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城定秀夫「人妻」

ラピュタ阿佐ヶ谷で、城定秀夫「人妻」(成人映画公開題「人妻セカンドバージン 私を襲って下さい」)

年上の夫に愛されず心も身体もポンコツな寂しい人妻(七海なな)が、夫の留守宅に侵入した殺人未遂犯の工員(吉岡睦雄)を匿い始め、彼と一緒に逃げれば幸せかもと思う、密室に蠢く訳あり男女の出会いと別れ息が詰まるような官能ポルノの傑作。

ヒロインの人妻を演じる七海ななの病的なエロチシズムがイイ!眼鏡っ子でビクビクと小リスのように震えていたかと思えば突然大胆になって窃視している暴漢におっぱい見せて誘うメンヘラー人妻を好演!こんな女は怖いけど分かって泥沼にハマりそうw

城定秀夫は2003年に若冠27歳にして衝撃的な傑作「味見したい人妻たち」でデビューしてから10年間、エロVシネ職人に専念しその間に作りも作ったりその数60本!それが10年の時を経て同じエクセスで2013年に円熟の37歳になって撮ったラストフィルム。

本作は城定監督のラストフィルム(と言っても2本しか撮ってないけどw)なだけでなく、エクセスピンク25年の歴史の最後を飾るラストフィルム。新時代の旗手と目される城定秀夫が山内大輔と両雄相並びたちエクセスフィルムの歴史に幕を下ろした。

きめ細かく設計されたロケとストーリーテリングは、本作がピンク映画としてはやや長めの64分の尺を持つことを忘れさせ、ジェットコースタームービーのようにあっという間に終点に辿り着いてしまうのだが、その空気感はむしろダウナーなやるせなさ。

人妻ななは、夫に愛されず浮気され精神を病んで気管支の病気に苦しみ、地獄のような主婦生活の中で殺人未遂犯の闖入者の青年に夢を託してしまうのよね。彼だったらポンコツの私をもっとステキな素晴らしい世界に連れ出してくれるかも知れない。

ななは、浮気する夫に抱かれぬままセカンドバージンとして退屈な日々を過ごす中で、闖入して来た工員の吉岡と狂ったように情交を重ねる。夫に気づかれぬように息を押し殺して風呂場で屋根裏で、とにかくヤリまくる。でもね、互いに名前すら知らない。

本作のクライマックスは、ななが吉岡に「私を連れて逃げてよ!」迫る場面と、脱出した吉岡を見つけ駆け寄ってトラックに轢かれw吉岡が「この人、知りません」に猛然と追いかけるコミカルなシーンもあるけど、やっぱりヤクでラリってFUCKシーンだよw

廃屋でヒャッハー系のバカップルがヤクを隠し持ってラリFUCKしてるのを自慰しながら覗いていたななは、ここぞとばかり気絶した吉岡を廃屋に運び込み、対面座位で身体を貪り合うエクスタシーの瞬間はバカップルの乱入で敢え無く終わったのでしたw

本作はバカップルの女に仁科百華、夫の浮気相手にさくら悠、二人バスト100cmを超える巨乳ちゃんを当てているが清々しいまでの濡れ場要員、映画はずっと身体が火照って堪らん人妻ななの痴態をカメラで視姦するようなインモラルな雰囲気に包まれる。

ザックリ言えば、年上の夫と結婚した暗くて地味な若い眼鏡妻のななが、自宅に闖入してきた殺人未遂の工員・吉岡を匿っているうちにすっかり頭がおかしくなり愛情が芽生え、怖くなった男は警察に出頭、若妻はイイ女に生まれ変わってしまう狂気。

城定監督らしく、細かくエピソードの種を撒き、丁寧に回収していく構成。数えたら、おおざっぱに数えても50エピソード近くあった。60分強の尺で、1エピソード平均は約30秒だが、5分近い長回しも4パターンくらい入れて、メリハリをつけている。

