韓国版ベルサイユのばら10/3昼
順不同書き散らし。幻覚がかなり含まれている可能性があります。
●ベルナール
ようやく出会えたソヨンテクさんベルナール。とりあえずこれだけは言わせてほしい。あなただったのですね噂の包帯アリナールさんは!!!手当て場面でユンナールさん、ミンソンナールさんは上裸なのに、ニチアサ巻きで出てくるヨンテクナールさんに目が釘付け。腕を撃たれた設定のはずなのにそんなに危険な場所を掠めていたのですか?と心配になってしまうような前胸部付近に血が滲んでいることも気になったので、すぐシャツを着てくれて助かりました。包帯の話しかしてない。ヨンテクさんベルナールは革命家でありながらセーヌ川の記憶に縛られ続けている少年の面差しが強く、同じく少女性の強いチャンヘリンさんロザリーとの今後が楽しみな組み合わせでした。まあたぶん…お尻には敷かれると思います(ロザリーの)。
●オスカル
ジウカル様は柔らかさと強さ、優しさのバランスが心地良い。空のような広さと海のような激しさを併せ持つオスカル。そしてとにかく所作が抜群に美しい。音にかっちりハマった剣を掲げるポーズも、殺陣も、手や指の使い方も、マント捌きも美しかった。私の体にはどう頑張っても消せない宝塚ファンの血が流れているので、"ベルサイユのばら"ナンバーでマントを剣に引っ掛けて華麗に翻す振りを大盤振る舞いしてくださるお姿に大興奮でした。ロザリーとのやりとりもしみじみ良かった。本人は一番下の妹で、誰かに慕われる"お姉ちゃん"の経験は少ないだろうオスカルがロザリーに抱きつかれた時の一瞬の驚き。手をどうしたらいいか分からず彷徨わせたあと、ゆっくりと力強くロザリーを抱きしめ返すあの一呼吸に心を奪われました。ロザリーに「これからは自分自身の人生を生きて」と伝える声色もとてもあたたかくて、みんなの"オスカル様"ではない"お姉ちゃん"のジウカル様が見えてただただ愛おしかったです。ジウカル様、大好き。
●アンドレ
コンドレさんは今まで食べたことのないアンドレの味!独特の間で真顔で面白いことを言うお兄さんみがあった。ロザリーに巻き込まれながらも「隊服取りに来ただけなんだけどちょっとちょっと」の感じで真顔でずっと隊服を指差していたり、マルティーヌガブリエルの名前だけを伝えて「ありがと」するジウカル様にはたっぷり間をとってから「うん……」と言ったり、日頃から無茶振りされ慣れていて動揺しない感じもあり。しかし間違いなく性根はアンドレで、難曲揃いのアンドレソロを全て自分、まだまだいけます!の余裕で歌いこなし、お一人だけ音上げもするお姿も相俟って、可愛いワンちゃん(ジウさんがアンドレをワンちゃん呼びされるので……)の中でもシェパードなどの猟犬系の頼もしさを感じました。お顔は小動物のようで可愛いし、アンドレお三方の中で最もお若く、背は一番低いはずなのになぜ…?何より細かい演技のリプライズの鬼。胸をトントン叩くポーズ、「怪我してないか?」、お姫様抱っこポーズと観客が絶対に覚えているあれこれを細かく仕込んで仕掛けてきて、ジウカルさまとの連携プレイも完璧なのでラストシーンでは息も絶え絶えだった。
●ジウカル様とコンドレさん
オスアンの新たな可能性がみえたおふたりだった。私は魂の片割れとか相棒とかいう関係性に目がないので、磁石のように引き寄せ合い背中を預け合うお二人が大好きになってしまった。元々ロマンス要素は少ない韓ミュ版のオスカルとアンドレですが、より魂の繋がりが強い関係性。この路線でのお前は私にくれるだけ~毒杯~革命~私を包んだ風はにかけての流れが本当に良くて!この熱量は何!?と思っていたらジウカルコンドレペアの千穐楽でいらしたのですね。それなのに私ときたら何も知らずに…ただ、最後の熱気って何も知らない者が感じ取ることができるほど独特なのだなということを改めて思い知らされたので、もし今後機会があれば何かしらの"マッコン"を狙ってみたいなと思いました。初心者が簡単に手にできるチケットではないことは百も承知のうえで!意気込みだけです!意気込みだけ!えいえいお~
●誕生~傾いた土地
オスカルの誕生を嬉しそうに見守るアンドレ。
オスカル父の「お前の名はオスカルだ」の言葉を聞き、胸をトントン叩くポーズを早速するコンドレさん。えっ、待って、もうこれは紛れもなく"ある"じゃん!記憶が!どういうこと!?
