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地獄への道はきっとタンポポで舗装されている

先日、うっかり変なやる気を起こして郊外のイベントに参加してきました。
コンクリートジャングルの中でブルーライトを浴びて育ってきた眼鏡オタクの貧困な感性では「CG合成かな?もしくはコンビニの三色弁当の卵そぼろかな???」ってくらいの草原。タンポポ。草木。青い空に輝く太陽。点在する古びた味のある洋館(という表現はここではおそらく妥当ではないけど)。羊。そしてタンポポ。

びっくりする。何にびっくりするってこれだけのタンポポを目の前にした私と母の感想が「あまりにタンポポすぎて無理」「語彙力死滅するレベルにタンポポ」「地獄へ続く道かよ」であるのに対して、他の参加者が「わぁすごい!夢の国みたい!」だったこと。

えっっっっっ………確かに心がさほどキレイでない自覚はあったけどここまで????タンポポ見てここまで感想が食い違うの???すごい人間の感性の(バリエーションの)豊かさがすごい。そりゃクソリプや炎上案件が耐えないわけですよ。笑ってしまう。いや笑えない。太陽が眩しすぎて本当やばかった。木陰を求めてさまよいつつどんどん頭上に移動する日差しのせいで住処の奪われる哀れな絶滅危惧種の群れのような動きしかできなかった。眩しすぎる光のもとでは生きられない。中二の語彙がここまでしっくり来る人生なんて嫌だ。一体どこで何を間違ったのかなって考えたけど、眼の前で母親が「こいつらめっちゃ強い…踏んでも踏んでも起き上がってくる…」つってグシグシ何度も何度もタンポポ踏み潰しているの見てあ…生まれ持った運命 †サダメ† やねんな…って理解した。あっちのシートでは若いお母さんがタンポポで花冠編んでるんですけど??

まぁ一応それなりのエンジョイはしまして、こんなブランコでハイジごっこをしたり。

トイレを探し求めてマナーハウス(多分他の人達が見学中だったのか、カバンや靴はあるものの死んだように静まり返っている)に侵入してダッシュで用を済ませたり。

ビビってたので写真は取れなかったんですが、トイレめっちゃ探してる母親の後ろで「どなたかいらっしゃいませんか、ボンジュール?」ってディズニーの美女と野獣のベルごっこしてた。
絶対ね、あの静かに鳥かごの中で首をかしげてた鳥、館の主に侵入者のこと報告してると思うんですよ。

タリンに戻ってきて思ったけど、私は都会(タリンがどの程度都会と言えるかはさておき)が好きです。林檎の花とタンポポと木漏れ日に溺れるくらいなら都会の雑踏とフリーWifiに脳みそやられるほうがまだまし。

いやでも私にも月を愛で花を愛で、のたりのたりしてゐる海を眺めるくらいの情緒はちゃんと残っているんです。

観光シーズン真っ盛りの気持ちいい季節なんです。血迷って郊外に出てしまう程度には。これからは大人しく近所をお散歩してすませることとします。

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