逆だよ

座敷童子という妖怪を知っていますか?座敷や蔵にいて見た人に幸せを運ぶ、家を富ませるなどと言われています。また、座敷童子が去った家は落ちぶれるとも言われています。そこから家の隆盛や没落を司る福の神のように思われています。

出所は岩手県のようですが山梨、石川、徳島、香川にも座敷童子の伝承は見受けられます。こう見るとなんとなく関連が見えて来るようです。昔の主力作物は米です。何はなくとも米です。米は作物というより通貨でもあり世の中で一番信用出来るもの。米が収穫出来る土地はそれだけで貴重です。寒さのきびしい東北に平野がほとんど無い山梨、四国も同様に山がちで米よりも小麦文化圏です。

当時の治水技術や農業生産性などを考えれば、全員が満足するような食糧は得られない時の方が多かったかもしれません。それ以前に気候が厳しかったり平地が少なかったりすれば田畑自体が少なく全員を賄えるほどの収穫を得られないだろう事は容易に想像出来ます。そうなれば出て来るのは口減しです。親による子殺しですね。当然他人に聞かせるような話では無い。その家の恥でもある話。なので外に墓などは作られなかったようです。殺された子供は土間や台所に埋められたとか。

しかし座敷童子は座敷にいるのです。これは殺されなかった子供です。でも外に出られないのは何故?それはね、普通の子供では無かったのでしょう。座敷童子は座敷にいる妖怪ではなく座敷から出られない子供、座敷に閉じ込められていた子供だったのでは。表に出せないのは家の恥になるから。つまりはそういう子供だったのでしょう。貧民は自分の子供を殺してでも食い扶持を確保しなければならないのに、表に出せない子供を座敷に住まわせている。この家は富裕層だったのですね。

つまりは逆です。座敷童子がいる家が豊かになるのではなく、豊かな家だから座敷童子がいるのです。座敷童子が去ると家が落ちぶれるのではなく、養えなくなるほど貧困化したから殺していなくなったのです。そう、つまりは逆です。

あなたの日常にあるこの逆転を、どうか見つけ出してください。この世を理解する上できっと役に立ちます。

家の隆盛に関しては六部殺し、間引きに関しては河童の起源などが参考になるでしょう。河童は何故緑色なんでしょうね。

では、また別の記事でお会いしましょう。

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