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米は力だ!

米は力だ!

このキャッチフレーズを聞いた時、大変嬉しかった。

私がお米が大好きという事と、仕事柄農業とは切っても切れない関係だったからです。ただ、ちょうどこの記事を書いている時はその職も離れ、日本中を回っている最中なのです。

ゲームであった「天穂のサクナヒメ」がアニメ化される事を知り、それまでプレイしていなかったゲーム版をプレイしようと思った。
神道は大好きだし、先述の通りでもあった。

とてもよく作りこまれた作品だ…→米は力だ!

結論→ゲーム進行もスムーズに進められる。お米の作り方も大変に古風ではあるが、わかりやすくお米作りを知る機会にはとても良い。

 常々、私が仕事をしていて感じているのが、農業への関心の低さであった。ただ、それは「最近の若い者は農業に関心がなくていかん。」というものでは断じてない。私も仕事柄、お米作りや田んぼに興味があり、日々身近にある。ただ、もし私が農業に関する仕事をしていなかったら、お米作りや田んぼの事は全く知らないと思う。
 良い悪いの問題ではなく、身近にあるかないかの違いだと感じていた。
私はお魚が大好きだし海も大好き。だけど漁業の事はよく知らない。そういうものであると感じる。ただ、それでもお米の事をしってもらいたい。というのはやっぱりある。
 よく周知や広報という言葉を聞くが、このゲームはそれを大変に素晴らしく伝えているように感じます。私達が仕事で米だ農業だと、どこでいうのか、どんな風にいうのか、言って誰が聞いてくれるのか。そんな空しい空気さえ感じていた。
 でも、この「天穂のサクナヒメ」は楽しく、そしてわかりやすく、何より一番届きにくいとさえ感じる若年層にストレートに米の作り方を伝えている。作り方がとても古風であることはストーリーなどの関係で今とは全然違うが、根本は同じなのだ。

現在の農機具。ゲーム本編とは似ても似つかない農業の姿であるが、本質は一緒なのだ。 サクナヒメにこれに乗って農業をしてもらいとも思ってしまう。

田を耕し、水を入れ、雑草を処理し、土に肥料を入れ、稲を育て植えて、中干をして水を管理し、収穫をして、干して、脱穀。そして食べる。

天穂のサクナヒメをプレイした人なら上記の文でどんなことをするのかわかると思います。でももし農業を全く知らない人が天穂のサクナヒメもプレイしていなかったら上記の事はわからないでしょう。
そうやってゲームをしながら農業を知る。しかも「田に稲を植えます。秋が来たら収穫します」だけでなく深いところも伝える。この難しさたるや。

 農業に関する仕事をしていた身として本当に感謝申し上げるとともに、もっと大きく「天穂のサクナヒメ」が多くの人の目に留まってほしいと願うばかりです。

お米うめぇ!!!→米は力だ!

結論→お米おいしい。食卓にご飯がないと寂しい。お米を食わせてくれと全身が震えている。

 私は本当にお米が好きで、若い頃、親に「そんな少ないおかずでよくそれだけのお米が食えるなぁ」といわれるほどであった。具体的には、辛子明太子の塊一つの四分一サイズでご飯を茶碗一杯を食う。ような感じである。
 勿論、これは好みですので、パン等が好きな方もたくさんいらっしゃると思います。私の場合、素晴らしい料理の数々、例えば焼き魚やお肉料理、野菜をふんだんに使った料理。ほとんどにおいてその横にさも当たり前にいるお米が何よりのごちそうだったりします。おいしいおかずと一緒にお米を食べる。これが本当に最高だと思えるのです。
 またゲーム内で登場人物たちが一緒にご飯を食べるシーンが描かれます。
初めて見たときにとても感銘を受けました。勿論、一人でご飯を食べることも多くあります。一人で食べるご飯も食材等と向き合って食べることができるのでそれはそれで大変良いのですが、みんなでご飯を食べる。これも大変によいことであり、それを描いています。また食事の中で談笑し、ストーリーを補完するとともに、登場人物がいきいきとしている。
 何を食べるかも大切ですが、誰と食べるか。その素晴らしさをちゃんと描いているのです。ちなみに私は一人焼肉で携帯等を触らず、もくもくとお米とともにお肉を食べるのも大好きです。在職中は給料日の週末には必ず一人焼肉でお米をたくさん食べていました。

稲作の凄さ、大変さ。→米は力だ!

