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いまおかしんじ「遠くへ,もっと遠くへ」

横浜シネマリンで、いまおかしんじ「遠くへ,もっと遠くへ」 脚本は井土紀州。

夫に愛を感じなくなった家具デザイナー(新藤まなみ)が、離婚後の新居の下見で知り合った不動産営業マン(吉村界人)に、彼の別居妻(和田瞳)とケジメ付けさせるべく遥々北海道までの北紀行。心通じ合う遅い男女がもっと遠くへ、叙情的恋愛ドラマの良作。

果てしの無いロングロングロードムービー。栃木と北海道で入念なロケしてる。栃木は真岡の家系ラーメン甲子家で店長は我らが川瀬陽太。吉村の家から失踪した瞳が働いていた店。でも彼女はもう居ない。吉村は迎えに来るのが遅すぎる!彼女を抱いた川瀬が言ったw

お節介者のまなみは、自分が夫との不仲で第二の瞳になっていることなど露ほども気づかずw吉村を牽引して瞳を探し始めた。なぜなら吉村の心を私のものにするには瞳とのケジメが足りない。そう考えるまなみは感じたこと即実行できない、彼女もまた、遅い人なのだ。

北海道に入るまでと入った後とで劇的に印象が異なる。モチーフはまなみの新冠の実家の壁に貼ってある北海道全図。本州の人は見たことない、北海道だけでどんだけでっかいどうなんだよ!と思う。札幌から小樽、更に吉村とまなみの育んだ愛はもっと遠くへ向かう。

ヒロインの新藤まなみは、5か国語が話せるグラビアアイドルと言うことで(と言うことで、じゃねーよw)小樽からサハリンに渡ってシベリア鉄道でモスクワに入って更にヨーロッパでインテリアデザイナーになっても大丈夫ですね、語学堪能っていいことある(^^)/

秋から冬にかけての素晴らしい北海道の情景が、スクリーンに焼き付けられている。時代が変わってもこれは不変だ。北海道に入った瞬間から、人物よりも情景の方に表現力が移るんだよね。大自然の雄大さを前にしたら、人間なんてなんてちっぽけなものだろうと思う。

ヒロインの新藤まなみは目がぱっちりハキハキ意思表示を明確にするいかにもキャリアウーマンで、釣り好きで内に籠る性格っぽい旦那とは明らかに相性悪いよね。それよりも見た目ダメンズで万事に煮え切らない吉村は破れ鍋に綴じ蓋みたいな相性の良さを感じる。

フツーなら一週間の有給取って、失踪した嫁を探しに旦那と、知り合いになった離婚考えてる人妻がカップル北紀行を続けたら、映画にでてこないだけで実はヤッてるんでしょ?と考えるものだけど、ホントにヤッてないんだよね。このムダに几帳面なのが遅い人たち。

魚釣りに夢中で妻のまなみの「私も連れてって」にうわの空の夫「だってウキが動くか眺めてるだけで退屈だって言ってたじゃないか」改めてまなみに初心者用の竿を勧める夫に「そんなこと言ってるんじゃない」絶望感を深める。

まなみは家具デザインの接客をした帰り、ゴミ箱に捨てられた自分の作成した見積書を見つけてしまい、刹那的に不動産屋に飛び込んだ。ここで応対してくれたのが妻と別居中の吉村であった。

案内された物件の床に寝転がって、これからやって来るであろう解放感に浸るまなみ。物件チェックもそこそこに多摩川の河川敷に飛び出して目の前は川なのにヤッホーと叫び吉村は「この変な女、何やってんの?」

吉村はまなみの指に結婚指輪が嵌められているのを見て思わず「キラーン」どうして結婚してるのに新居なんか探してんの?俺なんか帰って来ない嫁を待ち続けて3年、ずっと待ち続けての結婚指輪だぜ「キラーン」そしてある日の夕食中、それとなく離婚を切り出そうと思っていたまなみに予想外の別れを切り出した夫。

