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退職、その後

前回の以下の記事の続き。

自分にとって一つの大きな挑戦が終わりを告げた。これまで、何度か転職をしてきたが、会社に退職を告げたときに次に会社が決まっていなかったことはこれまで一度もなかった。

今回、社会人になって初めて次を明確に決めずに退職することにした。正直、疲れ果てていたし、コロナ禍の中でいろいろと自分の価値観にも変遷があり、自分が何をやりたいのかよく分からなくなっていた。二十歳そこそこの大学生ではなく、四十代のおじさんが「やりたいことが分からない」と言って無職になる、と聞くとかなり残念で滑稽な気もするが、どうやらこれは現実らしい。

これまで、ずっとデジタル推進やグローバル化に携わってきて世の中の先端を走っていたような気になっていたが、正直、本当に多くの人にとってデジタル推進やグローバル化が幸せをもたらすものなのか自信を持てなくなっていた。自分のやっていたことは本当は虚業かもしれない、という思いが頭をもたげてきた。自分の自尊心を守るために、自分は世の中の役に立つ仕事をやっている、と言い聞かせていただけかもしれない。

そんな中、昔の友人に出会った。その友人は会社を創業して社長になっていた。1年半ほど前、一緒に仕事をしようと誘われたこともあったが、私は他の会社を選んだ。だが、今回その友人はもう一回自分を一緒に仕事をしようと誘ってくれた。「これだけしか出せないけど」とすまなそうに言っていたが、その気持ちが嬉しかった。

正直、その会社の仕事が自分の本当にやりたい仕事かどうか、なんてわからない。でも、自分と一緒に働きたいと思ってくれている人がいて、自分が活躍できる場があること、そのことそのものが非常に幸せに思えた。前職では、正に自分がやりたいと思った仕事をしていた。でも、結果は出ず周りには疎んじられ、自分はまるでその会社に存在しないかのような状態だった。

やりたいことをするよりも、必要とされる場所で働けることのほうが幸せかもしれない。死ぬまでチャレンジは続く。


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