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龍の宮物語 - 美しさは切なくて悲しい -

※物語の核心となる部分のネタバレはありません。ただし、自己責任で。

※2021/9/5追加
下記の記事にて説明の通り、一部有料に設定しました。
後日無料に戻す可能性もあるので、ご了承ください。


美しい。

龍の宮物語を一言で言うならば、これ以上にふさわしい言葉はないだろう。

何と言っても、私はそもそも、大正・昭和と戦前の少女文化が好きで、宝塚歌劇と言えばベルばらよりもどんぶらこである。
個人的に、泉鏡花を特別好む訳ではないが、泉鏡花といえば鰭崎英朋

鰭崎英朋は、明治から昭和を生きた天才絵師。
妖艶で独特の美しいその画風は特に、泉鏡花作品の挿絵に多く使われた。

私が最も好む人魚絵を描いた絵師の一人でもある。

戦前から活躍していた抒情画家、挿絵画家を幾つかの系統に分けたとすれば、高畠華宵、小林秀恒、鰭崎英朋は私の中では同じ系統としている。
この記事を読む多くの人が恐らく、これらの画家を知らないと思うので、良かったら是非とも検索してほしい。

龍の宮物語の作・演出を手掛ける指田珠子先生がプログラムのご挨拶で泉鏡花の名前を出しているし、時代的にも、先に名前を挙げた抒情画家達の美しい絵は、龍の宮物語の世界観と一致する。

あらすじでは、明治時代と明記されているが、実際の物語において二幕は大正時代へと時代が変わっていた。
明治、大正、昭和へという時代のファッションや文化が私は大好きなので、この時代設定だけでガッツポーズ。
更に大好きな抒情画家達の作品を想起させるような世界観で、私は内心ガッツポーズしてから小躍りするような心境である。

前置きが長くなりましたが、とにかく、龍の宮物語は美しかったです。

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