傾いた土地はコンドレさんラスト音上げでのハモリ。
●このまま朝まで
オスカルが3杯目を呑んでしまった瞬間の諦めが早く、寝てしまったオスカルを見て「じゃじゃ〜ん」と言う。コミカルな場面の間が独特な面白おにいさんコンドレさん。が歌い出すと途端に甘い空気を纏われるので温度差で風邪を引く。
「お前は俺を友達だと言った」で胸を叩くポーズをするので、コンドレさんにとってはこのポーズは初めて会った日にオスカルが「친구야!」と言ったときにしていたポーズなのかなと思った。オスカルの背中を人差し指でちょんちょんつつくと振り払われるので、やれやれ顔で背負い始めるコンドレさん。お姫様抱っこをしながらオスカルの寝顔を見つめて微笑むお顔、良いわあ〜とまた甘い空気に酔っているとハケ際に「3杯……」と呟き出すコンドレさんに完全に情緒のコントローラーを握られました。
●私はオスカル〜視力問題
「アンドレ!目から血が!」
と心配するオスカルに
「怪我してないか?」
と返すのはコンドレさんだけ!こら〜〜〜〜!!!自分の心配をしろ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!という心の叫びは置いておいて、これは2回目以降の観客にとっては「アンドレ、準備できた?」と同じくらい忘れられないアンドレ最期の台詞。ここで1回目を入れてくるコンドレさんよ…と天を仰ぎました。自分に何かあっても真っ先にオスカルを心配するアンドレの"いつもの"行動だということが印象付けられてしまい2幕ラストシーンの私の涙腺が心配。(→だめでした)
なお、1幕ラストは怪我しました…よね?というくらい目の負傷具合が分からず、あえて傷メイクをとった赤味を少し残してるかな?という程度。コンドレさんが視力低下を自覚するのはおそらく2幕で緞帳を落とされるところ。落ちた緞帳を呆然と見ているので、それまではそこまで視力が低下しているとは気づいていなかったのではないかと思う。
●お前は私にくれるだけ
8月よりとにかくすべてがパワーアップしていると感じた10月の観劇だったが、この曲と毒杯が特に変わったというか、深化したように思った。ジウカル様は歌い始めすぐの「そんなに全部あげたら お前には何が残る 一体!」のあたりではもうすでに泣いている。形も何もわからないまま、ただそこに"ある"ことだけを確信している、それを何と呼ぶのか、あと布を一枚めくれば辿り着きそうな心が、揺れる瞳にたっぷりと盛り込まれていた。
しかもここでまさかのイマジナリー逆光コンドレさんが胸をトントン叩くポーズを入れてくるのだ。それに応えて胸を叩くオスカル。
「もしかするとそれは恐れだろうか」
のあとは、恐れ…ではないかも…の気付きがあり、
「もしかしたらそれは私のまた別の心」
で、ハッと息をのみ、"なにか"を掴んだ表情が明らか。曲終わりでアンドレが"片目くらいお前のためならいくらでもくれてやる"と言って去っていった下手側をみてオスカルは
「アンドレ」
と呟く。
それを愛と呼ばなかったら一体この世の何を愛と呼べばいいのか分からないけれど、それを愛と呼んだらそれ以上にはなれないから、どうかその見つけた"なにか"は"また別の心"のままであってくれという願い(長い)が完璧な形で叶えられた瞬間。ジウカル様のこの曲が本当に良かった……
●お前なら
ジウカル様が上手側にはけるときの表情に、あ、衛兵隊に転属願いを出すと決意したのかも、と感じた。その後ろ姿に胸トントンポーズを送るコンドレさん。
この曲で「悲しみや苦しみがどれほど大切か知らないくせになぜ」を歌いながら他の2アンドレがダンスの振りをするところで、コンドレさんはお姫様抱っこを思い出していたように見えた。違うかもしれない。でもてのひらを上に向けて腕を広げているように見えて、あ、これ"このまま朝まで"だと感じまして、この記事ではその解釈でいかせていただきます。今回のミュージカル内で我々が目撃する"このまま朝まで"はたった一晩の出来事ですが、アンドレがオスカルは3杯で酔いつぶれるということを完全に把握するまでに、悲しみや苦しみの夜を越えて幾度もあのやりとりはあったのだろうなと思ったのでした。
