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写真をプリントすることが大切だと感じている理由

写真を飾ろう!と伝え始めた理由は、「写真を飾ることで子どもの成長が可視化される」ことや、「写真は良い時に撮ることがほとんどだと思うので、楽しい記憶をいつでも見れる場所に置く」という理由が大きいところではありますが、ポジティブな意味だけしかないかと言うとそうでもありません。
以前、「写真屋さんの現像とコンビニプリントの違い」でも少しだけ書いた震災も写真を形にすることを伝えたいと思った大きな理由のひとつです。

被災された方が避難所から自宅へ戻った時に「家族写真を探す」という話は聞いたことがありますか?
当時、テレビでも報道されていましたが通帳でも印鑑でもなく、家族写真を探しているという話に衝撃を受けました。

写真は食べ物や衣類のように、生きていく上に絶対必要なものではありません。思い出や記録に撮るというように、暮らしの彩りの部分で活用している方が多いと感じています。
でも、目の前に困難が立ちはだかった時。そんな時に気持ちを支えてくれる存在に写真はなり得るのだということに驚きました。

もちろん写真を趣味だけではなく、職業にもしている私は写真の「見ていると撮影時の記憶を蘇らせる力」や「感情が写る力」など、写真って素晴らしいものだと感じているから写真を続けていますが、この話を聞いて改めて私たちフォトグラファーという職業は、生きることに寄り添うお仕事をさせていただいているのだと強く認識しました。そして写真を手に取れる形にして残すことの重要性も再確認しました。

そのことについて、より詳しく知りたいという方には東日本大震災の津波で流されてしまった泥だらけの写真とアルバムを洗浄し、持ち主に返却する人々の活動を取材した「アルバムのチカラ」を紹介します。
大きな震災を経験したことがない私よりももっと濃く厚みのある話がしっかりと伝わるはずです。

ただ、この本にも書かれていたいくつかのことはスマホやデジタルカメラで写真を撮ったことがある全ての人に心当たりがあるはずなので、こちらでも少し紹介します。

カメラ講座をしていると「スマホが壊れて我が子の生まれてから今までの写真が全てなくなってしまった」という話を時々、耳にします。
何百枚、何千枚もの愛のこもった写真が失われてしまったという話に心が痛くなりながらも、そのようなことがもう繰り返されないようにと「写真はバックアップをしましょう」ということをこれまでもカメラ講座やブログで伝えてきました。

もちろん複数の場所に写真をコピーしておくことで、1箇所がもし壊れても、他のところから写真を救済できるのでバックアップはデジタルデータの保管には有効です。
でも一体どれくらいの期間、バックアップが必要なのか考えたことはありますか?

データで残すということは、こまめにコピーし続けないといけないんだということが、どれだけ世間に伝わっているんだろう?と、僕はとても疑問に思いました。
「アルバムのチカラ 増補版」より

ずっとです。残しておきたい写真はずっと。
気が遠くなりそうだけど、繰り返しコピーし続けなくてはいけないのです。

写真をプリントしなくなったお母さん方が、将来、お子さんに「結婚式で見せたいから、子どもの頃の写真ちょうだい」と言われ、押し入れからCDを出してパソコンに入れてみたら、データが壊れていた、なんてことが充分に起こり得るわけです。
「アルバムのチカラ 増補版」より

私も偉そうにこんなことを言っていますが、デジタルで撮影した最初の方のデータは壊れたり、紛失したりして手元にありません。

でも、フィルムで撮っていた頃の写真はどうでしょうか。
プリントしているため、1番最初にフィルムカメラで撮った写真から1枚残らず全て残っているのです。

大切な写真であればあるほど、形に残さなければと思うのはそういう理由。
物を減らして身軽に生きたいと思いつつも、身軽にして良いところと良くないところはきちんと考えなくてはいけないと思わされます。

だからこそ「写真を飾るということ」というまとめでは、プリントすることはもちろんプリントした写真をどう飾る(保管する)のかということを紹介しています。

写真を飾りながら保管することのヒント探しを一緒にできれば嬉しいです。


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