短歌連作『交換ノート』
疎遠になった友だちについての短歌連作です。
通学路からはみ出すの楽しいねピアノ教室やめてもいいよ
遠き山に日は落ちたって裏庭で猫の散歩をして過ごしたね
じいちゃんの影響だろうトイレから聴こえる兄弟船の鼻歌
畑から戻ったきみのおばあちゃん作チャーハンのもっちゃり具合
DSを持たないきみとラジカセで木綿のハンカチーフを聴いた
ちゃおの目をしてたと思う初めてのキスの話を茶化したきみは
あたしたちなにも知らずにクレラップ越しにからだを舐めあっていた
隣町の中学に行くきみだけがセーラー服のタイの純白
同じ名前同じ保育所だったのにきみは何度もスカート折って
先輩とヤったんだって 耳元で 大好きだから教えるね、って
きみんちの車庫の屋根から飛び降りた足の裏だけまだ痺れてる
十八で結婚をした君はもう交換ノートの中だけにいる
○あとがき
友達の出産祝いを買ったあとに連絡が途絶えて、そのまま3年が経ってしまったせいで使い道のない子供服がわたしの部屋で眠っています。その服を見るたびに友達のことを思い出して少しさみしい気持ちになります。
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