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Wikipediaこれ読んどけ 第05回「パンツ一丁」

最近多いのが、自称・新人YouTuberやタレントの記事がWikipediaに投稿され、削除されるケース。初心者のファンが執筆しているケースが殆どで、削除理由が分からずに憤慨してしまう。そこで、Wikipediaではどうやってページが削除に至るのか、解説していこう...

と思ったけどつまらないから、逆に「削除の憂き目に遭いそうだったのに、その後救助されて立派に育った記事」を紹介しようと思います。

その記事とは「パンツ一丁」。冒頭から飛び込んでくるこのイラストが、あまりに強烈すぎる。

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画像元リンクは「こちら」。著作者: Senet氏 (2009年9月)

短い記事だが、パンツ一丁の語源、各国でのパンツ一丁の普及文化と刑罰などがまとまった、なかなか読み応えのあるブツでございます。

ところがこの記事、初回執筆 (Wikipediaでは「新規立項」と呼ぶ) はひどかった。実にこれしか書いてない。

パンツ一丁とは、パンツしか履いていない姿である。 "

小学校の身体測定では、男女でパンツ一丁で一緒にやる。他にも、内科検診など。 "

出典: Wikipedia日本語版「パンツ一丁」2019年5月1日 (oldid=72593225) 初版

おいおい、ヤル気あるのか?? まぁ、ありがちなんだけど、初版立項者はIPユーザ。いたずらなのか、全くの初心者なのか。するとその2時間後には、「即時削除」のタグが貼り付けられ、記事は白紙化されてしまった。

さあ、ここからがすごい。3人のベテラン執筆者がどこからともなく集結して、記事の削除を阻止すべくあらゆるところからネタをかき集めてくるんです。「パン一同好会」状態。

Wikipediaには記事 (表側) 以外に、執筆者同士がコミュニケーションできるようにノートページ (裏側) というのが用意されていて、パン一同好会3名の会話は「こちら」から読める。もうねぇ。パンツ一丁に対する敬愛の念が溢れすぎてます。

「単なる裸芸人の一覧記事みたいにしたくない」「もっと批判的な観点も盛り込みたい」なんて、Wikipedia編集のガチな路線ですよ。

こういう苦労の末、まるでジャズの即興演奏のような奇跡の記事「パンツ一丁」が完成したのである。もちろん、削除依頼を出した人はあきらめるしかない。

ということで、最初の話題に戻るけど、自称・新人YouTuberやタレントの記事をWikipediaに投稿したいと思っているファンのあなた。そうよ、そこのアナタ! パンツ一丁の

● 即時削除されるヤバい水準

● 削除救済の条件を満たす水準

この2つをよーーーく読み比べて欲しい。で、自分にスキルがないと思ったら、無理に新規立項しないでほしい。一度削除されたのに、同じ水準で再作成するとそのうち、あなたはアカウントブロック (Twitterで言うところの凍結) を喰らうおそれもあるってこと、忘れないで欲しい。

そして何より、あなたの応援している自称・新人YouTuberやタレントは

「わぁぁ、Wikipediaに記事作ってくれてありがとう!」ってコメントくれるだろうけど、たぶん心の底では

「うわっ、クソゴミ記事に仕上がってんじゃん。マジ格好悪いわ」と思われてるかもしれないってこと、忘れないでね。

最後に。Wikipediaではすんごい厳格な基準で記事ページの削除を審議しています。必ず第三者が投票して、本当に削除基準に合致しているか審査した上で、「やっぱダメだこりゃ」って場合のみ、削除してます。

その厳格な削除基準は「こちら」を読んでみて下さい。タレントさん関連の記事で削除になるのは多くが「ケースE: 百科事典的でない記事」が理由です。そしてその内訳を見てもらえば分かるのですが、「著名性・特筆性がない」という理由が殆どです。

実際に削除依頼が申請されると、どのような審議がなされるのか、「削除依頼 (直近7日間分)」ものぞいてみると面白いと思います。毎日これだけ、ページの削除申請が出されているのです。

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もうね。歌川広重の絵 (1866年) に描かれたパンツ一丁の男たちみたいに、我々Wikipedia編集者は汗水たらして頑張って審議してるってこと、少しだけ覚えておいて下さいね。

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