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【ポケカ】初心者ってなに?ドレイファスモデルで考える達人への道

こんにちは。ろし(@roshisyu15)です。
近所のカードショップとかを見ても、定期的に「この間ポケモンカードを始めた初心者です、初めて大会に出るんです」っていう人を見かけることがあります。そのような人達もジムバトルなどの小規模大会を重ね徐々に慣れたくましくなる姿を見ます。
また、逆に大型大会でのフィーチャーテーブルは中継されトッププレイヤー達の対戦を見る機会もあります。実況でも追えないようなプランをノンストップで繰り広げるようなまさに達人と言えるような姿を見ることがあるかもしれません。
このように何気なく「初心者」や「達人」という言葉を使うことがあると思いますが、それでは何をもって「初心者」とはなのか?そしていつまで初心者なのか?どうやったら初心者から脱出することができるのか?
今日はそんな話をしたいと思います。
※自分の専門外の内容も含まれますので、矛盾してる点や誤りがあったら教えていただけたら嬉しいです。

技能レベル

どの程度やっているかとか「この人は強いよ」とかそういった主観的な指標で「初心者」とか「上級者」という言葉を使うことが多いかもしれませんが、もっと客観的で具体的な指標があったほうがいいと思います。
具体的な指標があることで、自分は現在どの程度のレベルなのか、何が不足しているのかなど上達に向けた道しるべにするという使い方ができると思います。そこで先人の知恵・発想を借りたいと思います。
リファクタリング・ウェットウェアという書籍があります。

その昔、二人の研究者が昔人工知能を研究していて、人間と同じように技能を学び身につけるソフトウェアを作ろうと考えました。そのためにまず人間がどのように学ぶのか研究し、体現することが必要と考えドレイファスモデルを開発しました。

ドレイファスモデル

このドレイファスモデルでは技術の熟達度を「初級者」「中級者」「上級者」「熟達者」「達人」の5段階評価し、その評価段階に応じて能力や態度、腕前、考え方がどのようになぜ変化していくかを説明しています。 その段階について説明したいと思います。

第一段階:初心者

・状況に左右されないルールがあれば行動できる。
・状況に左右される事態やルールと異なり応用が必要な状況の対処が難しい。

 この段階は特にうまくやり遂げることだけを優先します。
「こんなことしたらこういうなったからから、こうやればもっと良くできるかもしれない」とか言った応用や「この行動にはこういう意味がある」などの意味付けなどはせず、その場で起こっている問題に対してマニュアル通りにその問題の対処のみをその場凌ぎでやるイメージでしょうか?
ポケモンカードで言うと

・よくわからないけど、そこらへんに流れてきたデッキレシピ通りにカードを集めて60枚のデッキを作りました。また、店頭で売ってる構築済みデッキを買って遊んでます。
・対戦開始時に種ポケモンが2枚手札にあるが、ベンチにはポケモンを対戦準備の際に出すなと言われているからバトル場にのみポケモンを置いた。
・クイックボール等のサーチ札よりもホップ等のドロー効果を先に使うように言われたので先にサポーターを使った。

こんな感じでしょうか?
よくあるポケモンカードのことを扱ったnoteのデッキ解説記事のデッキをそのまま作り、そこに書いてある通りのことをそのまま実行するようなイメージでしょうか?
思っていた初心者の段階より若干ハードルが高いという印象はあります。

第二段階:中級者

・ルールや原則を理解し、決まったルールから離れ行動できる。
・その場での問題の解決はできるが、全体を通しての意思決定は不十分
・情報を手早く入手したがるが、理論・原則は望まない

この段階に来るとルールを基にした行動の経験から多くに当てはまる原則を見出せるようになる。そのため、状況に応じた対応ができるようになります。上記の具体例を元にポケモンカードに置き換えると

・「色々落ちてるデッキリストを見たけど、このデッキは近日の大会での勝利報告が高いから、自分の環境とあってる気がするので勝てる気がする」と考え、流れてきたデッキレシピ通りデッキを作る。
・対戦開始時に種ポケモンが2枚手札にあるが、対戦準備時にベンチにポケモンを置くことで「あなぬけのひも」や「クロススイッチャー」を使われ、意図しないポケモンをバトル場で固定される可能性があるため、バトル場にのみポケモンを置いた。
・ドロー系サポーターでサーチしたいカードを引く可能性がある、その場合サーチ札を別のカードを探すことに使用ができるため、先にサポーターを使った。

こんな感じでしょうか?
noteに書いてあることをそのまま実施するのではなく、そこに書いてあることの内容や原理を理解し、記載されている以外の状況になった際にもその理屈を元に考え、ルールを当てはめ対応することができる段階であると考えられます。
ただし、マニュアル以外のことをすることには及ばず、マニュアルの適応範囲を考え、広がることができるようになった印象でしょうか?

