選手が挽回できる戦い方にはなっていないのだ。

単純かつゲームっぽい例えになるが、元々相手より低い戦力ゲージを、相手より速いペースですり減らす戦い方をしている状態で、戦い方を変えずに選手交代だけで挽回しようとすると、相手より優秀なベンチメンバーを揃えなければ相手のゲージを上回ることはできないことになってしまう。

その状況で、既存の戦い方に+αのアクセントを加えられて、個人で戦況を変えることができる選手がベンチにもいればありがたいが、そんな選手はせいぜいレドミくらいだろう。現状では、イバがいてもイバまでまともにボールがいかないだろうし。どちらにせよ、今は両方いないし……

根本的な戦い方を変えろ、とは私は思っていない。幸い、降格はないのだ。戦力ゲージの底上げをしつつ、ゲージの減りが遅くなるように戦い方のクオリティを上げていく方向でいいと思う。

いくつか、見ていて思うことはある。まず、最後の20mをどう攻略するのか、今一つはっきりしていないことだ。繋ぐスタイルを標榜しているが、実際には縦パス一本裏抜けで仕留める形が多く、フロンターレや少し前のバルサやアーセナル的な崩しはほぼできていない。結局、松尾や光毅が自力でシュートコースを空けて打つシーンが目立つ。それはそれで良いのだが、チームとして崩せているシーンはまだ少ない。ベガルタ戦の中山の幻のゴールが理想に近いのだとは思うが。

一美が中央にいるときはまだいいのだが、一美がサイドに流れてしまった状況になると、誰が中に入るのか、そこにどうボールを送るのかもまだまだ煮詰められていないように思える。

ビルドアップの位置についても、少し重心が下がりすぎかな?と。キーパーも含めて後ろから繋いでいくことが悪いわけではないが、基本的にキーパーはエリア内から出ない状態でビルドアップに参加している。相手を間延びさせる、というメリットもある一方で、そこを基準に選手が動くと、どうしても中盤より前の選手の上下動の量は多くなってしまう。それで最前線までボールを運んでから、後方からの上がりを待ってしまうと、どうしたって時間はかかる。当然相手も戻って守備を固めるし、そうなるとボールロストの可能性は高まり、ロストしたらスプリントを求められるのでやっぱり体力を消耗してしまう。
・後方ほどじっくりボールをもって相手を引き付ける
・前の選手は時間をかけずに少人数でさっさと仕留める
・ビルドアップの位置を高く保って、個々の走量を減らすようにする
このあたりを高めていくしかないのかな、と思う。守備に関しては、個人のクオリティアップももちろんだけれど、スタミナ切れで付いていけない方が問題としては大きいと思うので、攻撃時の消耗を減らして行ければある程度改善されるだろう。
中盤では一呼吸の我慢する勇気を、前線ではワンテンポ速い判断をできるように、レベルアップしてほしい。ビルドアップの位置に関しては、あまりやりすぎてエスナイデルの房総ハイラインになっても困るので、1番目と2番目の補助程度の範囲で納めて欲しいけど。


