福島第一の汚染水漏洩事件の下方修正に疑問

 2月7日に福島第一原発の「第二セシウム吸着装置」(サリー)で汚染水漏れの事故が起き、東電は翌日の2月8日の記者会見において「漏えいした水は系統水およびろ過水」だと説明したが、高濃度の汚染水からセシウムなどを吸着した塔にろ過水を通して洗浄して出てきた水なので「洗浄廃液」であり、はっきりとした高濃度の汚染水だ。その濃度を東電は220億ベクレル、漏えい量を5.5立方メートル(ろ過水タンクの水位の減り具合などから概算)だと説明した。

(福島第一原子力発電所 高温焼却炉建屋東側壁面からの水の漏えいについてhttps://www.tepco.co.jp/decommission/information/newsrelease/reference/pdf/2024/1h/rf_20240207_1.pdf

(保守的に系統からの漏えい量を約5.5m3として算出した結果、 全γで2.2E+10Bqと評価
 しかし、これは概算だということも判るが、汚染水は土壌に染み込んでしまっているので汚染土壌を回収したとしても回収しきれるものか疑問が残る

そして、15日の会見においては漏えいした汚染水については、当初の推計の約5・5トンから約1・5トンに、放射性物質の総量を約220億㏃から約66億㏃にそれぞれ下方修正した。

(その後、放射性物質の漏えい量等を精査し、漏えい量を約1.5m3、Cs-137およびCs-134の 総和で約66億ベクレルと評価した。)

https://www.tepco.co.jp/decommission/information/newsrelease/reference/pdf/2024/1h/rf_20240215_1.pdf

サリーの洗浄作業は元受けの原子力企業のアトックスが担い、洗浄作業を行っていたのは6人で(元請「アトックス」から3人、1次請から2人、2次請から1人)という構成で、外にも別作業で同企業の作業員と思われる人物がいた。

 この人物の位置から見て、東電が言うところの事案発見者の一人だろうが、背中に記載されているはずの企業名や氏名が消されている
 私は、元受けでもある、「アトックス」という企業の過去における下請け作業員に対する差別的、且つ、言動の報告を受けたことがあり、それは明らかな、偽装請負の下での危険手当の未払いや、現場責任者による日常的な暴力的支配が蔓延しているというような報告だった。尚、危険手当については労働争議にまで発展している。
いうまでもないが、「アトックス」という企業は現在においては全国展開をしていて、各地の原子力機関に赴き下請け作業員を雇用している。この企業のもとを質せばビルメンテの清掃業であったところから、さらに利益が大きくなる原子力産業の被ばく労働の典型でもある、所内の除染作業を担う分野に乗り込んだと言えるだろう。福島に至っては復興の分室まで構えている。
 下の動画はアトックスが関与しているものではないだろうが、原発での除染労働とはこのような作業である。

 もう一つの動画は原子力資料情報室に以前、務めておられた知人でもある渡辺美紀子さんが仰っておられた被曝労働についてである。

 いうまでもなく、東電とアトックスという企業はツーカーと言っても過言ではない。原発の秘密主義もこうして生まれる。

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