第三段階:上級者

・ルールや原則を使ってより効率的に作業ができる。
・それまでに直面したことがない問題にも解決法を考えだせるようになる。
・問題解決型思考で問題そのものに焦点を当て全体の理解には届かない。

初級者・中級者は物事に対して決まりきった反応をしますが、この段階となると現状何が問題で何を考えるべきかが理解できます。
そのため、ルールを応用し新しい問題の解決法を考えだせるようになります。
同様にポケモンカードの例でいうと

・自分の出場する大会の環境を考え「このようなデッキタイプのデッキがマッチ相性としてよく使いたい」と思い、noteやSNSからデッキレシピを探し、環境に合うよう調整をしデッキ作成を行った。
・対戦開始時に種ポケモンが2枚手札にあるが、現環境では先行1ターン目にバトル場のポケモンが倒される可能性は低く、「あなぬけのひも」等ケアのために置かない選択肢がある。ベンチにポケモンを置くメリットとしては「大口の沼」を先行1ターン目に貼られダメカンを置かれることを防ぐことがある。両者を天秤にかけ前者を選択した。
・手札にホップとクイックボールがある。このターンの行動として必要なカードはクイックボールでのサーチ対象のみであり、ドロー系サポーターで引いてしまうと1枚カードアドバンテージを失ってしまう。そのため先にクイックボールを使用した。

その場での問題点は何かと分析し、必要があれば新しい解決方法を考え出すことができる状態です。
しかし、その場での問題を解決することに焦点が当たってしまうため、全体を通したプラン立て等には理解が及ばない状態です。
よくある「この盤面あなたはどう動きますか?」というものはいい例なんじゃないでしょうか?あれは提示されば盤面でよく効率的に動くにはどうするのかということに焦点があたった問題です。その場での最適解を見つけるのには適していると思います。

第四段階:熟達者

・問題を取り巻く全体的な流れや模索し理解しようとする。
・その場での問題点を全体から見て分析し、優先度や予測を立てプラン立てすることができる。

この段階に来ると全体像というより高い視点をベースに今起きている問題の意味付けや優先度まで考えることができます。
また具体例でいうと

・前大会の傾向からデッキAのシェア率が伸びている。そのため、デッキAに強いデッキBの使用率が伸びてくる可能性がある。以上のことを考えデッキBに強いデッキを作る必要性があり、デッキを作成した。
・対戦開始時に種ポケモンが2枚手札にある。現環境では先行1ターン目にバトル場のポケモンが倒される可能性は低い。あえて種ポケモンをベンチに置くことで「あなぬけのひも」等をわざと使わせることで終盤の詰めでの影響を与える可能性もある。しかし、もう1枚はバトル場に固定されることによるデメリットの方が多く対戦に大きな影響を与えかねない。手札が1枚バレるという情報アドバンテージを与える事になる。以上の考察から、バトル場にのみポケモンを置き対戦を始めた。
・手札にホップとクイックボールがある。このターンの行動として必要なカードはクイックボールでのサーチ対象のみ。対戦も終盤となり、返しのターンで「ツツジ」を撃たれる可能性が高い。現状盤面は不十分でありツツジを撃たれることによって次のターンの動きが保証されていない。ツツジの返しでサポーターを打てる可能性をあげるためにホップを温存し、クイックボールのみ使用した。

熟達者となるとその場での最適化だけではなく、ゲームプラン全体を見ての判断をすることができるようになります。この段階に来るとわざと隙を作って対戦相手のプレイを誘導するなど対戦相手をコントロールするようなプレイも可能になるのではないでしょうか?
またプレイだけではなく、環境考察を行い前大会の結果のみではなく、それまでの環境の移り変わりや今後の予測もしデッキ選択、作成をすることができるようになると思います。

