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城定秀夫「デコトラギャル奈美 爆走!夜露死苦編」

城定秀夫「デコトラギャル奈美 爆走!夜露死苦編」 脚本は貝原クリス亮との共同。

人気シリーズ「デコトラギャル」シリーズの第二弾。デコトラギャルの吉沢明歩と高校時代にタイマン相手だった、亜紗美が警官で登場。麻薬捜査中に夫を殺された彼女は単独で決死の囮捜査。明歩が預かった一人息子との交流に心温まる。スピンアウト上等!なプログラムピクチャーの大傑作。

本作の主人公は吉沢明歩ではなく、彼女が高校時代にスケバンを争った亜紗美。明歩が白のセーラー服に銀髪にチェーン、亜紗美が黒のセーラー服にアフロヘアに金属棒、という「亜紗美がヒール」感をバンバン出し、でも亜紗美はとってもイイ人でオトす。

明歩は相変わらずの男勝りなデコトラギャルだが、亜紗美の方のキャラ設定は、明歩とタイマン中に止めに入ったイケメン刑事と肉体関係になり、リクルートされて婦警になった。でも夫は潜入捜査中にヤクザに殺され、警察は夫の死を隠ぺいしてしまった。

交通課に勤めながらも、密かに夫の復讐を果たすため麻薬取引組織を調べ上げる亜紗美。命がけの一週間の潜入捜査のため、明歩に可愛い一人息子の祐太を預ける。最初は明歩に懐かない悪ガキの祐太だが、亡き父親に重ねる吉岡睦雄ごと周囲と馴染んでいく。

亜紗美の命がけの麻薬売春臓器売買組織(←どんだけ乗っけるんだよw)囮潜入捜査は失敗に終わり、救出に向かった明歩も万事休す。でも吉岡が皆を救った。祐太君が「絶対に一緒だよ」と亜紗美と約束したクリスマス。でも重傷で入院してしまう亜紗美。

明歩は助手席に座りリコーダーで「おめでとうクリスマス」を吹く祐太になんとか最高のプレゼントを渡したい。そしてクリスマス当日、デコトラの荷台から現れたのは可愛くサンタクロースを衣装を着た母親の亜紗美。抱き着く祐太君。もう涙腺は大決壊!

明歩のおやっさんから「面倒見てくれよ」と頼まれ傍にいる、仕事仲間の吉岡睦雄。トラック野郎御用達の食堂のおやじさんに野上正義。トラック野郎バカ兄弟に中村英児と松浦祐也。ヒロインあっきーを取り巻く男たちは固定。まさにトラック野郎な世界!

観客の側からするとエロVシネなので有難いのだが、トラック野郎と同じようにw魅力的なヒロインが一話ごとに立つ。本家なら菅原文太が失恋して終わりなのだが、デコトラギャルの場合、ヒロインがあっきーを差し置いてキラキラ光り輝いてしまう(笑)

第一作目と同じで、トラック野郎オマージュは前半でどんどん消化、後半に入ってからは明歩はほとんど物語の蚊帳の外になり(笑)AVでよくある女麻薬捜査官が潜入捜査に失敗してヤクザに拷問されるエグイ展開に、これはもう、デコトラギャルじゃないw

後半からどんどん映画の主役を争奪してしまう亜紗美。抜群の身体能力で大殺陣廻りを披露するが、拳銃には敵わない。ヤクザのアジトは売春クラブで、ママが速水今日子。シャブ漬けになった売春婦がしじみ。あさりとしじみ、いや亜紗美としじみの共演w

前半はトラック野郎のオマージュだったのに、後半に入るといつしか任侠ものアクションVシネとしか思えないダークでバイオレンスな展開。でもご安心ください。第一作目と違い、物凄いハッピーエンドに感激の号泣。だから本作は大傑作なのです。

冒頭、デコトラの荷台で居眠りした明歩。高校時代、別の高校のスケバンとタイマン張った思い出の渚の傍にデコトラ停めたもんだから、リアルに自分はチェーン、亜紗美は鉄棒で殴り合いになったあの日を回想していると、デコトラに落書きする悪ガキ。その悪ガキ、祐太君は走って逃げてしまう。

第一作目で明歩と結ばれた吉岡。恋人気分で近づいてきて、観てる方も気持ち悪いや(笑)で、吉岡の受注ミスでwデコトラを高速走行させてると、パトカーが「ピーポーピーポー」から「そこのトラック、止まりなさい!」でも、トラメガで叫んでるの、ホリケンじゃない、亜紗美だ(笑)

明歩は猛スピードで亜紗美をまくと、そのままガミさん経営のいつもの食堂へ。ここに松浦&中村のバカ兄弟が大金持って登場。「ステーキ定食!」でもガミさんは「そんなのねえ」「じゃ、一番高いの!」「はいはい、かつ丼ね」カツ丼が一番高いってどんだけ大衆的なんだよw

松浦と中村が大金を稼いだ理由、それは漁港から深夜に荷物を受け取り翌朝2時きっかりに郊外の人気の無い倉庫で受け渡すという仕事(←普通、ヤバい仕事だと一瞬で気がつくだろw)その時はバカにして(* ̄- ̄)ふ~んと無関心な明歩だったが、これが重要な物語の転機となる。

ガミさんの食堂は駐車スペースが無い(←それでトラック野郎御用達なのかよw)亜紗美が「駐車禁止」の貼り紙をバンバン貼りながら「知らなかったじゃあ、済まされませんよ」(←これも重要な前振りに)ここで初めて、明歩は婦警の亜紗美が高校時代のスケバン好敵手と気づく。

