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そもそも何故ゲームにサウンドが必要なのか

この記事は「ゲームサウンド制作 Advent Calendar 2018」の5日目のエントリーになります。
https://adventar.org/calendars/3229

tatmosさんによる4日目のエントリーはこちら。
https://qiita.com/tatmos/items/2d254a553256d06d7e86

今回の内容は、私が以前にプログラマー等のサウンド業務に携わっていないゲームクリエイター向けに行った講義の内容を基に記事としております。
専門性は低いので、サウンドクリエイター以外の方にも読んでいただける内容にしております。

改めましてこんにちは、roominです。
普段はゲーム会社にてサウンドディレクターという肩書で働いております。
今回は「ゲームサウンド制作アドベントカレンダー」ということで、
そもそも何故ゲームにサウンドが必要なのか?というお題で語ってみたいと思います。


まず最初に、ゲームにおけるサウンド(楽曲・効果音・声など)は、
それ単品で再生されたとしても、すごい影響力があるわけではないです。
音ゲーでもない限り、音楽で売り上げが大幅にUPするということはない!
…というのが正直な所です。

では何故ゲームにサウンドが必要なのか?
音がないと寂しいからでしょうか?
もちろんそれ自体は否定しません。
ですが、もっと大事な役割があります。

他の情報との相乗効果が絶大なんです。


世界観・シナリオに添った適切なBGMや声の再生をすることにより、没入感の向上、ゲーム体験を記憶へと強く結びつける事が可能になります!
みなさん、目を瞑って大好きなゲームの曲を頭の中で流してみてください。
色んなシーンやキャラクター達やあの時の感情が甦ってくるでしょう?
ちょっとウルっとしちゃうかもしれませんね。
そして、モーションに適切な効果音を配置することでキャラクターを動かす面白さ、なんならカーソル移動するだけでも楽しい、更に必殺技など決まった時の爽快感がすごい!!
あの効果音が聞きたくてゲームやってる、みたいことってありません?

つまりゲームにおけるサウンドとは
自らの手で操作する楽しさを増幅させ
衝撃や感動を思い出として焼き付ける
そのための「装置」であり
「ゲームという作品の一部」

と考えています。


世の中、こと曲にばかり目(耳?)が行きがちなのですが、
「いい曲」とは(ものすごーーーく雑な言い方をすれば)
いい曲書ける人に頼めばできてしまうんですね。
ですが、楽曲としての良さゲームとしてのいい音楽というのは別物です。

皆さんが大好きなゲーム音楽があるとして、それは果たして
最初に楽曲だけで聞いたとしたらどのくらい好きになっていたのか?
もちろん楽曲だけ聞いて感動も大いにアリです。
ですが、ゲームのサウンドを作る人間という観点では、その時のストーリー・会話・映像・演出と組み合わせてそれらを可能な限り倍増させていくのが大事なのです
(話がRPGを題材にしてるように感じられるかもしれませんが、パズルゲーでも格ゲーでもアクションでもギャルゲーでもなんでも一緒です)


ここまで話をして、「ゲームゲーム言ってるけどじゃあ映画とかアニメとかと何が違うの?」って思われる方がいたかもしれません。
映画等の映像作品とゲームの違いは「インタラクティブ性」にあります。
ゲームは、ユーザーの任意の操作やタイミングでストーリー・会話・映像・演出・サウンドが変化します。
そうなると、すべてが時間通りで狙い通りに演出できる映像作品と違い、ゲームは何が起きても大丈夫な設計が必要になります。
このあたり、システムや仕様の理解が必要となるので、
ゲームサウンドディレクターはサウンド(作編曲・効果音)以外に
・企画
・プログラム
これらがチョトデキルととても良いですね!!!!(本当にチョットでも)

まっ!ゲーム好きなら自然と身についているスキルでもあるので、ここ読んじゃうような皆さんもゲーム大好きサウンドディレクターになって良いもの作りましょう!!!
面接では「ゲームと音楽なら7:3くらいでゲームが好きです!」って言うと良いですよ!!



というわけで、他にも色々お伝えしたいことはあるのですが、このあたりで終わりにしておきます。
「もっと専門的な話が聞きたかった」と言われることもあるんですが、
専門的な話は探せばネットにいくらでもあるので、向上心がある方が勝手に伸びていける土壌はあると考えております。
それよりは、自分は関係ないと思い込んでいるクリエイターの人たちにこそちょっと意識してほしい、そのための種まきが重要だと個人的には感じております。
…といった感じで、これが世のサウンドリテラシー向上のためにできる自分がとれる活動と信じ日々暗躍を続けておりますので、皆様どうぞ引き続き宜しくお願いいたします。

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