結論→お米づくりは色んな事をしなければならない。そして天気にも左右される。昔農家さんが「まだ30回しかお米作りをしていないからまだまだ素人よ」の言葉を思い出す。

 ゲーム内において「中干し」があることに大変驚いた。他にもお米の病気や虫による害、肥料など、細やかな設定があること。これは凄いなぁと。
 中干しというのはお米を育てる過程において、一時の間、田んぼから水を抜くというものである。これをすることによってお米の根が強くなり良いお米がとれるのです。また田の土壌が固くなり、その後の収穫時などの作業がやりやすくなったりします。中干しの再現により米作りの再現度がぐんと上がったように感じます。またお米というのは稲から刈り取ったらいきなり白米になるわけではなく、稲→籾→玄米→白米となります。
 健康食にご興味のある方は玄米食というのを聞いたことがあるかもしれません。滅茶苦茶簡単に言うと玄米はリンゴの皮をそのまま食べるといった感じです(私の主観です。間違っていたらすみません。)。
 このリンゴの皮の部分と同じように玄米は栄養が多いといわれています。ただ玄米は食べ応え等が白米に比べて好まれないことがあります。また「〇分ずき」と言われる、玄米の割合を示す言葉があります。10分ずきが白米となりますので、よくお勧めされる玄米食は7分ずきだったりします。
 私も玄米食を食べたりしますが、7分ずきですと私は白米と同じように食べられます。これは個人差があると思います。また玄米は茶色になります。前に3分ずきだったか5分ずきを食べたのですが、これは中々大変でした。飲み込み際に「はしかい」のです。喉がイガイガするというか。
 話は逸れてしまいますが、昔、「江戸煩い」という病気がありました。正式名称は「脚気」で、ビタミンB1不足によるものです。これは昔、田舎では玄米を食べられていたのでビタミンB1を摂取できていましたが、江戸に行き白米を食べると摂取できずに脚気になってしまう。当時の方々は「江戸に行って生活したら江戸煩いになり、田舎に帰ってくると治る」となっていました。それほどに玄米には栄養が豊富なのです。現代ではおかずでとれる栄養素が高くなったので白米でも脚気にはかからなくなりました。

玄米の一例。茶色なので抵抗がある方もいるかもしれませんが、私は7分ずきぐらいであれば白米と同じように食べることができます。おいしいですよ。

話が逸れてしまいましたね。稲を作る話に戻りましょう。ゲーム内では雑草を直接抜く仕事があったかと思います。ただ現代においては除草剤等が使用されることが多いです。また、田んぼそのものがもっと大きかったりして、手作業で抜いていくのは大変です。ただ収穫時に雑草が多いと雑草を抜いたりされることもあるかなという私の感想です。肥料においては、現在は鶏糞、牛糞などが使われたり、専用の肥料があります。少し前にこの肥料が大幅高騰したことも農家さんにとっては記憶に新しいのではないでしょうか。
↓肥料の例。

 古来より良い米を、収穫量を増やそうと人々は知恵を絞り、道具を作り、よりよいものを作っていきました。ゲーム内でも物語が進んでいくと農機具が進化していきます。それが現代となってはたくさんあります。
農機具販売のイベントなどに行くとびっくりするぐらい大きくて、最新式のものがたくさんあります。例えば一枚目は農業用ドローン

農業用ドローン。農薬や肥料を散布する事ができる。
撮影用のドローンに比べめちゃくちゃ大きいです。

撮影用のドローンは小型のものが多かったりしますが、農業用ドローンはたくさんの費用などを積む必要があるため、大型化したとのこと。
二枚目は先ほども紹介したコンバイン。

コンバイン。デカすぎて画像のサイズを小さくしています。

現代ではこのコンバインと呼ばれるもので米を刈り、籾の状態にして、乾燥機と呼ばれるものに入れて籾を乾燥させます。サクナヒメたちが稲架掛けをしていましたね。現代でもされているところもあるかもしれませんがあまりみません。コンバインの前にはバインダーと呼ばれるものが使われていたりしました。日々進化しているわけですね。
三枚目は色彩選別機とよばれるものになります。

色彩選別機。風で石や虫食い米を飛ばすっていったいどんな技術なんや…。

これは米を収穫した後に投入します。そうすると米に交じって、石などの異物、虫食い米などを風で弾いて取り除くものです。いったいどんな技術が使われているのか私にはわかりませんが、素晴らしい機具ですね。
紹介したものはほんの一部ですが、こんなものを使って米を作るのかと思われた方もいるのではないでしょうか。
今後も技術進歩で米作りがよりよくなっていくことを願います。
 ただ、一つ。どのような器具や技術も使いようです。農機具が大型化したことにより死亡事故も起こっています。私自身も、農業のアルバイトをしている時に農機具に頭を挟まれ救急車で病院に運ばれた事もあります。幸い、数針縫うケガで済み、後遺症も全くないので助かったのですが、十分に注意して使わないといけません。
 これだけの技術進歩や化学進歩があってしてもお米にまつわる病気や獣害、天気による不作は起こっています。命の素晴らしさを知るとともにその複雑さをまざまざと感じます。

水を田に入れる→米は力だ!

