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社畜人生相談(ロウドウジンVol.2)

2011年6月12日発行 ロウドウジンVol.2 所収

春。出会いと別れの季節。ぽかぽかと暖かい空気に影響されて、世間にはおかしな人が増えてきます。新入社畜などがその最たる例でしょう――

社畜人生相談
SHACHIKU LIFE CONSULTING
ビューティフル反社会人ライフのススメ

世に蔓延る社畜どもにも相談したいことくらいあるよね、なんてったって「畜」なんて漢字が付いていたって人間なんだから……。というわけで新入社畜どもの大量発生が懸念されるこの季節、彼/彼女らへの反面教師ということで我々反社会人サークルが社畜どもの人生相談にお答えして差し上げましょう。おりしも2011年5月21日に放送されたTBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』の特集企画が「わたしを社畜と呼ばないで/いや、むしろ呼べ!/新社会人のための素敵な真・社畜ライフ特集」というものだったため、その中で紹介されていた社畜からのお便りをいくつか引用させていただいて、ビューティフル反社会人ライフを(勝手に)コンサルティングしてあげましょう!

●1通目 ジャッカス(26歳)

社会人歴3年目、僕の社畜な日々を聞いてください。
週に1回は「ああ、今日は暑いからビールが美味いな」「最近、近くに美味しい鉄板焼を見つけてさあ」などと大きな声で独り言を言う我らが部長。みんな「またか……」と思いつつ、なんとなく聞こえないふりをしてやり過ごします。放っておくと2度目3度目と同じことを言うので、まわりの席から「ちょっとトイレ」「ちょっと煙草」と先輩たちが徐々に姿を消すのもお決まりパターン。
先週も同じようにトイレに行ったところ、居合わせた先輩が「あのさ、今日は俺どうしても外せない予定があるから、わかってるよね」と迫ってきて、俺だってデートの予定があるのに……と思いつつ「わかりました」と即答。席に戻ってから予想通り部長の「ビールが飲みたい」攻撃に対し「ビール、美味いですよね」と一言。とたんに目を輝かせて「じゃあ今夜!」と食いついてくる部長に大人しく従うほかありませんでした。ちなみにビールだけで終わるわけもなく、帰宅は結局タクシーでした。

反社会人より一言

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●2通目 ラモス瑠偉16世(元杉並区民)

わたしの社畜ライフの中でももっとも印象に残っていることをお伝えします。それは年始の挨拶回りです。三が日が過ぎたあたりになると取引先のもとに挨拶回りに行きます。もちろん、これは日本の全社畜にとって大事な仕事です。前年の礼を伝え、当年もよろしくお願いします、と頭を下げに行くのです。この挨拶回り、一見当たり前のことをやっているのですが、まことに滑稽なのであります。自分たちは先方に挨拶に行く、うん、それは良いのですが、先方は先方で挨拶に行っているのです。そう、もちろん両者はそうそう出会うことはありません。面と向かって挨拶できないのです。そこで社畜はどうするか。さっと名刺を取り出し「本年もよろしくお願いします」と名刺に書き、さらに名前の書いてある名刺にさらに名前を書き込むのです。で机の上に置いていく。先輩のタケダさんは「年始の挨拶回りはよぅ、やっぱり名刺を置きに行ってるだけじゃん。だからよぅ、今年の名刺にはなぁ、金色のスタンプを使って『謹賀新年』って押しとくわ。お前もやれよな。お前も、なっ!」もう声も出ません。名刺を置きに行くだけ、ということは理解しているものの、やはり社畜であるがゆえに今までの慣例を破ることはできないのです。

反社会人より一言

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本日の箴言

社畜よ、お前はもう死んでいる…… 

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