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AG#11 CF Martin D-28

Specification

トップ:シトカスプルース単板
サイドバック:ローズウッド単板
ネック:ワンピースマホガニー
スケール:645.2mm(25.4")
フィンガーボード:エボニー
ペグ:Grover(non original: replaced)
ブリッジ:エボニー
その他:ピックガード交換
1971年製

About

1970年を境に、マーティン社はギター用木材を切り替えます。もともと家具業界で使われていた「インディアンローズウッド」と「同種の木材」として輸入されるようになった「ブラジリアンローズウッド(ハカランダ)」。楽器の世界ではそのブラジリアンローズウッドが先というのが面白いところです。ブラジル政府の輸出制限のため、高騰したブラジリアンローズを諦めてインディアンローズに切り替えた…家具業界では元に戻っただけなのに、「音が落ちた」なんて70年代初頭の音楽雑誌では言われています。この感じはいまだに「ハカランダ礼賛伝説」で変わるどころかエスカレートの一途ですね。まちがいなくハカランダのギターは少ないから仕方ないですけど…。代替材とはいえ、まったくと言っていいほど両者は音色が違います。ハカランダの音はインディアンのそれと比べると、ずいぶん硬質です。鳴るレンジも違うし、倍音の感じも違う。「いい音」かどうかははっきり言って好みの差だと思います。70年、71年あたりはそのブラジリアン期からインディアン期への過渡期とも言えるようにパーツが混在している個体があるようです。インディアンローズはハカランダに比べて柔らかく落ち着いた音色なので、このあたりが好き嫌いが分かれるところなのでしょう。個人的には当時の職人さんたちが「ハカランダ基準」の耳で作っているため、インディアンローズが基準になるそれ以降とちょっと鳴り方が違うのではないか、なんて素人推測しています。

Story

もともとD-28というモデルがいいのかな、と思ったのは大分のアマチュアで持っている人が多かったから。その頃は音の違いなんてまったく分からず、ただ「高いギター」という認識だけでした。それがD-45を買うことになり、その時点でもうOKだと思ったのですが、マーティンの底なし沼からは抜け出せませんでした。単なる装飾の違いではなく、倍音構成が違うため、モデルによって全く音色が違うのです。ニールヤングが曲調によってマーティンを使い分けたり、ガロのメンバーが全員D-45を持っているにもかかわらず、めったにそろって抱えていないのはこれが理由(だと思う)。で、結局D-28もおそるおそる探し始めて^^;。90年代後期には、ヴィンテージを意識したHD-28VRもリリースされ、いい音だと思ったのですが、とにかく僕は「ノンスキャロップ」のパワーがあるギターが欲しかった。以後かれこれ20年くらい探して。3年前くらいにけっこう決心して都内のショップに行って本気で弾いたものの…買えませんでした。この時はハカランダ&バースイヤーの67年製を狙っていたのですが…どうしても「音の立ち方」が自分のイメージと違う。で、断念。それこそ数十本試奏してきたのですが…もう当たりに会えないのかなあ…ところが。ギタリストの八橋義幸さんがニールヤングのハーベストムーンを弾いている動画を見て。あら?このギターの音…これが71年製。以来、この時期の28がもしかしたら?と思って探し始めました。数ヶ月後。見つけたのです!71年製。状態はパーツ交換やネックのリフィニッシュなどで、コンディションは決してよくなかったけどトップの顔つきに何かを感じて。状態悪ければ日高くんに頼もうと^^「通販で」「一度も弾かず」購入。案の定状態は…でした。しかし。音は「!!!」という感じ。そのまま日高氏のお世話になり、ネックリセット等を経て、今は一番のお気に入り。自分のイメージどおりの音になり、大満足で使っています。柔らかく硬い音、という表現、伝わるでしょうか?自分が好きな時代の音楽の中で鳴っているギターの音を求めているわけですが、このギター、70年代前半の音楽が好きな人にはいい音だねと言ってもらえる自信あります^ ^。それにしても…60年代のは合わなかったけど、もしかして50年代や40年代のは…こわいこわい^ ^;

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