選手への雑感


GK:南雄太
止められるものは止めていたと思うし、ショートパスも遠目へのパスも悪くなかった。やれることはやっているし、キーパーの責任と言われるような失点はない。むしろファインプレーやってるし。
DF:星キョーワァン
ちょっと良くなかった。南の飛び出しでなんとか助かったスルーや、低い位置で相手に何度かパスカットされたり、4失点目も流石に責任がないとは言えない。ただ、ルーキーで出ずっぱりで疲れもあるとは思うので責めるのも酷だしな……
おそらく監督にも言われているとは思うが、中央経由ではなく、星から直接逆サイドに展開できれば一気に攻撃パターンが増えるので、そこを頑張ってほしい。そうすれば、縦パスカットから即ピンチといったシーンも減るし。
DF:田代真一
ビルドアップに貢献していたが、あまり全体的に動きが良くはなく、疲労を感じた。オウンゴールのシーンは、副審にアピールして目線を切ってしまったせいで対応が遅れたことが原因の一端だろう。ただ、ああいうアピールに走りたくなるのも、疲労で身体が動かないせいかもなぁと思ったり。
DF:小林友希
組み立てでも守備でも奮闘していたが、これまでと比べるとパスミスや相手選手への対応で後手に回るシーンが多かった。流石に疲れ出たかなぁ。
MF:佐藤謙介
サイドやライン裏のスペースに何度もパスを通して見せ、攻撃では違いを見せつけていたが、流石に後半途中からは相手を追いきれなくなり途中交代。フロンターレ戦であれだけ走ったらこうなるよね。
欲を言えば、もう少し相手を引き付けてからパスを出してほしいシーンはあった。
MF:手塚康平
中盤や高い位置での繋ぎで貢献。何度か天才レフティーと言われる所以を見せてくれており、スコアレスの時間帯は非常に目立っていた。が、徐々に存在感が薄く……守備時に瀬古と比べると少し物足りないかな?というのと、個人で仕掛けたりなんなりで一人くらいは剥がしてくれるとありがたいなぁ、と。攻撃面では充分役立てることはわかった。
MF:マギーニョ
スタメン復帰。攻撃時には良さも出ていたし、守備でも1vs1ではそこまで負けてはいなかった。けれど、逆サイドからのボールに対して、相手選手に前に入られたりマークを離してしまったりと、お世辞にも良かったとは言えない出来。チームとしての守り方はもちろんだが、個人でももう少しレベルアップしてほしい。
MF:松浦拓弥
前半の前半は良かったが、それ以降は守備に走る時間が多く、それでいてあまり効いていたとも言えない感じ。攻撃時こそ輝く選手なので、あの展開ではしょうがないかな……個人で打開する仕事を期待したいところ。
MF:松尾佑介
圧巻のドリブルスピードとテクニックでマリノスを脅かしていた。マリノスサポも名前を覚えただろう。前節とチーム名変えただけの感想じゃねーか。守備でも走り回っていたが、ついに後半の終盤に脚が悲鳴をあげていた。松尾のスタミナでもこうなるのだから、やはり今の戦い方には無理があるのだろう。個人でやれることは全部やってくれていたと思う。
FW:一美和成
攻守で身体を張っていたが、シュートチャンスは訪れず。前線の基点としては良くやってくれているし、一美がシュートを打てるようなシチュエーションをもうちょっとチームとして増やしていかないとダメだろう。裏抜けだけだともったいない。
FW:斉藤光毅
序盤に連続してシュートチャンスを生み出した。どれか1本決まっていれば大分試合の展開は違っていただろうけれど……ドリブルテクニックは元代表の畠中など相手でも通用していたのでやはり凄い。2点目はそう遠くないと思う。


DF:武田英二郎
マリノスユース出身ということで気合も入っていたのか、足が止まっていた味方の分まで広く走り回って守備の強度を取り戻してくれた。まぁ、4点差付いた後で取り戻しても、という気もするけれど、2試合で二桁失点になるよりははるかにマシ。今後、逃げ切りを図るような試合では充分計算できることを証明してくれた。
MF:瀬古樹
今節は途中からの出場。流れを変えることはできず、守備に追われることになった。
MF:中村俊輔
謙介と交代で出場。皆川への見事なクロスで決定機を演出するなど、マリノスで2度MVPに輝いた黄金の左足は健在であることを古巣のファンに見せていた。やはりボールを持つと上手い。
FW:皆川佑介
一美に代わって投入。俊輔のクロスから生まれた決定機をモノにしてほしかった。とはいえ、守備に追われつつもしっかりいるべき時に空いたスペースに入り込んでいるのは流石。あとはとにかく初ゴールを決めてほしい。
FW:草野侑己
誕生日に登場したドラマを生むストライカー。謙介の見事なアウトサイドスルーパスから強烈なシュートを放ち、すわ草野劇場開幕かと思ったが惜しくもポスト。その後は中々ボールが回ってこなかった。スピードや抜け出しの上手さは通じることが分かったと思うので、ここから出番を増やしてゴールを生んでほしい。


終わりに

ポスコテグルー監督が「15分までは50:50だった」とか強がりを言っていたが、20分くらいまでは80:20くらいで押していた。けど、決めきれない。ここで「惜しかった」って言ってるだけだと結局降格まっしぐらである。今年は降格無いけどさ。
フロンターレ戦と併せて課題が噴出した連戦になったけれど、下手に1失点で済んじゃってズルズル課題修正しないで行くよりは良いのかもしれない。はっきりわかった部分をレベルアップしていけばいいのだから。
もっとも、中3日の浦和レッズ戦までに修正しきるのは難しいだろう。疲労もあって厳しいとは思うけれど、3連敗だけは避けたいところ。幸い、レッズは去年から一向に調子があがっていないので、充分付け入るスキはあるだろう。13年前のラストゲームのように、ホームで返り討ちにして、横浜FCの調子を上げるブースターにしてほしい。
その後押しのために、ニッパツで精いっぱい声援を!送れないので!念を送りましょう!

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