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【MLB】 「ポストシーズン」と「3バッターミニマムルール」の相性は最悪なのではないか 【PHI】

「ワールドチャンピオンになるためなら無理な投手起用をしても良い」

みなさんはこの考えをどう思うだろうか。
私個人としては「多少仕方ない部分はあるが限度がある」と考えている。
投手の今後の選手生命にも関わるし、極端な連投をするほど打たれるリスクも高まると考えているので戦略としても悪手だととらえている。

では、実際各チームはポストシーズンでどのような投手起用をしているだろうか。


フィリーズの場合

まずは贔屓のフィリーズの話をしていきたい。

フィリーズは昨年2022年のポストシーズン17試合中12試合でホセ・アルバラードを起用した。
正直無理な起用法だったとずっと思っている。
因果関係があるかは分からないがアルバラードは今年2023年のシーズンに故障により二度チームから離脱している。

次に今年2023年のポストシーズンの話に移る。
私は今ロブ・トムソン監督の発言に恐怖を抱いている。

「レギュラーシーズンはマラソンでポストシーズンはスプリント競技。ポストシーズンはよりアグレッシブな投手起用をする」
「(リーグチャンピオンシップ第5戦で先発した)ザック・ウィーラーも(中2日で)リーグチャンピオンシップ第7戦で起用する可能性がある」

正直恐怖でしかない。
本当に恐怖でしかない。

確かに今年のフィリーズの投手陣は圧倒的に故障が少なかった。
投手陣が揃っていた点が戦力的にこのポストシーズンで有利に働いていることは間違いないであろう。
投手陣の故障が少なかったのはレギュラーシーズンでの起用方法や調整方法、大変優秀と評価されるトレーナー陣たちのサポートなどが要因であろうし、その点については大変素晴らしいと思う。
また、フィリーズのトレーナーや首脳陣たちが1番投手たちのコンディションを把握しているのはもちろんの話である。
それでも、ポストシーズンでの無理な起用法が来年以降にも影響を与えてしまわないかという点が怖いのだ。

特にウィーラーをリーグチャンピオンシップ第7戦で起用する可能性があるのが怖い。
フィリーズは昨年のリーグチャンピオンシップ王手をかけた第5戦で2日前の第3戦で先発をつとめたレンジャー・スアレスを中1日でクローザー役として起用している。
不振のクレイグ・キンブレルを勝ち試合で使わないと明言していることを考えるとウィーラーをクローザーとして使ってもおかしくはない。
そして、ウィーラーはワールドシリーズに進んだ時に第1戦で先発が予想されている投手でもある。
そう、ウィーラーをリーグチャンピオンシップ第7戦で起用してワールドシリーズに進んだ場合、ワールドシリーズでも無理な投手起用をするのが確定するのである。

今はとにかく明日打線が大爆発することを祈っている。

レンジャーズの場合

私情をはさみすぎたフィリーズの次は一足早くワールドシリーズ進出を決めたレンジャーズの話をしたい。
今年のポストシーズンを見ている方であればレンジャーズの無理な投手起用はご存知であろう。

ブルペンをホセ・レクラークジョシュ・スボーツアロルディス・チャップマンの3名だけでほぼ回している状況である。
特にレクラークはレンジャーズのポストシーズン12試合のうちなんと10試合で登板という確実に労基がすっ飛んできそうな起用をされている
レンジャーズには不調とはいえウィル・スミスクリス・ストラットンといった実績あるブルペンもいるのにこの極端な起用方法である。
本日のリーグチャンピオンシップ第7戦も絶対に負けられない一戦であったとはいえ、ある程度点差がついた状況でレクラーク、スボーツ、チャップマンを起用している。
また、第7戦では2日前の先発投手ジョーダン・モンゴメリーも2番手投手として起用、こちらもワールドシリーズの前に登板過多の状況になっている。

話はタイトルに戻る

ポストシーズンで好調な投手の登板数が極端に多くなることは昔からある。
ただ、2020年シーズンから採用された交代した投手は最低3人の打者と対戦しなければならないという「3バッターミニマムルール」がこのポストシーズンで特定の投手を極端に起用する傾向をさらに助長するのではないかとハッと思いついたのである。
ポストシーズンで不調な投手や二線級の投手を起用するのは首脳陣にとっても決断が難しい選択であろう。
ましてや現状のルールでは起用した投手がその日外れだった場合でも最低3人は投げなければならない。調子が悪いと判断してもすぐに次の投手に交代できないわけである。これでは3〜4点リードがあっても1人の投手の不調で途端にひっくり返される可能性がある。
そうなるとリスクを背負って不調な投手や二線級の投手を起用する決断はより難しくなるであろうというわけだ。

別にこの話に裏付けとなる数字はない。
それにまだ「3バッターミニマムルール」が採用されて3年である。
数字を取ったとしても裏付けにはならないであろう。
ただ、推論としては成り立つのではないであろうか。

「3バッターミニマムルール」を否定しているわけではない

私は「3バッターミニマムルール」を否定しているわけではない。
ソースを探していないので「3バッターミニマムルール」にどれだけ効果があったのかも確認してはいないが、ルールとして現在決まっている以上それぞれのチームがルールの中で上手く投手陣を運用する方法を見つけるべきだと考えている。

ただ、私の推論がもし証明されるのであれば、ポストシーズンに関しては投手のケガのリスクを考慮して「3バッターミニマムルール」を適用しないということがあってもいいのではないかと思う。

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