長文タイトルのラノベと1話目が長いアニメと創作論

note開設ーとか言ってずっと記事出してなかったわけですが、試しに思ったことを綴ってみます。

やたらネタにされるラノベの長文タイトルと、気合いの入りまくった初回1時間みたいなアニメ、根っこは同じなのをご存じでしょうか。

どちらも、少しでも早い段階で魅力をアピールしようとした結果です。

アニメは3話まで見て判断なんて言いますが、1話目から3話目で視聴者数が減らないなんてことは滅多にないでしょう。
なら、「このアニメはここが面白いよ!」というアピールは1話目までにしておきたいです。
そして、丁寧に描いたらどうしても面白いところまで1時間はかかる、という場合に初回1時間になるわけです。

アニメはド素人ですがそう大きく外れてはないと思います。
ちなみに、丁寧に描いたら魅力が1話20分強で伝わらない、けど予算もない、という場合には丁寧に描かないか1話目で伝えるのを諦めるかの2択になっていると思われます。

「魅力をできるだけ早く伝えろ!」というのは創作論を漁ってればいくらでも出てくる基礎の基礎です。
当然漫画でもラノベでも同じで、例えば打ち切りがシビアなことで有名なジャンプだと2巻か3巻で打ち切られることも珍しくないです。「5巻から面白くなる」だとやっていけない世界ということですね。

さて、商業作品には打ち切りというものが存在し、作者の意思とは関係なく作品が終了してしまうわけですが、趣味の作品ならそんなことはないですよね。
では、商業作品と趣味の作品、より早く魅力を伝えないといけないのはどちらでしょうか。

正解は、趣味の作品です。
もちろん作者の自由なので「読んでもらいたければ」という枕詞はつきますが。

なぜかといえば、商業作品なら商業作品であること自体が面白さの保証になるからです。ジャンプならジャンプ、電撃文庫なら電撃文庫の看板がそこにプラスされます。
ジャンプだから2巻で切られるのではなく、ジャンプだから2巻までは「ここから面白くなるかもしれない」と待ってもらえるんです。

一方、趣味の作品ではそういった面白さの保証が一切ありません。有名じゃない人の作品の場合は特にですね。
アニメは3話、漫画は2巻、じゃあ素人の書いた小説はどこまで待ってもらえるのでしょうか?

その答えがweb発の長文タイトル作品です。
玉石混交の膨大な作品数の中で、そのほとんどは本文に目を通されることなく切られます。あらすじすら読まれません。
だからとタイトルで面白さを全力アピールすれば必然的に長文になっていくわけです。

もう少し言うと、長い方が目立つから長文タイトルが流行ったというのもあります。
サブタイトル込みで40文字くらいまでは自然に起きた進化ですが、80文字を超えてくる場合は目立つために長文にしている可能性が高いです。特にメインタイトルもサブタイトルも長い場合ですね。
なので、ネタにするのは間違ってる、とも言えないんですよね。

内容のアピールに全力を注いでいる場合は長文メインタイトルオンリー、スッキリさせたいけどアピールもしたい場合は短いメインタイトルに長文サブタイトル、みたいな傾向もある気がします。
目立つための長文タイトルが増えて逆に短い方が目立つとか、某web小説サイトのタイトルの変化って分析したら面白いんじゃないですかね。

なお、訳知り顔で語りましたが、「魅力をできるだけ早く伝える」というのは創作論の基礎の基礎です。
これを頭に置いた上で創作したり、あるいは小説漫画を読む時に意識したりするとそれだけでかなり変わるんじゃないかと思います。

例えば「姫の乗った馬車が襲われて主人公が助ける」「立ち寄った酒場でチンピラに絡まれて成敗する」といった導入のテンプレがありますが、手っ取り早く主人公の強さとか優しさとかを見せられるので利に叶っています。
小汚い手段を使う主人公なら小汚い手段で解決すればいいし、怖がりだけど見捨てられない主人公なら存分に葛藤すればいいし、とにかく汎用性が高いです。

あー小説書きたくなってきた。ではこの辺で。


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