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本読みの記録(2018)

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ブックレビューなど書物に関するテキストを収録しています。対象は2018年刊行の書籍。
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#白井聡

永続敗戦のその先へ〜『国体論 菊と星条旗』

◆白井聡著『国体論 菊と星条旗』 出版社:集英社 発売時期:2018年4月 明治維新から現代に至るまでの日本近代史を「国体の歴史」としてとらえる。本書のコンセプトは明快です。「国体」とは、辞書をみると最初に出てくる語義として「国家の状態」(スーパー大辞林)とあります。もっともそれだけではいささか曖昧かもしれません。 もう少し具体的な内容を表現すると、戦前の国体は、万世一系の天皇を頂点に戴いた「君臣相睦み合う家族国家」として規定することができる。戦後のそれは、端的に対米従属

本当の「独立」を勝ち取るために〜『白井聡対話集』

◆白井聡著『白井聡対話集 ポスト「戦後」の進路を問う』 出版社:かもがわ出版 発売時期:2018年1月 今も参照されることの多い『永続敗戦論』刊行直後に白井聡が行なった対話の記録を収めた本です。対話の相手は、孫崎享、水野和夫、中島岳志、中村文則、信田さよ子、佐藤優、岡野八代、栗原康、内田樹、島田雅彦、馬奈木厳太郎、猿田佐世……と多彩な顔ぶれ。 いずれも読み応え充分の対話がなされていますが、すべてに言及すると長くなりそうですので、以下、とくに印象に残った対話について紹介しま