まなみは寂しくなって不動産屋を訪ね、飲みに誘われ半信半疑でついてきた吉村はまなみと飲み会が楽し過ぎてヤッホー、帰りの夜道で刹那的にキスして、ここからホテル行って・・・とならないんだよね。吉村は「なぜ?」とびっくりするがまなみの目から見て吉村は失踪した妻を3年も放っておきながら完全に引きずってる、それが見え見えだった。

吉村は出て行った妻が自分から帰って来るだろうと3年も待ち続ける。なに?この根拠のない自信wというなかれ、吉村は瞳のことが好きなんだよね。でも追いかけて探す勇気が無いままどん詰まりだったところに、皮肉なことに離婚を考えてる人妻のまなみが現れた。

出奔した吉村の妻・瞳が最初に同棲していたという会社の同僚のチャラ男が部屋にフー・ファイターズとラモーンズのポスターがデカデカ貼られていて、オーディオセットも充実、いまおか監督か井土紀州さんのどっちかがファンで私物なのかな?と思っちゃったw

吉村もまなみも、離婚届こそ出してないけど精神的にバツイチ状態で目の前に「この人なら・・・」と思える異性が現れて、でも本気で好きになるってどういうことか分からなくなっちゃったから、という恐怖心でセックスできない。落とし前をつけるための北海道。

まなみには、楽しい気持ちになるとスキップする癖があった。まなみは吉村のことが気に入り、奥さんとケジメを付けさせるために、彼女がいるという栃木真岡のラーメン屋に向けて北紀行が始まる。

でも果たして、目的地のある旅なんてあるのかな?と思う。吉村の目の前から失踪した妻の瞳を探すための北紀行が、やがて別の目的に変わるのは吉村とまなみが今度こそ結婚する前にお互いのことをホントに知ろうということ。

レジェンドピクチャーズの制作だから当然、ハダカは出て来るんでしょ!と思えばなかなか出てきません(ゴラァ!)でもイイんです。和田瞳はセクシーブラパンティ止まりなんだけど、最後の最後にスケスケのネグリジェ着たまなみは乳首が透けて見えてんですけどw

ずっとずっと死守して来た、まなみたんのカワイイ乳首が、札幌での吉村と完全に分かりあえた熱い夜に、ついにスケスケネグリジェも脱がせて乳首モロ出しになった瞬間のカタルシスったら!恋愛ドラマだけど同時にエロスも小出しにしながら快適な旅を続けますw

まなみは新冠の実家を訪れれば父を亡くして独り身の母親は苫小牧の教会で美声を披露し専業主婦だった頃よりも輝いてた。まなみは札幌に戻り妻の瞳と再開した後、自棄酒飲んでる吉村に幸運を確信、瞳に会うために夜の札幌大通り公園へと向かった。

吉村がようやく妻の瞳に再会してみれば、彼女はソープ嬢に堕ちていたんだけど、1年前に別の男との間にできた娘をシングルマザーとして育てていて幸せだという。大通り公園で吉村と会う前に瞳と会ったまなみ、深刻な話をしてるはずなのに自然と足はスキップしてしまうw「ホントに彼に未練はないのね」念押しして確認して、やっと心の荷が下りた。

まなみが吉村と行きたいのはサハリンの真岡(まおか)瞳が以前に働いていたラーメン屋のあった栃木の真岡(もおか)と字は一緒だけど読み方が違う。でも小樽に着いてみればサハリン行のフェリーは無期限休航となっていた。

二人は目の前に広がるサハリンへと続く広大な海を前にしてはしゃいだ。まなみも吉村も「キラーン」と結婚指輪を指から抜いて海に放り投げた。密航は漁師に断られたけどwいつか日和を待てばサハリンに渡ってシベリアからモスクワに出て、私、ヨーロッパでインテリアデザイナーなんて良いかも。

吉村とまなみは、小樽港の貨物線路の上を手を繋いで歩いた。吉村が楽しくて機械仕掛けのロボットの真似するとまなみも真似して「真似すんな」「真似すんな」

吉村は「勝手にしろ」なんて言わないし、まなみは吉村と一緒にいることがこんなにも楽しくて心が穏やかになるなんて想像した以上だと思ってスキップした。「私たち、どこだって行ける。もっと、もっと遠くへ」

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