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ミセスコンテストのバックステージ「ティアラの重さと、大きさと、価値」

私は6年間、ミセスコンテストに挑戦し続けてきました。日本代表として、世界大会に出場するまで、それだけの年月がかかりました。

大会によっては、地方大会に始まり、日本大会、そして世界大会と選ばれ続けないと出場できない場合が多いです。
1年で世界グランプリまで一気に登りつめる人もいれば、私のように世界大会に出場するまで何年もかかる人もいます。

必ずしも世界グランプリにならなくてはいけないというわけではないので、どこまで挑戦するかはその人次第です。

私は初めてのミセスコンテストでは、特別賞をいただきました。しかし、グランプリと準グランプリの方がティアラをいただいて、地方代表として日本大会への出場権を得ていました。
そのティアラがものすごく眩しくて、勝者と敗者の違いを目に見えるカタチで見せつけられた瞬間でもありました。

それから、どうしてもティアラが欲しくて欲しくて、こんなに長い挑戦になるとは思わず、翌年も出場しました。

ティアラの重さ

コンテストよって、さまざまなデザインのティアラが用意されています。実際に計ったことはないのですが、おそらく数百グラム程度だと思います。(世界グランプリなどの方が持っている、大会のロゴ入りティアラは、もっと重たいかもしれません)

私は、地方代表として初めてティアラをいただきました。念願のティアラが頭上にある。その感触を頭で感じながら、地に足がついていないような高揚感で表彰式を終えました。

その大会終了後、私のそばに来て「そのティアラ、軽いんだよ」と、誰かが通るたびに言う人がいました。
その人は、大会が始まる前の表彰式のリハーサルで、地方代表の役をして、ティアラとサッシュを受け取っていました。
リハーサルの時に実物のティアラが使われたので、地方代表の役をした人は、頭上にティアラを載せてもらっていました。だから、実際の重さを知っているのです。
そのティアラを、本番の表彰式では私がいただきました。

ティアラは、重ければ良くて、軽ければそうでないでしょうか?

ただ、別の人からは、受賞した私に「重ーい、重ーい、ティアラだね」と、メッセージをいただきました。
私が何年もかけてやっとティアラを戴いたことを知っている人からのメッセージでした。

ティアラの重さは、本人がそれまでの努力した過程や、代表に選ばれず次の大会へ行きたかった他の出場者の思いなど、たくさんの人の気持ちや、努力の積みかさねが重さとなって、感じるものだと思いました。

ティアラの大きさ

ティアラのデザインはさまざまで、大会でどんなティアラを用意してくれているかも、出場する時の楽しみです。

地方大会、日本大会、世界大会と進んでいくと、ティアラもより大きなものが用意されている場合が多いです。

ある大会の、地方代表から日本代表、そして世界グランプリを含めた、歴代の出場者が集まる機会がありました。
それぞれに、受賞した一番大きなタイトルのティアラにサッシュをしていました。
タイトルを受賞していない方も含め、全員がイブニングドレスを着ていて、とても煌びやかな雰囲気の場でした。

その場がお開きになり、身支度をしている時です。
私のティアラより「もっと大きい人でいっぱいだったね」と言ってきた人がいました。
確かに当時、地方代表のタイトルだった私は、日本代表や世界グランプリの方より、小さいティアラをしていました。
それを指摘した人は、タイトルは受賞されていません。つまり、ティアラは持っていない人です。

何の意味を込めて、私のティアラが小さい事を、わざわざ指摘したのかわかりませんが、ティアラは大きければ大きいほど良いのでしょうか?

後の機会に、友人がミセスコンテストに出場するというので、応援のため会場まで観覧に行きました。
複数名がクイーンに選ばれる大会でしたが、うれしい事に、その友人は選ばれました。
その時の表彰式で、クイーン選ばれた人たちは、サッシュとティアラをひとりひとり贈呈されていたのですが、大会のスタッフさんが持っている表彰盆には、何も見えません。サッシュを受け取られた次に、ティアラの贈呈です。何も見えない表彰盆に、プレゼンターの方々が手を伸ばし取り上げたものは、まばゆく輝くティアラでした。
つまり、表彰盆の枠より高さの小さいティアラだったので見えなかったのです。
しかし、そのティアラが頭上に載せられると眩しいこと眩しいこと。輝かしいクイーン誕生の瞬間でした。
その時私は、どんな大きさや形でも、ティアラはティアラ、選ばれた者の証しにかわりないと感じたのでした。

ティアラの価値

正直、ティアラはお金で買えます。ネットショップでも売っていますし、ドレスショップでアクセサリーを扱っているところはティアラもあるかもしれません。つまり、アクセサリーとしてのティアラは、購入できます。しかし、自分で買ったティアラはアクセサリーでしかありません。(ブライダルなどのアニーバーサリーに使用されるティアラは、特別な意味があるので、ここでのアクセサリーには当てはまりません。)

コンテストでいただくティアラの価値は、オーディエンスや他の出場者の前で、賞賛を浴びながら戴冠してもらうところにあると思います。
グランプリの証として、頭上に輝かせ、選ばれた喜びを噛み締めるのです。
これは、大会当日のティアラの価値です。

大会が終わってからのティアラの価値は、戴いたその人次第で変わるものだと思います。
これまで、たくさんの大会に出場してきた私は、グランプリのその後も見てきました。受賞を機に、ラジオ番組を持ったり、地域の観光大使になったり、活躍される方を拝見し、そんなグランプリに憧れてきました。
一方で、翌年の大会のお手伝いでしかティアラを使うことがない人もいます。それどころか、翌年の大会にすら関わらず、出場前と変わらない生活に戻っている人もいるのも事実です。
そのどれが良いのかは、その人の人生なので、自由だと思います。
ただ、せっかくティアラを戴いたのですから、人生の転機にできたら素晴らしいのではないでしょうか。

よく「コンテストは出場してからが始まり」と言われます。コンテストには結果というものがありますが、それよりも大事なのは、これを機にどれだけ成長したり、変化することができたかという事だそうです。
ティアラを戴いても、人生をより良くするのも、以前と変わらないのも、その人次第です。
いただいたティアラは、お家で宝物としてしまっておくのも良いですが、せっかくなら社会にお披露目する機会と共に、大会や自分自身の発展と成長に使ってもらいたいです。
それが、大会の発展と、ティアラの価値を高めることにつながると思います。

私もティアラを持つ1人として、これまでにしてきた小さなチャリティーを、より大きなものにしていきます。
これが選ばれた者の、大会への恩返しであり、恩送りになると信じています。

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