当たりどころ
「ハニー、耳掃除をするたびに僕のことを思い出してね」
老婆は誕生日に彼氏から耳掻きをもらった。
その夜、老婆は早速その耳掻きで耳掃除をした。
右耳を掻いているとき、力の加減を誤り、耳掻きを奥まで突き刺してしまった。
耳掻きは頭を貫通し、左耳から先端が出ていた。
当たりどころが良かったのか、老婆の命に別状はなかった。
それどころか、老婆の秘めたる力が開花した。
翌日、老婆は彼氏に会ってそのことを話した。
彼氏は、開花した老婆の力を目の当たりにし、呆然とした。
「僕は普通の老婆である君が好きだった。今の君はもう僕の知っている君じゃない」
そう言って彼氏は立ち去った。
めかぶは飲み物です。