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【PHI】 Jean Seguraはヴァニラ・アイスをもう食べない 〜 パワーヒッターになったSeguraの話

いつもお世話になっております、オズワルドの フィリーズ担当のペンでございます。
上の動画は去年話題となったシーンです。
敵地ワシントンでの試合中、チャンスの場面で客席から飛んできた「好きなアイスの味は何?」という謎の質問に「ヴァニラ」としっかり回答しながらJean Seguraはタイムリーを打ったのです。
その応対の面白さとSeguraがしっかり質問に回答しながらもタイムリーを放った見事さが相まってこのシーンはSNS上で大きな話題を集めるようになりました。
しかし、今のSeguraはもうヴァニラ・アイスを食べてはいないでしょう。
今回のnoteはそんなSeguraが行った意識改革とそれがもたらした恐るべき進化についての話です。
それでは、noteスタートです。

■ Jean Seguraの意識改革

Seguraは10年以上メジャーリーグで活躍する32歳のベテラン選手です。
そして、そんなSeguraには不名誉な記録があります。

「ポストシーズンに一度も出場したことがない」

開幕時の選手紹介でも書きましたが、元マリナーズのKyle Seagerが引退したことによりSeguraが「ポストシーズンに出場していない現役選手の中で1番多くのレギュラーシーズンの試合に出場している選手」となってしまいました。
元チームメイトでもあったKyle Seagerがポストシーズンに出場しないまま引退したことは32歳のSeguraにとっても他人事ではありません。
32歳にもなるといつ引退の時が来てもおかしくありませんし、選手としての衰えが始まってどのチームからも戦力と見なされなくなる可能性も高くなってきます。そう、Seguraにとっても残された時間はあまり多くないのです。
そして、そのポストシーズンに出場したことがないという経歴がSeguraに意識改革を行わせるキッカケとなりました。
Seguraはオフシーズンに入って、すぐ一切のお酒と間食を辞め、今までの食生活から野菜中心のヘルシーでしっかりと計算された食事に食生活を変更しています。そして、ハードなトレーニングを行い、スクワット時のバーベルの重さは300ポンド(約135kg)から400ポンド(約180kg)まで増加しました。(それ2020年のオフにメジャー2年目のオフだったVladimir Guerrero Jr.がやってたことと変わらないし、メジャー11年目のベテランが今ごろ取り組むことかよとはツッコんではいけません)
そして、今までセルフィッシュな部分があり起用方法やプレーについて首脳陣と揉めることもあったSeguraですが、今年はスプリングトレーニングの段階で「チームの勝利のためならどんな役割でも受け入れる」と宣言しています。

■ パワーヒッターになったJean Segura

そんな意識改革に取り組みハードなトレーニングを実施したSeguraは2022年に入り打撃面で著しい進化を見せています。
下のグラフはそれぞれSeguraの年度ごとのハードヒット%、平均打球速度、xwOBAを表したものです。

Jean Seguraの年度別ハードヒット%のグラフ
(Baseball Savantより参照)
Jean Seguraの年度別平均打球速度のグラフ
(Baseball Savantより参照)
Jean Seguraの年度別xwOBAのグラフ
(Baseball Savantより参照)

今年になってすべての数字が急激に上昇していることが分かります。
現在5/13の時点でハードヒット%でMLB全体6位平均打球速度でMLB全体11位(どちらともフィリーズ内では1位)、xwOBAはMLB全体36位(フィリーズ内ではBryce HarperAlec Bohmに次ぐ3位)となっています。
そもそもWhiff%(空振り率)が低く(今年は現在5/13の時点でMLB全体41位、ちなみにWhiff%上位40人の中にハードヒット%と平均打球速度でSeguraを上回る選手は1人もいません)、コンタクトに優れた打者であるSeguraにメジャーリーグでもトップクラスのパワーが加わったわけですから、表面的な数字もこれから飛躍的に伸びてくる可能性があります。
現に4月は打率 .227 2HR OPS .630と表面上は微妙な成績でしたが、5月に入り11試合すべての試合でヒットを記録、打率 .457 3HR OPS 1.268と大爆発。通年の成績も5/13時点で 打率 .307 5HR OPS .854 まで上昇してきています。しかし、この成績でもxwOBAと表面上の成績はまだまだ乖離している状況であり、さらに成績を伸ばす可能性が高いです。

■ 2021年のVladimir Guerrero Jr. ≒ 2022年のJean Seguraなのかもしれないというまとめのお話

まだシーズンの序盤なのでこれからSeguraの成績が落ちる可能性は十分にあります。
それでも、この成績上昇の過程にはnoteの途中で触れた通り昨年成績を急上昇させたGuerrero Jr.と同様にプロの野球選手として不摂生だった食生活を徹底的に改善し、ハードなトレーニングに取り組んだ意識改革の試みがあります。
そのような意識改革の結果が現在の成績に繋がっていると考えると成績自体も去年のGuerrero Jr.と同様にメジャーリーグでもトップクラスの打撃成績に急上昇する可能性も十分に考えられます。
もし、Seguraが現在の成績を維持しキャリアベストの成績を記録できたのなら、それこそSegura自身の望みである「初めてのポストシーズン出場」もかなり現実的な話になってくることは間違いないでしょう。

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