亜紗美は「ここで会ったが百年目」とばかり「制限速度40kmオーバー」「駐車禁止違反」さらに暴れる明歩の腕を掴み「公務執行妨害」wwwで手錠をかけて逮捕。吉岡が身元引受になるが1ヶ月の免停で明歩は生活苦に陥り、金策する必要が生じた。

困りながらガミさん食堂でランチしていると、中村&松浦のバカ兄弟が(´・ω・`)ショボーン。聞けば彼らも免停になったとのこと。免停明けの明歩は、背に腹は代えられない!と怪しい仕事と薄々分かりつつ、漁船から荷物を受け取り、郊外の倉庫に持って行く仕事を始める。

待ち受けるはヤクザの石井亮。箱の中身を空け「ボジョレーヌーボーだよ」で、明歩が50万円受け取って帰ろうとすると、何と亜紗美が助手席に。「まあ、家で話を聞いて」亜紗美の家には悪ガキの祐太が!明歩は思わず「この野郎!」でも、旦那さんは?

悲し気に遺影を見やる亜紗美。彼の夫は元刑事で、亜紗美をヤンキーの道から構成させてくれた。腕っぷしの強さを買って警官に推薦してくれた。でも、捜査第一課の刑事だった夫は、麻薬取引の潜入捜査中に殺害され、不祥事を恐れる警察はこれを隠ぺいした。

亜紗美は、亡き夫のため、麻薬組織の全貌を解明し、復讐するため、交通課所属なのに単独行動で捜査していた。そして逮捕まであと一歩、彼女は明歩に「祐太のことを夜露死苦」と置手紙を残し、一週間、家を空けた。でも、祐太は明歩に全然懐かない。

そんな時、吉岡の出番だ。デコトラのミニカーを走らせる吉岡、パトカーのミニカーで追いかける祐太(笑)すっかり仲良くなり、明歩を「おばちゃん」と呼ぶ、彼女にとって癇に障る祐太は、段々と我が娘のように可愛くなってきた。まるで吉岡、明歩、祐太の三人は家族みたいに仲良くなる。

一方、亜紗美は麻薬取引のアジトとなっている売春クラブを訪れる。ママの速水今日子はしらを切る。この辺りからヤクザVシネ系に映画のトーンがガラリと変わる。シャブ中のしじみが登場、ラリッて客の相手をしに行く。石井は「あいつもそろそろ香港に売り飛ばすか」

石井と今日子が組んで商売する反社感マンマンの売春クラブ。ここでは、ヤクの密売、女をシャブ漬けにし売春婦、訳アリの奴は臓器を海外に売り飛ばす、ありとあらゆる非合法な商売に手を出していた。それでも逮捕されないのは、警察とのひどい癒着があったからだろう。

亜紗美は、このクラブで売春婦として働き始める。でも最初に味見と称して亜紗美を抱く石井。アソコにヤクを塗りたくり、ガンガン犯す。口から涎を垂らして失神する亜紗美。目が覚めると石井が銃を構えている。身元があっさりとバレたのだ(警察手帳をバッグに入れとくのはマヌケ過ぎw)

亜紗美は石井に「私を殺しても、あんたたちの凶悪犯罪の証拠はすべて残してある。石井は亜紗美を配下の組員たちに輪姦させる。それでも口を割らない亜紗美だったが、自白剤を注射され、無念にも証拠を収めたSDカードの場所を吐いてしまう。

一週間たっても亜紗美が帰って来ず心配する明歩。そんな折、亜紗美の家に石井配下の組員が家をひっくり返してなにか探している。亜紗美の身になにか起こったと感じた明歩は祐太を連れてデコトラに乗り、逃げ出したが、組員たちも猛スピードでカーチェイス。ここでやっとデコトラギャルだぜ!敢え無く組員の車は大破!

明歩は祐太が首から下げているクマのポシェットにSDカードが入っていることに気づく。祐太は亜紗美が出かけるとき「今年こそ、一緒にクリスマスを過ごしてね」亜紗美も「じゃあ、これをお母さん代わりに首から下げておいて」亜紗美はSDカードを隠したのだ。

明歩はSDカードだけ取り出すと、祐太を走って逃がす。組員に銃を突きつけデコトラで駆け付けてみれば、それはいつか50万円の謝礼をもらったボジョレーヌーボー受け渡し現場だった。石井は亜紗美の頭に銃を突きつけ「なんだ、あのときの姉ちゃんだったのか」

石井は明歩に取引を持掛ける。俺が先に亜紗美を解放するから、そのSDカードを渡せ。でも卑怯にも明歩がSDカードを渡した途端、亜紗美に向けて銃を放つ石井。でも弾丸は胸に向かわず尻へと逸れた。ここに、積まれた段ボールを突き破って吉岡のデコトラ登場!二作目にして吉岡が初めて何かの役に立った瞬間だった。

亜紗美は入院した。祐太の面倒は引き続き明歩が亜紗美の家に同居しながらみている。まるで親子みたいだ。デコトラの助手席で祐太がリコーダーを取り出し「おめでとうクリスマス」を吹く。「今年は、お母さんと会う約束したんだ。お父さんもお母さんも、ずっと仕事で忙しかったけど、今年は絶対に会うって」

いつものガミさん食堂。亜紗美が違法駐車で取り締まった中庭。トラック野郎仲間たちが集まっている。雪がチラチラと舞うクリスマス当日。明歩が祐太に「今日はステキなプレゼントがあるのよ」デコトラの荷台の扉を開けると、真っ赤な可愛らしい服を着た亜紗美サンタさんが立っていた!(←まだ病気で絶対安静らしいがw)思わず「お母さん」と抱き着く祐太。もう私の涙腺は大決壊、号泣!でも、ステキなステキなハッピーエンド。

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