お題「同姓同名」ショート
俺の名前は山田太郎。よくある、ありふれた、個性のない、なぜかお手本の書き方になりやすい、かろうじてよく言えば覚えやすい名前だ。両親になぜこの名前にしたのかと聞けば、長男だし、というなんとも「よくある」理由で、長男なら一郎が筋じゃないか、と幼いながらにも口をへの字に曲げた記憶がある。友人に城ケ崎 勝、というカッコいい名前でスポーツ万能・頭脳明晰、内面も申し分なく俺にとってはコンプレックスの塊のような奴がいた。俺はありふれた名前でありふれた人間だった。
「なぁ、これ読んでみろよ