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小説のすきな一文

遠くに行きたかった。遠くというのはずっと距離のことだと思っていた。
「ブラックボックス」砂川文次 p86
かげがえのない他人にそばにいてほしかった。
「N/A」年森瑛 p68
つらいことも含めて、誰かを好きだったとしてもですか?
「プラネタリウムの外側」早瀬耕 p227
「ときに、映画をみないということがいちばん映画ということもあります」
「虎のたましい人魚の涙」くどうれいん p121
ずっと追ってた連載のエッセイが本になって嬉しい
電話を切った時、床の上の光のプールは何センチか移動していた。僕はその光の中にもう一度身を横たえ、天井を見上げた。
「カンガルー日和」村上春樹 p171
一回、自分クリント・イーストウッドにタイマンで勝ってたで
「人間」又吉直樹 p242
なんだよ、チョコレート交換会かよ、これ
「猛スピードで母は」長嶋有 p43
いっしょにたのしく年を越せるといいですね
「愛が嫌い」町屋良平 p275
自分を許せないのは、誰かほかのひとを許してないんちゃう?
「リリアン」岸政彦 p167
あの波はよかったな。
あの波は、とてもよかった。
「図書室」岸政彦 p101
解釈バトルしたい
紳士とは、払った税金と、寝た女性について多くを語らない人のことです
「女のいない男たち」村上春樹 p128
おまえはパーシ―じゃなくていじわるなディーゼルだった。俺としたことが気づくのに、時間がかかっちまったけどな
「マリアビートル」伊坂幸太郎 p420
ここ痺れた
生きていることに奇跡を感じるのは5歳までにしろよ。いつまで、生なんかに驚いている。
「夜空はいつでも最高密度の青色だ」最果タヒ p36
おれは音楽の、お前は文学のひかりを浴びて、腐ろう。ゾンビになろう。生身のからだで”いま/現在”を生きるのは、あまりにもつらいわな。
「ショパンゾンビ・コンテスタント」町屋良平 p167
「あ、深沢?俺、林」
「助詞使って話しなさいよ」
「つめたいよるに」江國香織 p199
生きている限り、バッドエンドはない。僕達はまだ途中だ。これから続きをやるのだ。
「火花」又吉直樹 p148

 メモしてあった、今まで読んだ小説の中からすきな一文をまとめました。「すきな小説の一文」ではなくて、「小説のすきな一文」です。でもだいすきな小説ももちろんあります。たった一文だとどんな話かわからなくて、でもどういう流れでこういう一文が生まれたのかとわくわくしませんか、わたしはします。
 人生で読書中に涙が出てくるという体験を一度だけしたことがあるのですが、その一文がこの中にあります。当ててみてください。当てたところで。また来週。

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