映画的に印象が強いのは屋根裏部屋の吉岡が、寝ているななと夫の布団を覗く場面。「江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者」で石橋蓮司が長弘に糸で口から毒を盛るのと全く同じ構図だが、本作ではなながおっぱいを見せてくれる。観客に最高のサービスw

ラストで高校生の少年がななに「今度、家に遊びに来ていいですか?」と聞くと、ななが「裏口から、入ってね」と答えた後、吸えなかったタバコを「(-。-)y-゜゜゜」と吸う場面、最高です。物語を丹念に積み上げてきて、最後にドン!と花開く瞬間だ。

麻木貴仁のとぼけた警察官が( ・∀・)イイ!!吉岡が刃物で七海ななを脅している中、職務質問、彼女に欲情し「ちょっとトイレ借りてもいいですか」吉岡がもう出頭しようと自転車で通りがかった麻木に石を投げる場面の「イテッ」、何となく可笑しいw

冒頭、ヒロインの地味で暗い眼鏡妻ななは、かなり年上の夫と同居しているが、関係は冷え切っている。料理が下手なななは朝食を上手く作れず呆れた夫は玄関で顔を合わせることも無くそのまま出社。夕食もいらないと言われ絶望的な1日が始まる。

縁側でボーとしているななは、爽やかイケメン高校生に「こんにちは」挨拶されるがガールフレンドに手を引っ張られ、去って行った。ななの数少ない楽しみは宝くじを買うこと。新聞で当たり番号をチェックするが全て外れ。馬券のように破り放り投げた。

ななは化粧して廃工場倉庫へ向かう。右側から左側へ歩くカットが実に城定的。倉庫にバイクで乗り付けたヒャッハー系の若者の中村英児と百華が机に隠したコロンビア産の麻薬でラリッてFUCKを陰から見て、オナニーするなな。これが彼女の至福の瞬間。

ななの夫は残業だ出張だとウソをついては浮気。相手は部下OLのさくら悠(加藤義一「極楽銭湯 巨乳湯もみ」のヒロインで以上にデカいおっぱいを披露してくれた娘)ななとの離婚を迫られるが、ななへの愛情を捨て切れないんだけど、帰宅すれば冷たい。

ある昼下り、殺人未遂犯の吉岡が窓ガラスを豪快に割って家に侵入した。ななを脅し取り敢えずお腹が空いたから何か作ってくれという。こんな状況でも冷静に料理を「味が良く分からないから」と差し出した所に警察官の麻木貴仁が巡回に訪問した。

「何か不審なことはありませんか」ななは「いえ別に」色気づいた警官は「トイレ借りていいですか?」でも断った、吉岡がナイフを突きつけて脅していたのだ。欲情した吉岡は、ななを押し倒してレイプしようとするが喘息持ちの彼女は引きつけの発作。

吉岡が薬を飲ませて発作が収まった時を境に、ななは吉岡を屋根裏部屋に匿うようになった。屋根裏部屋でトイレでとにかく狭い場所で愛し合う二人。狭い場所でのFUCKはエロチック。吉岡のモノをワンワンスタイルでフェラするななは膝が痛いよー。

そうだ!(そうだ、じゃねーよw)吉岡用の布団を買いに出た所に通りがかる爽やかイケメン高校生「手伝いましょうか」二人で布団を持つと彼は「彼女が他の男とライブ行った。俺には焼きもち焼くのに」ななは「女なんだから許してあげなさいよ」

ななは天井板を外して食事を吉岡に渡す。そしてアクロバティックにキスする二人には確かに愛情が芽生えていた。夫は帰宅するなり「味噌汁は薄い」呟く。ななは「お味噌切らしちゃって」吉岡の食事の準備だけで、ななは目一杯だったのだ(笑)

夫が溜息をついた瞬間ななに「たかがお味噌くらいで」殺意が湧いた。夫は朝になると「夕食いらない」そっけなく家を出る瞬間、ななは背後から靴べらで夫に殴り掛かり、血を流し昏倒する夫。夫との息詰まる生活を清算したいななの見た白日夢であった。