ラストはCD音源と同じく音上げあり。オスカルだけでなく、アンドレも星を掴みそうな歌い上げ。
●毒杯
毒杯前半部分の階段頂上付近でしゃくりあげるほど泣いているアンドレ。オスカル入室後も後ろ向きのまま言葉を聞くアンドレ。ボロボロに泣いている。
「私はあの姿が私の人生の理由で最後の姿になると思った。でもよかった」
「何が」
「暖かな視線に気づくのが遅すぎなくて。わたしは誰とも結婚しないぞ、一生」
涙を流しながら伝えるオスカル。その言葉を聞き、後ろ向きのまま微笑むアンドレ。
コンドレさんの「何が」が涙で声が震えていて、子どもみたいな声になっていたのが印象的だった。コンドレさんは毒杯後半の「俺を彼女のそばにだけいさせてくれ 死ぬその瞬間まで愛させてください」のあたりでダンスを踊るような振りをする。オスカルに誘われたのに受けられなかった直前の苦い記憶と、久しぶりにダンスの腕前をみようか、と言われたことへの答えのような動き。
コンドレさんは歌いながらずっと杯を持ったまま。「나를 벌하소서〜〜〜!!!」曲終わりの音が切れるタイミングに合わせて床にバシャッと捨てる。
●革命
アンドレ「前にいるのか?」
オスカル「目が見えていないのか!ここまでどうしてついてきた!」
アンドレ「オスカル…怪我してないか?」
アンドレ絶命。
オスカル「아니…앙드레…?앙드레、나 안 다쳤어…」アンドレの亡骸を抱きしめ、揺さぶり、こどものようにぐすぐす泣きながら答えるオスカル。からの絶叫、歌唱。
VS黒い騎士の時に「怪我していないか?」を言うのが印象的だったコンドレさん。人の心配をしている場合ではないときも、いつも、いつだってジウカル様の心配をしている。前にいるのか?と言いながらも、ジウカル様の腕をぎゅっと抱き締めていたので、きっと確認だったのだと思う。そこにいるな、という。そのコンドレさんを起きて、起きてとでも言うように揺さぶりながら「いや…アンドレ、アンドレ…私怪我してないよ…」と答えるジウカル様の姿が痛ましく、切実で、제발 일어나⚡️⚡️の気配さえ感じました。その後の半身を千切り取られたような絶望を背負いながらの「私を狂わせてくれ」も涙なしには見られなかった。
●私を包んだ風は〜カーテンコール
ロザリー「私も一緒に行きます」
オスカル「그래.」
答えたあと後ろを向き、市民たちをゆっくり見回して「우리……다 함께 같이 가자.」함께と같이を重ねて静かにしかし力強く呼びかけるジウカル様。最後に隣を見て「アンドレ、準備できた?」いないけれど確かにいることを分かっているような、悲しみをこらえた声で話しかけてから「가자〜〜!!!!!」を絶唱。そして前を向き、胸をトントン叩くあのポーズをして、口の動きだけで「アンドレ」と呼びかける。
このペアで最後の最後までかなり印象的に使われていた胸をトントン叩くポーズ、劇中では同時かコンドレさんが先にやることが多かったのですが、終盤のコンドレさんは衛兵隊の仲間を触って距離感を確かめるなどしており、最後の方はオスカルの胸トントンポーズに応えない場面もあって、あっもう見えていない…と分かるのが切なかったです。でも一番最後、市民たちを前に出すな!のあたりではきちんと応えていたので、オスカルの前では見えていなくても、反射でやっていた可能性もありそう。
カーテンコールはお互いの健闘を称えるように抱きしめ合うジウカル様とコンドレさんがみられました。
コンドレさんは撃たれたあとも他の2アンドレより倒れるのが遅く、少し持ち堪える点も忘れがたいポイントで、オスカル誕生の時点で既に"ある"記憶に驚いたのとあわせて、本来オスカルを貫くはずだった銃弾を受け止め運命を捻じ曲げてしまったアンドレが罰として世界と契約し人類の"生きたい世界"の見届け人になった……ってコト?というオタク回路がぐるぐる回ってしまったのでした。何というか…壮大な叙事詩だった。記憶をなくしてもう一度飛び込みたい。