【MLB】スプリッター(フォークボール)は次のトレンドになるのか(下)

前回は「スプリット(以下、スプリット)が次のトレンドになるのか」についてまとめていったが、今回はスプリットの握りやスプリットを武器にしている現役のメジャーリーガーを紹介していきたいと思う。

スプリットの握りとスピンレート

前回も引用したこちらの記事にもある通り、スプリットには3種類の握りがあるようだ。

スプリットチェンジ(フォッシュグリップ)

ボールを挟む中指に薬指も添えることで指の負担を少なくした握り。
Kevin Gausman, Taijuan Walker, 前田健太らが使用。

スプリッター

通常のグリップ。人差し指と中指で挟み込む握り。

フォークボール

スプリッターより深くボールを挟み込む握り。
"ゴーストフォーク"という愛称でも有名となった千賀滉大や手が大きいことでボールを深く握れるLogan Gilbertに加え、自身のスプリットを"スプリットとフォークの境界線"と発言しているMark Leiter Jr.もフォークボールと言っていいであろう。

以下は2023年シーズンの主なスプリット使い20名の成績をまとめた一覧をスピンレート順に並べた表となるが、概ねスプリットチェンジの使い手はスピンレートが多く、フォークボールの使い手はスピンレートが少なくなっているようだ。

スプリット使い20名の2023年のデータまとめ

代表的なスプリット使いの投手紹介

次に現在のMLBで注目すべきスプリット使いたちを紹介していく。

Kevin Gausman(ブルージェイズ)

現在のMLBを代表するスプリット使い。
2019年途中レッズに移籍した際に名投手コーチDerek Johnsonの指導でスプリットを多用する今の投球スタイルに変更。
そのスタイルチェンジが大成功し、現在はMLBを代表する先発投手にまで上り詰めた。
スプリットは2020年から毎年Whiff%(空振り率)40%超えの高さをキープしている絶対的な決め球となっている。

Fernando Cruz(レッズ)

筆者の一押しのスプリット使い。
独立リーグやメキシカンリーグでのプレーも経験した苦労人。

スピンレートが少ないスプリットは絶対的な決め球となっており2023年はXWOBA .143, Whiff% 56.7%の異常な数値を記録。奪三振率(K/9)も13.4をマークしている。

問題はスプリット以外に効果の高い球種がないこと。
この問題を解決すれば2024年はMLBでもトップクラスのブルペン投手に化けるかもしれない。

Erik Swanson(ブルージェイズ)

2021年にスプリットをモノにしたことでブレークしたブルペン右腕。
2023年はスプリットのRun ValueがMLBトップを記録。
今やMLBを代表するスプリット使いとなった。

年々スプリットを投げる割合が増加しており2023年は全投球の半分近い47.5%がスプリットとなった。

Jhoan Duran(ツインズ)

MLBを代表するスピードボーラーとなった豪速球クローザー。
4シームの平均球速101.8mphだけでも驚きだが、スプリットの平均球速も驚愕の98.4mphを記録している。
驚愕のスプリットの球速はたびたび100mph以上を記録することがあり、メディアもよくX(旧twitter)などで取り上げている。

Duranのスプリットはシンカーのような軌道を描くことから、"スプリッター"と"シンカー"を掛け合わせた"スプリンカー"とも呼ばれている。

千賀滉大(メッツ)

"Ghost Fork(お化けフォーク)"の愛称も定着した決め球のフォークはWhiff 59.7%と驚愕の割合で空振りを量産。
千賀のルーキーシーズンの大活躍に大きく貢献した。

ちなみに千賀の場合はStatcastの球種判別でも「スプリット」ではなく「フォークボール」表記となっている。

2024年はさらにスプリット使いが増えるのか

今回は前半・後半の2回に分けてスプリット(フォーク)について特集した。
2023年は打者がスイーパーに徐々に対応していたという話もあり、スイーパーとのコンビネーションとしてのスプリットだけでなく、スイーパーに次ぐトレンドしてスプリットを使いだす投手も2024年には増えるかもしれない。
日本人投手も武器として使用することが多い球種でもあるので、日本人投手を応援しているみなさんもぜひ興味を持っていただければと思う。

それでは、今回はこのへんで。

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