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背中掻きのプロ・背中掻き職人

「お客さん、背中、痒くないかい?」
そう、私こそが背中掻きのプロ、背中搔き職人である。幼少期、夏休みのお盆の頃に、親戚一同が祖父母の家に泊まって親睦を深めていた。いとこのお兄ちゃんと私と弟で寝ていた時に、いとこのお兄ちゃんが背中が痒くて辛いから掻いてくれと言われたので、掻いた。

すると、「すげぇ!完璧だ、完璧だよ!」となった。どうやら力加減、掻く場所、掻き終わるタイミング、掻き終わった後の地ならしする叩きの力。完璧らしい。そこから毎年、親戚が大人になるまで、夏に集まるといとこの背中を掻くことを通して、その「妙」を極めてきた。

今となっては妻が背中が痒いというと、120点の掻きをし、高い評価を得ている。もはや痒いから掻いているのか、掻くことによってデトックスを起こしているのか分からない。背中の湿度や洋服との関係を指先で感じ取り、痒い場所を明らかにしている。許されるんだったらココナラで売りたい。(398字)

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