虹と強欲

 幼い頃、親に手を引かれて、歩いた町。ガチャポンの景品が欲しいと、心がせがむ。
 スーパーのアイスコーナー。並ぶのは色とりどりの包装。鮮やかなデザイン達が、「私は美味しいよ」とひしめき合っている。
 テレビ越しに見た、地元の水族館。期間限定の展示。
 図鑑でしか見たことのなかった、珍しい虫。
 南国のオウム。
 ゲームクリア後の特典。
 実際に触れてしまえば、音も立てずに霧散するものばかり。
 憧れを手にした日は、それが失われた日。
 おなかは安価で満たされていくはずなのに。
 虚しさが消化できないまま、今日も歩いていく。
 あるはずのない虹を探して。

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