結論→天穂のサクナヒメでは、水が豊富に手に入ったが、現実では取水が大変。

 ゲーム内においては田んぼへ入れる水は既に整備されており、水がなくなるということはなかった。しかし現実ではこれが大変なのだ。
現在、各家庭に水道があって、手を洗ったり料理に使ったりが当たり前です。日本の水道水はそのまま飲めるところも多いと聞きます。しかしこれは昔に上水道が整備されたことによります。実は田んぼも同じです。開水路と呼ばれる水路に水が流れていて、板などを取り外しすることにより給水できるタイプ、ゲームと同じですね。もう一つがパイプラインによる取水バルブでの給水タイプ(下記画像)があります。開水路もそうですがこの整備にも大変な労力がなされました。また老朽化もしますので新しくする必要があり、今現在、多くの地域でこの問題に悩まされています。

パイプラインでの取水。目視では見えないが水道管のように地中に管が張り巡らされています。

また、昔は水争いが絶えなかった。現在のようにダムなどがなく水を貯水できなく、事あるごとに水を巡り、時には流血沙汰さえあったと聞きます。今となっては流血沙汰はなくとも、渇水時には節水のお願いなどを経験された方もいらっしゃるのではないでしょうか。ゲーム内にこの話を入れると更に米作りが大変になると思うので、この部分をあまり複雑化しなかったのは逆によかったとさえ思います。

田園風景に癒される→米は力だ!

結論→食べることにより「米は力だ!」は勿論だが、田畑のある景色を見ることで癒される。それも力だ!

私は田舎生まれの田舎育ちなので、田んぼのある風景は当たり前だがそれでも、夕陽に染まる田畑の情景を見ると癒される。懐かしさ、穏やかさ等、いつもその景色に助けられるのです。

旅の中での田園風景。特になぜか懐かしさを感じる。
夕陽に輝く稲穂は本当に美しい。

「米は力だ」。それは勿論食べることによるものです。しかし、こういった景色を見たりすることも力になると感じます。天穂のサクナヒメ、アニメPVにもあるセリフ
「きんたとゆいがわしの道具を作ってくれた。ミルテが米を炊き、更なる力をわたしにくれた。独りではない。皆がおる。」
 
これは全てに通ずるものだと思いますが、何かをする時、だれかと何かを作ったりする時、例え一人で何かをした時にも、誰かの、何かの助けや道具のおかげで成し得る時。それはやっぱり独りではなくて。そういった思いを力にする。そういった力を忘れずこれからもおいしくお米を食べたいですね。

学習としての天穂のサクナヒメ→米は力だ!

小学生の時に稲作体験をした。それも良い経験だけど、天穂のサクナヒメは米作りのほぼ全てを網羅している。

小学生の頃に泥んこになりながら苗を手うえで稲作体験をした。まさしくサクナヒメが初めに植えていたような植え方である。それはそれでとても良い経験なのだが、それで学校授業としては終わり、その後や収穫の体験はなかった。勿論授業なので、できることとできないことがある。そんな中で「天穂のサクナヒメ」である。勿論、先述の水の事もあって、全てを網羅しているといえば嘘になってしまうかもしれないが、そのほとんどを知ることができる。
このゲームの漁業版「海神のナミノヒメ」なんてゲームが出れば、漁業に関する知識をみんなが知ることができると思う。船の性能や天気の影響、収穫する魚の場所や魚の保存運用など。海の素晴らしさ等。
また知ってほしいのはその怖さである。皆さんご存じの通り、これからの季節、海でのレジャーなどが増えます。それと同時に海で溺れて亡くなる方がいらっしゃいます。大変に痛ましい事です。先程、農機具での事故の事を書きましたが、物事には怖さが必ずあります。包丁、車、SNS等。人が作りし物でもそうなのです。自然にも怖さがあって当たり前であり、だからこそ、恐れ、敬い、感謝するのです。「天穂のサクナヒメ」でも、火山が噴火しますし、なにより米が出来なければ飢餓が襲います。現代においては大変ありがたいことに飢餓の心配はあまりないですが、それでも1993年には米不足でタイ米などを食べていたという事も私が直接知り合いの方から聞きました。そういった怖さも是非感じてほしいですね。恐怖を知るという事はとても大切なことなのです。

天穂のサクナヒメ、アニメ放送!→米は力だ!

結論→とりあえずアニメを見てほしい。

 この記事ではサクナヒメをと言いながら、ほとんど農業の事を書いてしまいました。普段はVRの活動をしている私が、「天穂のサクナヒメ」のアニメ化を機会に少し書きたくなりましたので記事にしました。それほどにアニメが楽しみです。

 このPV、大変良くて、OPを歌ういきものがかりさん、EDを歌うLittle Glee Monsterさん。大変すばらしく思います。
 揺れる稲、耕す土地、苗、水がここまで美しく描かれている事、恐らく稲作をご存じない多くの方に少しでもその目に触れる事。放送が終わった時にどのような評価がされるかはわかりませんが、既に話題となり多くの方の目に触れている事、それだけで私は十分に嬉しいのです。
 さて、私はこれから少しの間、日本中を巡ります。いろんなものを見て、感じて、会って、何かを知りたいと感じています。勿論、農業に関しても見ていきます。もしかしたらまたこのような記事を書くかもしれません。その時はまた見ていただければ嬉しく思います。それでは。

米は力だ!

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