第五段階:達人

・膨大な経験から直感で行動することができる。
・論理立て考察するわけでも最適解を選ぶことができる。

ここまで来ると「理由があってそうする」のではなく直感で行動する領域になります。
上記の具体例というと

・「今日はこんな感じのデッキが勝てそうな気がするから、こんな感じのデッキ作った」と徐に言い、大会参加し実際の大会もメタゲーム的にもベストマッチしており優勝していった。
・対戦開始時に種ポケモンが2枚手札にあるが、両方出した方が正解な気がしたといい両方出した。実際相手は「ヒスイゾロアークデッキ」で、終盤対戦相手はダメージが20足りずそれが響き対戦相手は原因で敗北した。
・手札にホップとクイックボールがある。このターンの行動として必要なカードはクイックボールでのサーチ対象のみ。このターンはクイックボールを使うのみが正解と感じたのでクイックボールのみノータイムで使いターンを終えた。その結果、対戦相手は相手の手札が弱いと判断しツツジを使わずターンを返し、そのままアドバンテージを広げ勝った。
・そもそも今日は勝てない気がするので、大会に行かずスイーツを食べに行った。

ここまで書いておいてなんですが、これらの状況は現実に背いた状況や選択かもしれないのでご了承ください。また自分自身達人ではないと思うので、想像が入ってます。
多分、よく言われる野球の長嶋監督の教え方で。「スーッと来た球をガーンと打つ」みたいな感覚的な感じだったっていうアレなんじゃないかと思います。
この段階まで来ると、これまでの経験をもとに直感で判断することが多くなるが、その選択自体客観的に考察すると明確な知識で裏付けができているようなイメージでしょうか?

上達へのステップアップ

ここまで色々と書いてきましたが、それでは次のステップに行くには?上達するにはどうすればいいのか?ってことを考えてみたいと思います。
ここまでの中でよく出てきた言葉として「ルール」「全体像」「直感」でしょうか?
それぞれ次の段階に行くにはどうすればいいのか?ってことを考えてみたいと思います。

初級者から中級者へ

初心者とはルール、TCGでいうと定石をそのまま実施しているという段階です。それ以前に何かを読みながら模倣するという段階も含まれると思います。
何故そのようなことをするのか?実際にしてみてどうだったのか?といった知識や経験が絶対的に不足している段階です。
そのため、まずはその通り実践してみて経験をする。より多くの経験をするためにどんなルールや定石があるのか知識を得ることが第一段階。そしてそれがどのような意味があるのか、それによりどんな結果が得られるのかという経験をすることが中級者への道であると考えられます。

中級者から上級者へ

何故そうするのかということを理解したのが中級者です。そこからステップアップするためには、定石で何かを解決している問題点はなんなのか?ということを理解しなければなりません。
そのためにはその定石がどのような効果があるのか?本当にその定石は正しいのか?と考える必要があると思います。そこで定石とは違う行動をとってみる。全く別のシチュエーションで定石を当てはめてみるなど経験してみるのもいいでしょうし、状況や理屈を考察するのもいいと考えます。
そのため、一つづつのケースを深く考察することもこの段階では大切なんじゃないかと思います。

上級者からのステップアップ

上級者と熟達者との大きな違いは、全体像を見れるかどうかというところだと思います。
上級者が真剣に悩んでいる問題点を熟達者がより高い視点で見たら優先度が低い大した問題点ではないと判断するかもしれません。優先度が低いのでその場では解決せず先延ばしをするのが正しいと判断するかもしれませんね。
ここからステップアップをするとしたら
・自分は今なにについて考えているのか?と問題点自体に疑問を持つ。
・この問題点が全体にどのような影響を与えるものなのか?
ということを考えるのが手助けになるかもしれません。
木を見て森を見ずじゃないですが、細かい問題点に固執することで全体を見ることができなくなります。より正確に全体像を把握するため、無駄な情報を削ぎ落としシンプルの見ることも手助けになるかもしれません。
同じ理由で例えば「カードをプレイする際にテキストを確認する」「定石的にはこうだから」と思考が入ることで情報量が多くなってしまうので、選択疲れを起こす可能性もあります。重要度が高い問題点に集中するため、定石の理屈や効果量を理解できているのなら、そこはこの段階だとテンプレ化させてしまったほうがいいんじゃないかと思ってます。
こちらの記事でもそんなこと触れてるのでもしよければ

終わりに

この次に書きたいことがあったのですが、それを書くためにはこの技能レベルについて書く必要があると思い、文献とか見ながら書いてます。そのため誤りとか矛盾があるかもしれませんので、その際はコメントとかで教えていただけたら嬉しいです。
自分が達人かと言ったらそういうわけでもなく、上級者や熟達者を名乗れるかと言ったら自信は持てませんので、おそらく達人や熟達者はこんなことを考えているんじゃないかという推測を含んでいます。
自分自身もこういった熟達者のようなプレイができるようになれたらいいなとも思っての文章化ですので、もし何かの+になったらうれしいと思います。

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参考文献・記事

リファクタリング・ウェットウェア
勝ちたいなら勝ちたいって言ってよ!vol.5 |


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