なんなん テキスト 1
中村ぎん造「こんにちは。なんなんです」
中山きん藏「かれが中村で、ぼくが中山です。よろしくお願いします」
ぎん「こないだね、ぼくカミナリに打たれたんですよ」
きん「えっ!?」
ぎん「あのピカっと光って、ゴロゴロとなるカミナリに」
きん「大丈夫か?」
ぎん「大丈夫ですよ、見ての通り」
きん「頭、大丈夫か?」
ぎん「下手な関西弁を使うのはやめてください」
きん「大丈夫そうだね。何ともない?」
ぎん「それが、昨日から目の前がピカピカして、耳の中がゴロゴロと耳鳴りがするんですよ」
きん「まだ体の中に、カミナリが残ってるんじゃない?」
ぎん「そうですかね。ヘンですかね。カミナリって残るもんなんですかね」
きん「電子レンジとドライヤーのコンセントを掴むと、チンチンと動き出したりするんじゃない」
ぎん「レンジのチンは一回しか鳴らないし、ドライヤーがチンチン耳元で鳴ったら髪乾かすときにうるさくて嫌でしょう」
きん「はあっ?」
ぎん「それにカミナリは約10億ボルトで、明るさは約1万ルックスもあるらしいんですよ。ほぼ日常にある全ての電化製品は壊れてしまいます」
きん「はあっ!?」
ぎん「だから、わたしの中のカミナリは使えないだろうと言うことです」
きん「だから? カミナリが体のなかにあって困ってないの?」
ぎん「いつぼくの体の中にカミナリがあるって言いました?」
きん「先日、カミナリに打たれて、昨日から目がピカピカして、ゴロゴロと耳鳴りがするって君が言ったんじゃないの?」
ぎん「ええ、目の前がピカピカして、耳鳴りがゴロゴロもして、鼻は煙り臭いニオイがして、口の中は辛いンですよ」
きん「かなりヤバいじゃん。体の中から燃えそうじゃん!」
ぎん「だから炭咥えてみて、日が付くかな? て試してみたんですよ」
きん「で火が付いたの?」
ぎん「炭に火なんか付きませんよ。囲炉裏や火鉢じゃありませんから」
きん「なんだよ。火くらい付けよ。つまらないヤツだなー」
ぎん「炭に火は付きませんでしたけど、煙草に指先を当てるだけで火が付くようには成りました」
きん「パイロキネシスじゃん!! アベンジャーズに入れんじゃん!?」
ぎん「アベンジャーズに入ってもしょうがないでしょ。だいたい他に似たような超能力を持った仲間も居ないんだし、邪悪なビラン(敵)もいないんだから」
きん「あっ、あれだ。君がジョーカーのように悪者になれば良いんだ。日本中のあっちこっちに火を付けて回って、消防隊がそれを消して回る。消防隊はヒーローとして尊敬される。いいじゃん。君、良い仕事見つけたじゃん」
ぎん「それよりも、ダイナマイトの導火線に火を付ける仕事の方が、派手でいいんじゃない。消防隊にも、警察にも、誰も市民を助けられない、守れないといったほうが」
きん「町爆破して回ったら、もう言い訳できないほどのビランになってしまうよ。誰が町のみんなを助けに来てくれるの? 誰が君を倒すのよ」
ぎん「知らないよ。中国からか、北朝鮮からか、アメリカからミサイルが飛んできて、ぼくもろとも日本を消し飛ばすんじゃないの?」
きん「物騒だなー」
ぎん「隣の韓国と北朝鮮は、日本が地上から無くなって大喜びするでしょ。ロシアも中国も手を叩いて喜ぶかもしれない。北海道と沖縄を獲ろうか獲るまいか悩まずによくなったって」
きん「保守系の人が聞かれたら、怒られるよ」
ぎん「でもね、日本が無くなるようなら富士山も爆発して、成層圏に硫酸エアロゾルの厚い層ができて太陽光を遮り氷河期が来るだろうし」
きん「おい!」
ぎん「日本近海に深層海流の上がり口があるから、そこも原発の放射能でダメになれば二千年かけてゆっくり世界の海はダメになるでしょ。結果的に悪が世界に勝つ!」
きん「もう、いいから」
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