【政策論集8】さしあたりの少子化対策まとめ
1.異次元の少子化対策
「注視」が大好きな岸田総理より、珍しく強いメッセージが出された。
「異次元の少子化対策」である。
ということで、われらがツイッタランドでは、当然ながら盛り上がる。
その中でも少なくともインパクトという点でまぎれもなく「異次元」の少子化対策としては、下記のツイート(白饅頭氏のマシュマロに届けられたもの)である。
確かに異次元ではあるが、それぞれ検討の価値はありそうである。
そのため、いくつかのカテゴリに分けて検討していきたい。
1.女性の社会的地位と所得制限(マシュマロ①と②)
女性の所得と社会的地位を抑えることで結婚を促してしまおうという強引な政策である。
これには一定の根拠がある。
それは「女性の上方婚志向」である。(正確には「同類婚志向」もあるため、男性の年収・社会的地位≧女性の年収・社会的地位となる。)
そのことは下記の統計に示されている。
その他の統計については下記noteを参照。
これによると、男性の生涯未婚者層は年収の低い層に集中し、女性の生涯未婚者層は年収の高い層に集中している。
これを埋めることは一定の合理性がある。
しかしながら、この政策は「日本国憲法13条・14条・23条・26条・29条」などに抵触する恐れがあるため、憲法改正が必要となる可能性が高い。
つまり、だいぶ無理筋である。
となると、別の手段で「男女の年収差」を「結婚側」に傾けるようにする。すなわち、未婚女子の収入を減らすか、未婚男子の収入を増やすかを行えばよいと思われる。
となると、ここで切り札となるのが下記の「童貞支援金」である。
2.性的取引の制限(マシュマロ③⑧⑨)
一見荒唐無稽に見える提案だが、これにも一応の根拠はある。
ここに出てくるのは古来からの男性社会における摩訶不思議な伝説である「オナ禁すると性欲が増し、女性に対して行動するパフォーマンスが増す」という理屈を応用したもので、基本的には、男性側の「性欲発散手段」を制限することで、「女めんどくさい」を克服し、積極的な行動を宇名ガウスものである。
⑧と⑨は言わずもがなであるが、③については私の体験としてもある。
というのも、私もオナ禁をしている。そのオナ禁のさなかにコミックマーケットに行った際、性的な表現物に出くわすと結構しんどく、乗り越えるのに一苦労するのである。
ということで、それなりの効果が期待できそうだが、③についてはまさに日本国憲法第21条とバッティングする。⑧と⑨については憲法上はやってやれなくはなさそうだが、結構な規模の産業を失うことになるため、それなりの難易度はある。そもそも先に述べた通り、未婚男性は金のない男性がマジョリティであり、彼らがもともと風俗や売春にコミットするかというと怪しいところではある。(私自身まったくコミットしていない。)それでも、金がそこそこある非モテ男には効果がありそうである。
最も、それ以上に、各種童貞支援施策を充実させたほうが効果はありそうである。
3.未婚による出生減の「責任追及」マシュマロ④
未婚の原因となっている女性の側に強引に「未婚罰」を課してしまおうという方法である。
これについても、一定の根拠がある。
というのも、下記の記事にあるような「マッチングアプリのいいね数」に代表されるように、基本的にほとんどの場面で男性側からのアプローチを女性側が選別することで成り立っており、その選別の基準が高くなると未婚になる。となれば、無理やりにでも「選ぶ」というインセンティブを作ってしまうというやり方である。
一応合理性はあるものの、これ自体が日本国憲法第24条に抵触しそうである。憲法改正でもしないと無理筋のようだ。
4.未婚因子を排除する(マシュマロ⑦)
未婚女性が東京に多いのなら、東京から未婚女性を追い出してしまおうという政策である。
これにも一定の根拠はあり、未婚女性の割合は東京にこそ高いのである。
そして、そのことは際限ない「上昇婚志向」を招くことになり、特に地方の男性が無視されることにもつながる。そう考えると一定の合理性はありそうだ。(下記記事を参照)
https://toyokeizai.net/articles/-/235973?page=3
しかしながら、これもまた日本国憲法第22条に抵触しそうである。公共の福祉でごり押しするにはさすがに無理筋ではある。
5.子育て経済支援(マシュマロ⑤⑥)
一見子のマシュマロの中ではまともに見える政策だが、これについては「残念ながら効果がない」といえる。
というのも、ここ10年で家族支出の対GDP比は数倍になっているものの、まったく効果はない。(減税による対応も手順が違うだけで理屈は同じである。)
子育てにかかる経済的不安の原因の一つは何といっても「教育費」であるが、ここに支援をしても無駄である。
なぜなら、増えた分が受験競争とその後の「特権財獲得競争」であるところの大学進学競争につながるからである。
このことは、ここ6年という短い期間ではあるが、少子化のご時世にもかかわらず学習塾の隆盛からもうかがえる。
少なくとも、教育費が不安ということであれば、むしろ下記記事の「大学25歳未満入学禁止制度」あるいは、その応用である「公務員高卒即採用制度」により、就職までの年齢を速めてしまうほうが有効と思われる。
6.移民と婚姻のセット(マシュマロ⑨)
外国人との結婚を奨励してしまおうという案である。
特に、ここで推奨されているのは下記のように「日本の男性の発展途上国女性との結婚」を奨励する形と思われる。(政策的に可能なものはこれくらいであろう。)
これについては、下記リンクで一つの提案がなされている。
https://togetter.com/li/1272675
しかしながら、これについては、下記リンクにて指摘されている通り、相当な途上国男性からのヘイトを集めそうである。
https://note.com/wakari_te/n/n281c07a799ad
個人的な戦略としてはまだしも、国家レベルでの戦略としてはかなり「無筋」であろう。
7.異次元じゃなさそうな少子化対策まとめ
ここまでまとめると、異次元じゃなさそうな政策としては、結局残ったのは「童貞支援金および童貞支援施策」と「大学25歳未満入学禁止制度」「公務員高卒即採用制度」という、なんとも私びいきな結果となった。
もともとが冒頭のマシュマロが「異次元の少子化対策」であり、日本国憲法改正まで踏み込んだものなのに対し、私の場合はそれを全否定してしまったのだから我田引水な結果になって当然なのだが、未婚因子を洗い出す大変良い「提案」であったといえるだろう。そして、実際の少子化対策について、よりリアルでまともな提案がなされることを願うものである。