未公開資産を投資家が警戒か、ロスチャイルド一族のファンドが示唆

投資信託のRITキャピタル、昨年は23%値下がり
プライベート投資の割合が40%強と、10年平均の25%強から上昇


ロスチャイルド一族が資産の一部を運用する目的で設定した英RITキャピタル・パートナーズは、未公開企業のリスクについて警告サインを発している。

  投資信託(クローズドエンド型)であるRITキャピタルの投資口価格は5日に10%近く下落した。きっかけはインベステックのアナリストが執筆し、英紙テレグラフが引用した否定的内容の調査リポート。RITは未公開資産に一部投資しており、それが一部の投資家にとってますます懸念材料になっている。投資口価格は昨年23%値下がりした。

  投資家はここしばらく資産評価に明らかに神経質になっており、バリュエーションが高い資産に「FOMO(乗り遅れ恐怖症)」から手を出すような「押し目買い」にもはや積極的でない。こうした中で割高な成長株はここ2年、苦戦しているが、投資家は未公開株に対しても警戒を強めつつある。

  インベステックはこの2年間に見られた「リスク特性の大幅な上昇」を理由に、RITの投資判断を「ホールド」と、従来の「買い」から引き下げた。具体的にはポートフォリオに占めるプライベート投資へのエクスポージャーが40%超と、10年平均の25%強から上昇したことだ。「公開市場と未公開市場の間に存在するバリュエーションの時間差」を踏まえると、最終的に「価格発見」が始まれば、多くの未公開企業は痛手を受けるとアナリストらは懸念している。

  試算に基づくプライベート(未公開)資産の評価額は、刻々と変わる株価とは異なり、さほど頻繁には更新されない。従って評価額の動きは「比較的滑らか」な傾向があり、少なくとも好況時には、パフォーマンスがさほど不安定に見えないという利点があった。

  しかし市場全体が下降局面にあると問題は生じる。ほぼあらゆる資産のバリュエーションが低下している場合、資産価値に透明性が欠けるため、投資家は神経質にならざるを得ない。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-06/RO1PYDT0AFB601