ろめでんデイリーダイアリー

2-2 能登半島地震と復興 北陸新幹線延伸は能登半島地震の復興の起爆剤になれるか(2024年3月)
 
   3月16日、北陸新幹線の敦賀~金沢間が開業した。この延伸によって石川県の加賀温泉や恐竜の街・福井県へのアクセスが容易になった。特に福井はこの開通に合わせ、恐竜スポットや外資系ホテルがオープンした。1(NHK NEWS WEB,2024年3月15日)
 
個人的には、地震の復興を優先するために半年ぐらい延期してほしかった。新幹線開業を理由に「被災者を引き続き受け入れながら観光客も入れる」2(NHK NEWS WEB,2024年2月16日)という苦労をさせてしまっているからだ。
 さて、今回は1-1以来となる、「能登半島地震の復興」をテーマに扱う。同じ北陸の地域にとって“発展的”な出来事になる新幹線延伸は、北陸地震の復興への力添えになるか考察する。
 北陸新幹線延伸は、能登半島地震の復興になる面もあるが、復興に貢献できない面の方が多い。
 復興になる面は、2つある。1つ目は地域の活性化である。開通に合わせた地域の観光スポットや宿泊施設の増設で、訪問客が増え、地域経済の活性化につながるといえる。また、恩恵はごくわずかだが、高速鉄道が開業したことで、福井からの被災地へのアクセス時間が短くなり、復興支援に行きやすくなった、ということも言えないことはない。
 一方、復興の力になれない面も多い。理由は3つあると思っている。まず、被災地域と開業地域は異なる。地震の被害が大きかったところは能登半島付近であり、新幹線が開通した石川県西部~福井県とは大きく離れている。北陸新幹線延伸が被災地の復興に向けて1歩前進したとは言い切れない。次に、これが最も大きな理由だが、地域避難民の置き去り問題である。新幹線開通に伴い、2次避難所として利用できていたホテルが予備の避難所として使えなくなることだ。観光客と避難民の対応の両立ができず、2次避難所としての機能を終えることもありうる。3点目は、両立できた場合でも、観光客と避難民の間での衝突が起こりうる点も留意したい。観光客が増えていくにつれ、”同じ北陸なのに住んでいるところは地震で壊滅して復興までに時間がかかるのに、新幹線が開通した地域は元気でうらやましい、という不公平感を感じさせてしまうのではないかと思われる。
 まとめると、地震が起きた地域と開通した地域が異なるため、被災している方に複雑な思いをさせてしまうため、北陸新幹線延伸は能登半島地震の復興シンボルにならない、というのが私の考えだ。
 
参考資料一覧
1 NHK NEWS WEB,2024年3月15日20時5分,「恐竜ロボットも熱烈歓迎! 北陸新幹線 敦賀-金沢 16日延伸開業」,NHKホームページ(最終閲覧日:2024年7月13日,https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240315/k10014391631000.html
2       NHK NEWS WEB,2024年2月16日17時56分,「北陸新幹線 金沢~敦賀の開業迫る 宿泊施設が直面する問題とは」,NHKホームページ(最終閲覧日:2024年7月13日,https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240216/k10014360711000.html

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