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本読みの記録(2016)

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ブックレビューなど書物に関するテキストを収録。ブログ「ブックラバー宣言」に発表したものをベースにしていますが、すべての文章について加筆修正をおこなっています。対象は2016年刊行… もっと読む
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2018年10月の記事一覧

国語学者による多彩な“フィールドワーク”〜『日本語大好き』

◆金田一秀穂著『日本語大好き キンダイチ先生、言葉の達人に会いに行く』 出版社:文藝春秋 発売時期:2016年6月 国語学者の金田一秀穂が「言葉の達人たち」13人と対談した記録です。対談相手は、加賀美幸子、桂文枝、谷川俊太郎、外山滋比古、内館牧子、安野光雅、ロバート・キャンベル、きたやまおさむ、三谷幸喜、出口汪、糸井重里、土井善晴、吉本ばなな。 昨今の日本語の乱れを嘆く類の議論がかなり弾んでいるのですが、それらはありふれた議論で私にはいささか退屈でした。そんなわけで例によ

与太郎はバカじゃない!?〜『米朝置土産 一芸一談』

◆桂米團治監修『米朝置土産 一芸一談』 出版社:淡交社 発売時期:2016年3月 桂米朝は若い頃にはテレビ・ラジオによく出演していました。それで名前を知った視聴者が落語会に足を運ぶということも少なくなかったはずです。後に人間国宝となる稀代の落語家はマスコミの力を活かすことにも巧みだったように思います。 さて本書は一道一芸に優れた人を招いて対談する朝日放送のラジオ番組を書籍化したものです。存命中の1991年に『一芸一談』として第一弾が刊行されていて、本書はその第二弾にあたり