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【PHI】フィリーズのノーコン矯正術 〜 マクギャリーは第二のクリストファー・サンチェスになれるのか?

近年のフィリーズはコントロールに苦しんできた投手の矯正に成功している。

一番有名な例はホセ・アルバラードだろう。
2022年5月に大きく調子を崩し調整のために一旦AAAに降格。
AAAで投球フォームの調整とプレートを踏む位置を一塁側にズラしたことでコントロールが安定。
2021年にはBB%(与四球率)18.7%とMLBでワーストレベルだった数字が2022年11.2% → 2023年10.5%と改善している。

この成功はグレゴリー・ソトにも当てはまる。
ソトはフィリーズ移籍後、投球フォームの修正とスライダーの改良に着手。また、スライドステップでの投球を増やした結果投球が安定。
アルバラード同様にBB%が2022年の12.9%から2023年は8.8%と大きく改善した。
この2人に共通しているのは初球ストライク率の改善である。
両者とも初球ストライク率が前年より10%程度改善しており、この改善がBB%の低下に繋がる要因となったのは間違いない。

前置きが長くなった。
今回はコントロールが永遠の課題となっているプロスペクトグリフ・マクギャリーが昨年のクリストファー・サンチェスのように一気に覚醒するのではないかという話である。
それでは本題に入ろう。

クリストファー・サンチェスの覚醒

プロスペクト時代「球速はあるがコマンドに難がある」という評価だったサンチェスだがブレークイヤーとなった昨年2023年はBB% 4.0%とMLBトップクラスの四球を出さない投手へと大変身を遂げた。
この大変身の要因はチーム専属の栄養管理士のもとで肉体改造に成功し投球フォームが安定したことと、球速を抑えてコントロールにウェイトを置いた投球をしたことによるものだ。

フィリーズはこの昨年のサンチェスの覚醒を今年はマクギャリーに活かそうとしている。

心機一転のマクギャリー

2021年5巡目指名のマクギャリーに対する評価は常に「投げるボールは超一流だがコントロールが壊滅的」というものである。
コントロールに難はあれど超一流のボールでマイナーリーグの下位レベルでは好成績を残したマクギャリーは一時期はトッププロスペクト100位以内に名を連ねる評価を得ていた。しかしこの評価はAAAで一変する。
昨年8月にAAAに昇格すると3試合に先発、4.1イニングで14四球と荒れに荒れ防御率は41.54を記録。マクギャリーの評価はチームトップ10にも入らないほどに急落した。

最悪なシーズンの終わりを経験したマクギャリーはアシスタント投手コーチ兼マイナーリーグの投手育成ディレクターでもあるブライアン・キャプランと話し合い、このオフに動きが大きい投球フォームを簡素化する修正をおこなった。

下の動画は今年の春季トレーニングでの投球と昨年のシーズン中の投球の比較である。
明らかに今年の投球の方が腕の振りがコンパクトになっていることが分かるだろう。

新しい投球フォームは腕のふりをコンパクトにしたことで球速が落ちる可能性が高い。
しかし、元々素晴らしいボールを持っているマクギャリーであれば多少球速が落ちたとしても、コントロールが安定すれば一気にブレークする可能性が高くなるであろう。
そして、これは昨年サンチェスが見せてくれたサクセスストーリーと同じものとなるはずだ。

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