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枝垂れ桜の身延山へ

今から40年くらいも前になる。
初めて身延山へ行ったのは、学生時代。春休みだったと思う。仲間とワイワイしながら出かけた。初々しかった頃のわたし。

身延山、言わずと知れた、日蓮宗総本山。山梨県の身延町と言うところにある。今では「ゆるキャン△」の街と言った方が、有名かもしれない。

身延山は、毎年春になると、本堂の前の「枝垂れ桜」が有名で、NHKの関東甲信越ニュースでよく取り上げられる。この時期に一度行ってみたいなと思いつつ、見に行ったことがない。

ニュースによると、毎年人が多すぎて、車が混みすぎるので、どこかの場所に車を停めて、シャトルバスに乗らないとならない。そこまでして行くのもなあと思い、終ぞ行かなかった。

そして、昨年は、コロナ禍による、シャトルバスの中止。今年も引き続きシャトルバス中止。

え~、「身延山の枝垂れ桜」、私には縁がないなあと落胆していたら、学生時代の友人が、
「シャトルバスはないけれど、今年は、自家用車で入れるよ」
連絡をくれた。
「行く行く~」
即答。そうでもしないと、一生行けないかもと思った。

そんなわけで、念願かなって、この時期に「身延山」へ行ってきた。

案内役をしてくれたのは、私を誘ってくれた長年来の友人。そして、彼女の夫君。なんと、夫君は、定年後の人生に、趣味なのか念願だったのか、三門のところにいる「身延山ガイド」になった。
元々、人に教える仕事をされていたこともあり、トークは上手、博識さと探求心旺盛で、ガイドさんが、天職のような方だ。

そんな、身延山の隅から隅まで知っているご夫婦の案内による、散策なので、1歩も2歩も突っ込んだ見学ができた。

本堂や祖師堂の前にある、樹齢400年と言われている枝垂れ桜、確かに見事だった。長年、この桜が見たかったんだなあ。

でも、行ってみて、一番心に残った桜は、本堂があるところから、ケーブルカーで降りた、西谷(にしだに)という、日蓮上人のお墓(御廟)がある山の桜だった。

山が一面、桜色になるくらい、桜の木で埋まっていた。桜山(さくらやま)と言ってもいいかもしれない。
ケーブルカーの駅から、御廟に向かう時に、枝垂れ桜の下を歩く。そこが、桃色のトンネルを通るが如き。手に届きそうな、枝垂れ桜の花。散り始めた花びらが、足元に貼り絵のように。
おまけに、人っ子一人いない。昔話の世界に入り込んだような不思議な感覚になった。

鎌倉時代に、自分の教えが、なかなか受け入れてもらえず、佐渡島に流され、その後、身延に招かれ、この地を生涯の住処とされた「日蓮上人」。旅の途中で、亡くなった折には「墓を身延山に」と遺言を残したらしい。故郷でもない場所である身延に、そこまで思いを馳せたのは、あの西谷の景色なのだろうか。あの景色を見た後では、そう思ってしまう。


それぞれの場所に、その足跡を感じ、湧き上がるパワーを感じた。

あ~、来て良かった。来られて良かった。コロナ禍ではあるものの、いいご縁を頂いたことに感謝の気持ちで一杯になった。寺というのは本当に不思議な場所だ。普段は、信心深くない私に、こんなに神仏のご加護を感じさせてくれる。

この春行きたい場所、したいことは幾つかある。先ずは、今回の「身延山の枝垂れ桜鑑賞」が、一つ叶えられた。


期待以上の美しさを魅せてくれた「身延山」の桜山。君は素敵だ。


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