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反社会人アイドルインタビュー nqnaさん「綺麗な物を探す旅に出ています」

2010年12月5日発行 ロウドウジンVol.1 所収

反社会人的な生き方のひとつとして、メンヘラが挙げられると思う。そこで、ポップなメンヘラアイドルとして、イベント企画、モデルなどで活躍中のnqnaさんにお話を伺ってみた。

nqnaさん(@nqna_7
8月20日生まれ
千葉県出身

――反社会人としての生き方を教えて。
「社会人ってなんだ? なんだなんだ? 社会人という言葉がもはやあまりにも漠然としすぎていて、よくわからない」

――会社の飲み会に行くとか、新入社員なら30分早く来るとか、そういうのが社会人。
「とりあえず、仕事してないぜ! ポーズ」

仕事してないぜポーズ_mosaic

症状について

――幻聴や幻覚を見たことある?
「あります。綺麗な蝶々が飛んでたり、お星様がきらきらしたり、黒いもやもやが見えたり。あと、フラッシュバックとか、違う人の声が入ってきたり」

――そんな頭おかしい感じじゃないのかな。
「私、頭おかしいですよ。頭おかしいよね?」
――綺麗なものが見えるのは良いことだと思うんだ。

――普通の社会人になる気は?
「私には病気的に無理。突発的に自殺未遂とか」

――でも普通の会社は入ればなかなか辞めさせられない。突発的に自殺未遂しても、またか、みたいな。
「先生は、働くなって言うし、このまま障碍者年金が、という甘い考えが」

――ランクがあるんだよね。重度によってとか。
「自治体によっても違うんですよ。東京が一番多いんだ……。しかも、都バスと都電がフリーパス貰えるし、制限も緩くて、車持っていてもOKみたいな」

――なるほど、それが将来の夢ですね。
「東京に移住(笑)」

家庭、人生

――人を殺そうとしたことはある?
「ありますね。父親」

――メンヘラの人はみんな父親殺そうとするね。
「うち、家庭内暴力がひどかったんで。包丁取り出したり」

――通報とかはしないの?
「近所の人に助けは呼んだけど、うちはすごい世間体を気にする家で、大ごとにはできず」

――シェルターとかは?
「行っても、追いかけても殺すと脅される」

――常套手段ですね。
「うち自営で仕事していて、母親もそこで事務をしてたから。父親は社長で現場点検したり。だから世間体を気にしないといけないし、逃げられない」

――それは難しい。
「でも、お母さんはやっと去年うちの家に転がり込んできて、それから一緒に暮らして、今に至る。仕事にはちゃんと行ってるみたい。ローンが下りないみたいだから」

――他の人は殺したいと思わない?
「思わないですね」

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――元彼を殺したいとかは?
「一時期すごくキチガイというか、ヤンデレの時期があって、お前を殺して私も死ぬって思ってたこともあった。その男もDVで、私も精神的にキちゃってて」

――人生に意味はあると思う?
「人生に意味なないけど、意味を求め続けることはできると思います」

――なるほど。教科書みたいだ。
「とりあえず目の前のことを消化しつつ、一日一日生きるって感じ」

――死にたいと思うことは?
「死にたいとはもちろん思うけど、彼氏というか婚約者がいるから結局死ねない。難しい」

――婚約者と別れることになったら?
「ああ、そのときは死にますね」

※この後、nqnaさんは自殺未遂を図り、1ヶ月の治療により一命を取りとめた

――じゃあ婚約者がバイク事故で……
「『ソラニン』ですか(笑) あれ一緒に観てぶち切れられそうになった。彼氏がバンドマンでバイク乗ってるんですよ。遠距離恋愛で、京都と千葉なんですけど、京都から千葉に帰る前日にそれを観てしまって、鬱な雰囲気で、ばいばい、みたいな」

カルチャー

――どう見られたい?
「イメージとしては『ロリータ℃の素敵な冒険』。結構内容覚えてますよ。あとは、桜井亜美の小説」

――すごく典型的な。中学の頃に読んで?
「桜井亜美は小学校の頃に読んだ。ロリータ℃も小学校の頃で、私の原点になってる。『僕は天使の羽根を踏まない』ってあるじゃん? あれを読んで。漫画も読んだけど、一番好きなのは℃。暇さえあれば読む」

目に付いたもの?