現実のななは夫と靴べらの引っ張り合い。でも夫の一言は「病院に行けよ」ななの頭の中にはもう吉岡しか無い!帰宅した夫が「近所の工場で殺人事件があったそうだ。工員が社長を刺した」ななは吉岡と直感するが「ふーん、そうなの」とシラを切った。

部屋で吉岡の服をアイロンがけするなな。彼女は新聞で宝くじの当選番号をチェックして「当たった♡」吉岡が「いくら?」と聞くと「300円」これは吉兆、吉岡との出会いによって真っ暗な現実が明るい未来に変わる予感、ななには見える明るい未来。

ななは吉岡にウソをついた「あなたが刺した社長さん亡くなったんだって。あなた殺人犯よ。カッコいいじゃない」顔面蒼白の吉岡。ノリノリのななは屋根裏部屋から覗く吉岡に寝ている夫の隣で胸をはだけおっぱいを見せて挑発。これサイコーのカット。

翌朝、夫が出かけた後、吉岡の食事を作るため買い物に出かけるなな。怖くなってきた吉岡は、自分が勤めていた工場に電話してみた。「社長お願いします」「社長は入院中です。もうすぐ退院しますけど」吉岡がななに恐怖を感じるには十分な状況。

脱走した(笑)吉岡が歩いていると買い物をどっさり抱えたななとすれ違った。ななは吉岡がこのままいなくなってしまうのではと思い駆け出すが、走って来たトラックに轢かれてしまい大の字に倒れ運転手の城定が慌てて飛び降り「大丈夫ですか?」

城定運転手は吉岡に向かって「あなたお知り合いですか?」と尋ねたが、「こんな女、知らない」wwwここで怒ったなながムクッと起き上がって吉岡を追いかけ始めるチキンレースは缶詰を投げたら吉岡の額に当たって流血して失神の大騒動に発展!

手押し車にシートをかけて吉岡の身体を運ぶななに、爽やかイケメン高校生が声をかけた「手伝いましょうか」今度は断るななw吉岡を廃工場倉庫に連れ込むと、ヒャッハーカップルのコロンビア麻薬を勝手に取り出し、噛み砕いて吉岡に口移しで飲ませた。

ラリッたななと吉岡は視界がグルングルン回る中で対面座位で抱き合ってガンガンセックス開始。吉岡が「きもち、いーよー」と叫びながら絶頂を迎え「でも俺、好きとか付き合うとか、そういうの、むーりー。キャバクラ嬢みたいな娘がタイプだから」

ななも吉岡に「私があなたのこと好きって言ったこと、あったっけー」ここで慌てて飛び込んでくるヒャッハー系カップル。「あ、俺のコロンビア産!この野郎」吉岡に殴り掛かるが「俺、この女に無理やり連れて来られて、金ないんでこの女置いていきます」

吉岡は去り際、ななに「あんた名前なんて言ったっけ?まいいか、もう関係ないし」工場倉庫の前で石を投げて遊んでいる吉岡を麻木警官が自転車で職質。石を投げつける吉岡「いてて」声を上げる麻木「顔、血だらけじゃないか」吉岡は「俺、自首します」

家に戻ったななに夫が妙に優しい。いつもは無愛想に家を出ていくのに、今朝は「夕食、家で食べるから。仕事ひと段落ついたから、当分は家で食べるよ」夫が出て行ったあと「ホントは、フラれたくせに」捨て台詞を吐き捨ててニヤッと笑ったなな。

洗濯物を干し縁側で一休みしていると、爽やかイケメン高校生が通りがかった「今日、家に来ても良いですか」ななは微笑みながら「裏口から、入ってね」吉岡が残していったタバコを、美味しそうに一服(-。-)y-゜゜゜ 彼女の至福のひと時が始まる。

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