今しかできないこと

「もっとお金があったらな～」などの願望は、きっとありふれたものであろうが、お金がどんなにあっても買えないものの方が、人生において遥かに大切なのである。

お金がどんなにあっても、「時」は買えない。あの頃に戻りたいなんて思っても、それはできないことだし、「時間が足りないよ！」と焦ったところでこちらも買うことはできない。

今のところ、時が逆に進む世界はなく、我々は日に日に歳をとっていく。「本当に歳だけはとりたくないね。」と、その昔周囲の大人たちが言っていた意味が、今になって痛いほど解る。

フラメンコは、正直言ってかなり体力が要る。踊るための気力も要る。フラメンコで何らかの結果を残したいと思うなら、今があなたの人生にとって一番若い日なのだから、今日から始めるのがよい。

時間は残念ながら待ってはくれない。「あとで読もう」と思って取っておいた本はなかなか読めない。

気力も１日ずつ減る。それは、若い頃には気づかなかった減り方をしていく。あなたが、イチロー選手のように、並外れた努力をして、気力を減らさない方法を築いていけるのならよいが、そうでなければ、なるべく早く始めて欲しい。

定年後の余暇として、色々やることを夢見ている定年予備軍もいるかもしれないが、定年後にいきなり気力が沸いてくることもない。気力のプールにある水も、絶えずメンテナンスをしないとどんどん減るばかりなので、そのためにも、１日でも早く始めて欲しい。

「あとでやろう」と思ったことから得られる結果は少ない。あなたの人生に大きな影響を与える本だって、そのタイミングを逃せば、無用の長物だ。もっと早く読んでおけば良かったと思うに違いない。

残酷なまでに時は一刻一刻と進み、人生の可能性も狭まってくる。

若い頃に始めていれば、きっと大曲の１つや２つはピアノで演奏できたであろうが、後になって始めても、せいぜい両手を動かせて精一杯だろう。

「私はそれでも十分なの」と思えればよいが、後になって自分が悔しい想いをすることが予想されるなら、とにかく早く始めるのがよい。

時間は待ってくれない。今できることをやろう。