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蓮舫さん、「不遇の時代」はそう悪いものではないですよ



都知事選でまさかの3位

7月7日に投開票された東京都知事選挙で3位に甘んじた蓮舫・元参議院議員。選挙選前の下馬評では、現職の小池百合子知事との一騎打ちと見られていたが、伏兵の石丸伸二・前広島県安芸高田市長にかわされ、予想外の大差での敗北となった。

タレント出身の蓮舫さんは、その知名度を生かし参院東京選挙区で連続当選してきた。今回は初めての落選であり、当面は無職となった。

落選後 噛みつきまくる日々

これまではずっと走り続けてきたので、今回はよい休養にしてみてはと思うのだが、結果が結果だけに、連日怒りが爆発している様子で、収まらないようだ。

蓮舫さんは、7月15日午前5時55分、Xにこう投稿した。

「そんな貴女のセンス、これはユーモア? ギャグ? コメディ? なのかしら。1番前の席に座っていたとしても、私は笑えないなあ」

これは、前日放送された「上沼・高田のクギズケ!」(読売テレビ)の中で上沼恵美子さんが、「もし私が舞台出ていって、お客さん、蓮舫さん一番前やったら、やりにくいな。わろてへんやん」などと語ったことへのお返しだ。上沼さんは、直接蓮舫さんに言ったわけではないのだが、反発した。

これだけではない。

「現職(知事)に挑戦した私の敗因を、現職を支持した貴女が評論ですか。私は今回公契約を活用した労働条件改善を強く提案。若者の雇用環境改善も提案しました。 本来、労働者を守る連合が要求する内容でもあります。 組合離れはこういうトップの姿勢にもあるかもしれませんね」と投稿した(15日午前0時4分)。

これは「連合」の芳野友子会長が、「共産党が前面に出過ぎた」と蓮舫氏の戦い方に苦言を呈したというニュースを受けての投稿だ。

さらにさらに… その8分後の午前0時12分。こんどは和田アキ子さんの番組が標的だ。

「選挙が終わって訂正。 そもそも、放送内容は台本に書かれ、局アナのコメントも原稿がある。それを誰もチェックできずに「嘘」を放送した経緯も振り返らずに終わらせる番組を私は一切信用しません」

都知事選当日の7日、「アッコにおまかせ!」(TBS系)では、投票の仕方などについて生放送中に誤った情報を伝えてしまった。大きな批判を浴びたため、翌14日の放送で謝罪・訂正した。実にお粗末なミスだが、蓮舫さんの投稿は、このことを批判的に取り上げた一般人のポストを引用した上でのものだ。

自分の勘違いが原因で怒りまくったものもある。

10日にイスラエルの駐日大使が、小池氏3選を祝して同氏との2ショット写真をX上で公開したところ、蓮舫氏が「当選直後にこの外交は私の考えではあり得ません。都民の一人としても、とても残念です」と批判したのだが、実は写真は2年前のものだった。

X上で、この事実を指摘した投稿に対して、蓮舫氏は「それならばこそ、きちんと抗議撤回を要請してほしいです」と応答した。まず自分の早とちりを詫びてはいかがだろうか。

さらに、この数時間後、東京都の公式Xアカウントが、「駐日イスラエル大使は、2022年4月に着任挨拶のため東京都庁に来られました。ご参考までに」と投稿。

イスラエル大使とのツーショット写真批判が、蓮舫氏の事実確認不足によるものと判明する結果となった。その後、蓮舫さんは一連のポストを謝罪なく削除した。

蓮舫さんは都知事選出馬に際し、参院議員を辞職し、立憲民主党を離党した。連合は、立憲の支援団体である。また参院議員になる前はタレントをやっていた。芸能界というのは、先輩後輩の関係に厳しい世界だ。「程度こそあるが、お世話になってきた組織、先輩にこういう対応はどうだろうか」という声も聞かれる。

順風満帆な政治キャリア

ここ数日、ネットを見ると蓮舫さんがトレンドに上がっているのだが、「批判してばっかり」「謝ることを知らない」「自分に甘い」といったものが多い。

なぜそうなってしまったか? 本人の性格もあろうが、これまで経験してきた選挙にもその要因はありそうだ。

蓮舫さんは、大学時代から芸能活動を始めた。その人気を武器に参院東京選挙区から立候補し、大量得票して当選した。狭い選挙区でたった1つの議席を争う衆院小選挙区選挙に比べると、参院東京選挙区は複数当選できる。

また東京は特定の支持政党がない「無党派層」が多いので、知名度が高ければ当選圏に入れる。一方で衆院小選挙区は「どぶ板選挙」と言われるように足を使った地道な戦法が重要とされる。

自治体の首長選挙も当選者は1人だけ。その点で蓮舫さん陣営に戦い方の間違いはなかったか?

不遇なときほど笑顔で

蓮舫さんは国政選挙では全勝で、民主党政権下では大臣も務めた。政治家のキャリアとしては順風満帆だろう。

失敗はしないにこしたことがないかもしれないが、多くのビジネスパーソンらが言うのが「不遇の時代」を過ごす大切さ。たいていの人は、ふてくされる。東京・新橋や神田の居酒屋で飲んでいると、人事にかんするサラリーマンの鬱憤うっぷんがいかに溜まっているかがわかる。

国会の論戦で蓮舫さんが舌鋒鋭く攻め立てた安倍晋三元総理にしても、第一次政権を投げ出した後から総理として再起するまで、本を読み、人に会い、駄目だった要因をノートに書きだして検証していたそうだ。

蓮舫さんによると、政治家に復帰するかどうかは現段階で未定だそうだ。復帰への試みがうまくいくか否かは、今の過ごし方によるのだろう。寒い冬を頑張って過ごすから、春の温かみがありがたく感じられる。


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