「綺麗な物に触れましょうよ。例えばこういうの。『日常にひそむ数理曲線』。あと『ジョゼと虎と魚たち』。色がすごい綺麗なの」

――こういうのはどこでどうやって見つけるの?
「ヤマダ電機で手に入ったの」

――ヴィレッジヴァンガードとかじゃないんだ。
「綺麗な物に触れたくてしょうがなくて、綺麗な物を探す旅に出たんですよ。で、ヤマダポイントが余ってたんで、ヤマダ電機へ。まず『ジョゼと虎と魚たち』のDVDを買おうと思ったら、数理曲線が目に入って、ステキ! 心奪われた、と思って、衝動買い」

――その旅はまだ?
「旅に出てる途中です。今Twitterも、Locationが『綺麗な物を探す旅に出ています』って書いてある」

――この棚は特にお気に入りな何か?
「特にお気に入りなものと、引越しのときに目に付いたものと、最近買ったもの」

――『心の治療薬ハンドブック』かあ。
「まじめな本もありますよ。GON系とか、『危ない1号』とか。それ系が結構」

――小野塚カホリとかあるね。
「絵が綺麗で。私的にはこの『ニコセッズ』がすごいラブで。メンヘラの女の子の話なんです。南Q太とか、やまだないとさんも好きです」

――ジェネレーションギャップを感じさせない。小学校の時とか、周りの女子と会話が通じなくない?
「通じないんで、浮いてました。ドキュンばかりで、私、超いじめられてて、初めて腕切ったのが小5の時」

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自傷

「縫い目や、瀉血の跡とかがあります。横にばっばっばって切って治った後に縦にガスッって切って、血管が切れて、ぴゅーってなったり」

――周りに血痕が付いたりとかは?
「すごい飛び散りまくって。でもオキシドールで全部拭き取りました。私、和裁の専門学校に行ってて、和裁は全部手縫いだから、指刺すんですよね。染みが付いてしまうんで、オキシドールで取る、っていうのを既に身に着けてたんで」

――大変役に立つ。
「一回お母さんのハンカチを血まみれにしたことがあったんですけど、オキシドールに漬けたら綺麗になった」

――もしメンヘラが家に来てリスカしたら、使おう。
「Amazonでも薬局でも売ってます。いつも医療棚に試験管とかビーカーとかいっぱいあって、そこに薬とか、消毒液とか入れてます」

――切ると痛い?
「切った時は、わあ楽しーってなるけど、後から痛い。どういうことなの?って。後で縫われる時とか麻酔で超痛くてもう死ぬ死ぬっていう感じ」

リスカ

――顔を傷付けたりはしてないんですよね?
「胸にはあります」

――それは見てはまずいね。
「そんなまずい位置じゃないです。ギリ水着で隠れないくらい。水着選びがすごく厳しい」

――そういう傷が出てもいいんじゃない?
「でも世の中にはドンびく人が居ましてね。まず腕さらけ出してる時点で……」

クスリ

「生きるための薬はこれ。ハルシオンがあと1錠しかないので死にそうです。明日病院行ってきます。あと、リタリンと同じような効果を得られる薬とか。持続時間がめっちゃ長いんですよ。8時間とかで。抗うつ剤と一緒に飲むと、マジでキター!でスター状態」

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――仕事をする前とか?
「起きたらモダさん。これはモダフィニルという名前で昔は普通に売ってた。抗うつ剤と一緒に飲んで、よし、シャキっとしてきたーって」

――そんなに症状のない普通の人間が飲むと副作用が出ちゃうことってある?
「どうなんだろ。落ち着く……みたいな」

――そういうのって『心の治療薬ハンドブック』に載ってるの?
「載ってますね。新しいやつは載ってないんだけど」

すべきこと

「みんな幸せになればいいのに、と思って日々生きてます。人を幸せにするならまず自分を幸せにしないといけないという使命がある」

――幸せになるためにどういうことを?
「とりあえず自分のすべきことを探して行動しようと」

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――自分のすべきことを考えると、やることがなくなってしまう。トイレ掃除とかしたほうがいいのかなあと。
「トイレ掃除はお母さんがやってくれる(笑) 例えば、パーティ企画して、DJ呼んで、タイムテーブル作って、どうのこうの。とかって考えると、やるべきことが見えてきて、私の幸せでみんなもハッピーになれるな、っていうゴールが見えてくる。それが次に繋がるスパイラルだと、良いなあ」

取材協力:@ydatanuki


nqnaさんの近影(2020年6月)

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