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中国旅行(大連編①)


現地の人は何を言っているのか分からないし、Wi-Fiは無いし、これといった観光地も無いけれど、あの空気は何故だか忘れられない。

そんな大連旅行中に書いた個人的備忘録。


出発時刻1時間前に成田空港に到着。
少しギリギリを攻め過ぎたかな、なんて思いつつチェックインも搭乗も問題なく無事に出発。
会う人会う人に少し急いでね、って言われたけど。


2.3時間くらい飛行機に乗って、大連空港に到着。
まず事前に買っておいたsimを入れるが上手くアクティベート出来ない。
言語が分からない上にWi-Fiが使えない状況に、ひやりと不安の予感を背中に感じつつ、一先ず出口を目指す。


出口には自分の名前に敬称であろう”san”を付けたボードを掲げた女性が待っていた。
今日会う友人のお父さんがチャーターしてくれていたのだ。
感動である。安心感にこわばった体の緊張が解けるのを感じ、自然と笑顔がこぼれる。
お陰様で空港から出るという海外旅行の第一障壁を無事に突破する。


タクシーは案内してくれる友人の家の前に止まると、彼女が迎えに出て来てくれた。
 荷物を置かせてもらい、さっそく大連一の楽しみであった散策に出かける。
彼女の昔の話などを聞きつつ、中学卒業まで住んだ街を案内してもらう。
あたりを見回してみると、広々とした土地に適度な感覚を保ちつつ見上げるような高層ビルが立ち並んでいる。同じ形状のビルが集まって立っているのは中国式の建築なのだろうか。

外観は整理された道路にコンクリートの建物が整然と並ぶ街並み。しかし、たまに電柱が倒れていたり、リードのついていない犬が走っているところに少し茶目っ気を感じる。

この街は開発区と呼ばれ、良港を持つ街であり経済が活発な地である。歴史的な経緯もあり、外資系の会社が集い、日本人、韓国人、ロシア人など人種ごとにそれぞれの集住区があるようである。


自分にとって現地に馴染みの深い人に案内してもらうというのは旅の醍醐味であり、最高の贅沢である。
比較的旅をすることが多いせいか、なぜ旅をするのかと聞かれることがあるが、それは圧倒的な質と量の情報を得る、すなわちリアリティを感じるためなのだと答えている。

旅はただの移動ではなく、事前の計画をなぞり、写真で見た風景と自分で撮った写真の答え合わせをすることではない。

その土地の風を肌で感じ、その町の匂いを嗅ぎ、会話に乗せた人々の気持ちを聞き、現地の食材と人が作った料理を味わい、自然や人が織りなす世界を見て、そしてその世界に内在された時間とを感じるのである。

僕はその土地と関わりの深い人を媒介に、より深く多くのことを感じられると考えている。

歴史上の遠い過去の一般的な事実であっても、その国の国民として彼の感じるものであったり、彼女が幼い頃に嘘をつくと魔法をかけられると親に脅かされた橋の話であったりと、彼や彼女を通し時間の厚みや文化の深さを、今ここという一点の中に感じることができるのだ。


彼女はまず初めに、事前に要望したローカルっぽい通りに連れて行ってくれた。
ところ狭しと両脇に並んだ売り手達が、野菜や果物、肉などを並べ道を飾っている。
日本にありそうな、しかし少しずつ違うそれらの味を想像し興味をそそられる。

なにを買うか迷った末、彼女のおすすめの桃を買うことに決めた。
普段日本語で話しているのに、自然で流暢な中国語で買い物を代行してくれている光景になんだか不思議な感じを覚える。
明日の朝ごはんにとオススメの桃の中でも柔らかいものを3つ選んで買ってくれた。
全部で3元、50円くらいである。これぞ驚安、ドンキホーテも驚くだろう。

彼女は中国に住んでいたから当然中国語を話せるのだと思っていたが、話を聞けば中国語も勉強して身につけたものらしい。
小中は生徒会長をこなし、ピアノ、英語、中国語を習う、いわゆる優等生であったことに驚きと同時に彼女のいつもテキパキと物事を片付ける姿への印象に納得がいった。

勉強した図書館やおばあちゃんの家の話をしながら街の中を歩いて回りつつ、夕食はチェーンの餃子専門店に行った。
チェーン店と言って舐めてかかってはいけない。
すべて水餃子だが、モチモチとした皮と一口噛んだ瞬間に溢れ出る肉汁、そしてほのかに香る複雑な中華のスパイスが重奏する。
そのおいしさに奥歯を噛み締めつつ、顔は自然にほころび、喉は無意識にスープを飲むかの如く動き、箸は止まることを忘れる。
今まで食べてきたものは餃子では無かったのではないかと疑うほどの美味しさだった。
さらにこれでもか、と言うほどの量で1人300円程なのだから、驚きである。


帰りへの駅への道はちょうど通りがかった彼女の家族の車に駅まで乗せてもらい、チケットの購入からゲートまで教えてもらい、本当に至れりつくせりだった。
お陰様で自分の泊まる予定の大連市内には無事に着いた。


だがここからが本番。Wi-Fiがないので、ホストとの連絡が必須な民泊の場合、宿泊先にたどり着く保証がない。

現在、22時。

絶望の端に両手で掴まりつつ、”よし、やるぞ!”と気合を入れる。


次回 大連②

怪しげなおねえさん?の夜の勧誘
自主的にぼったくられる
商店のおじちゃんに嫌そうな顔される

の三本でお送りします。




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