島根原発での下請け作業員死亡事故について

 12月21日松江市にある島根原発2号機建屋前にある、廃棄物を処理建屋基礎補強のための掘削工事を9人の下請け作業員で行っていたら、長さ5.2メートル、幅1.4メートル、厚さ15センチのコンクリートの塊が2メートルの高さから落下して、掘削作業に従事されていた63歳の作業員さんが下敷きで意識不明の状態で病院に搬送されましたが、約1時間後に死亡が確認され、業務上過失致死もあるとされています。
 そもそも、島根原発は宍道断層1981年には指摘されていて、国会でも取り上げられていました。

 それを、今ごろになって耐震補強工事を行い、おそらくコンクリートの厚さ15cmとされているところから、スラブ底の捨てコンも含む耐圧コンクリートの一部の落下ではないかと私は思います。
この耐震補強工事の工法は建屋の外部から掘削していく手法ですが、建屋が古くて、構造的なクラックが梁などに入っていたら床にも入っているという事も考えて発注者が検査してから元受けに伝えて工事に着手すべきなのです。
この下の中電のマンガ図が解釈できなければ、わかりません。私も同じようなマンガ図をブログに書いています。
       (中電)

https://www.energia.co.jp/atom_info/assets/press/2023/pp20231221-1a.pdf

 (中電のマンガ図ではわかりずらいので描き変えました。)

 つまり、どのような作業が行われていたかという事ですが、建屋の床下の部分をスコップなど使用して手掘りで掘削されていたという事でしょう。普通はこのような危険作業できないはずです、なぜなら、コンクリート構造物の一番下の床下というのはコンクリート打設前の最初の工程として、掘削から始まり地ならしを行い、砕石を投入し、転圧作業を行います。これで地盤が締まり、主に住宅などの建物によっては次に耐水ビニールなどを土壌から水分が上がってくることを避けるために敷きます。そして次に建物の水平をを保つレベル出すために「捨てコン」というレベル出しのコンクリートを約5cmくらい打設します。そして鉄筋の配筋作業を行い、そして床となる部分のコンクリートを打設します。このコンクリートは建物の一番下にあたりますから「耐圧コンクリート」とも呼ばれ強度も高いコンクリートが打設されます。
 一方、その下の最初に打設した「捨てコン」というのはレベル出しのためのコンクリートですから強度は普通でしょう。さらにその下は砕石部分となり、防水などのビニールを敷いていなかったら、「捨てコン」と砕石が混ざる事になります。そのようなコンクリートなら密着強度もなく、したがって今回のような、いわば落盤のような現象も起こり、下に入って手掘りで振動などを床面に与えていたら落盤の現象が起こるのはあたりまえでしょう。ましてや、床下の地盤ですから掘削も容易ではありません。その事からハンマードリルなども使用されていたかも知れません。脆い床下に振動を与えれば「捨てコン」部分や、場合によっては、「耐圧コン」の一部、すなわち、鉄筋が露出するくらいまで落下していたかも知れません。これが今回の事故の要因かと私は考えています。
 ですからこのような危険な作業は行うべきではないのです。行うなら床下に小型でも良いので重機を入れて掘削すべきだった思います。これでも危険は危険なのですが、重機のバケットが届く範囲で落下あれば今回のような事故は防げるでしょう。


    
(私が2014年にブログ書いたマンガ図)

  

 これと同様な事故が2014年3月28日の福島第一原発の固体廃棄物貯蔵庫にある空コンテナ倉庫の基礎補強工事でも作業員さんが事故にあい。亡くなられています。

当時の私のブログにもその事を書いています。

 これらは再稼働を急ぐあまりに現場の状況把握と管理体制の甘さもあるということで、いずれにしても犠牲になるのは、いつも下請け労働者です。「君臨する原発」の象徴でもあるでしょう。

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