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施すと授かるんじゃ

ひとには与えなさい、ひとに施す行為は布施(ふせ)と言われてひとの徳とされとる。
しかし、これは単に与えると与えられるということではないんじゃ。
授かるとは、ひとに施したものよりもっと高尚なものをめぐりめぐって頂くということじゃ。
人間目線で、与えられたものをすぐに目に見えるそれ相応の得として、与えてもらおうとするから返ってこない時に腹が立ったり、相手を嫌ったりするんじゃ。
わらしべ長者という話をはちべいは知っているかのう?
ひとりの欲のない男が困った人を助けるお話なのだが、持っていた一本のわらしべからお礼としてどんどん価値のあるものに交換してもらい、最後には家を頂くお話じゃ。
物語だから、家というみんなうらやましがるもので結論づけておるが、欲がなく施すと授かるのですよというお話なんじゃ。
一般的には子どもを授かるとかに使われることがあるのう。
それだけ貴重なものを与えていただくということじゃな。
布施(ふせ)というのは何も物だけじゃないぞ。和顔愛語という言葉がある。
おだやかな顔でひとに接する、思いやりのあるやさしい言葉を相手に話すことも、立派な布施じゃ。ひとがしてもらって助かるような行いをすることも、ひとと同じ気持ちになってただ話を親身になって聴いてあげることもそうじゃ。
目には見えないが、ひとに施した瞬間に「徳」をいただき、ゆくゆくは「信頼」「賞賛」という授かりものをいただくことになるのじゃ。
そんなものより、すぐに欲を満たすものがいいかい?
はちべいじゃと、家よりたべものかなぁ。