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阪元裕吾「ベイビーわるきゅーれ2ベイビー」

横浜シネマジャック&ベティで、阪元裕吾「ベイビーわるきゅーれ2ベイビー」

ちさと(高石あかり)&まひろ(伊澤彩織)のゆるフワ殺し屋コンビがリターンズ。不遇な非正規殺し屋のゆうり(丞威)&まこと(濱田龍臣)が二人のポジション奪おうと全面対決!ダラダラ日常と緊迫アクションシーンが劇的な最上の娯楽映画。

前作以上に肩の力を抜いてダラダラと楽しむが吉の脱力を基調としつつクライマックスのアクションシーンで息を呑む、東映ヤクザ映画とか邦画の娯楽作品って本来はこういうのじゃん。改めて襟を正して感想を書くまでもない、観てあー面白かったで良いのだ。

でもね、菅原文太とか高倉健とは時代が違う。もう令和なのだ。最近の若い子ってスカしたシニカルな印象を外見から与えるけど、内面には熱くほとばしるものが走って・・・はいない。どことなく世紀末を感じるような刹那的な毎日、それもいいものだと思う。

ホント、こういう劇場から一歩出たら内容なんて全て忘れて満足感だけ残るような映画って、感想書いてたら寿命が縮むんじゃないかと思いつつ(笑)一言で表現するならば頭を空っぽにして楽しめばそれでいい。理屈なんて要らない。面白ければそれでOK!

前作と違ってシネコンとかでも上映されて、ほほう、結構メジャーな存在になったのね、わるきゅーれって!と思ったけど、実際に作品を観てみたらいい意味でのB級片感覚というかマイナー指向がきちんと踏襲されてて、シリーズ化が進んでもブレないで欲しいw

高石あかりも伊澤彩織も殺し屋としては何の成長もしていない、というよりむしろ退化してるんじゃないか、と思うくらいなんだけど(笑)演技力は格段に向上してる。それがいい方に出るのかというと素人っぽさがある方が良い場面もある訳で、なかなか難しい。

本作は軸をあかり&彩織が演じるいつもは全然ヤル気ありません的なイマドキのガールズ殺し屋コンビが主人公かっていうとちょっと微妙で、中2病が炸裂する丞威&濱田の迷コンビによる非正規殺し屋の悲哀みたいのが前面に出て、男子Vs女子の対決になってる。

前作の記憶の中では、単なる脇役として通り過ぎていった死体処理屋の田坂(水石亜飛夢)とか殺しブローカー須佐野(ラバーガール・飛永翼)のキャラを書き込んでたり、新キャラとして定食屋の看板娘さくら(安倍乙)や死体処理のアシスタント宮内(中井友望)とか結構賑やかに出来てる。

でもね、やっぱり丞威&濱田の中2病コンビが大暴走する姿がキッズリターンの「俺達もう終わっちゃったのかなあ?」 「バカヤロー、まだ始まっちゃいねぇよ」を地で行くようなクサすぎる演技に、さしものあかり&彩織コンビも気押されてる感じに見えた。

どこが一番の見所かって言うと、着ぐるみのあかりと彩織が殴り合い蹴り合いの喧嘩する場面では当然なく(笑)あかりが賭け将棋に負ける時の捧腹絶倒の顔芸でもなく(笑)やっぱり、殺し屋だけど拳銃使わない、彩織と丞威の素手で真剣勝負の場面だと思う。

気になったのは南中学バスケ部の先輩後輩で仲が良すぎる程に良い丞威と濱田の関係が友情を超えてひょっとしてゲイ?と思わせたり、同棲するあかりと彩織がテレビの恋愛ドラマの影響を真に受けて「これってプロポーズ?」愛の告白みたいの囁いて二人はレズ?

冒頭でね、濱田がカーステレオで全国子供相談室「海水は青いのになぜ手に取ると白くなってしまうんですか?」みたいな相談を熱心に聞いていて、ダイヤル変えた丞威と喧嘩になるリアルに中2かよwと思う衝撃のスタート。最初はあかりたん、彩織たんじゃないんだ。

そっからは、丞威&濱田コンビがあかり&彩織コンビをヒットしようと狙うだけのシンプル過ぎるストーリーなんだけど、あっちに脱線、こっちに脱線し丞威&濱田に関しては非正規殺し屋の悲哀、あかり&彩織に関しても正規殺し屋だって厳しいのよ、日常を描くw

丞威&濱田の悲哀としては、定食屋で千円の焼肉定食が自腹で食える日を夢見ること、そして濱田が看板娘の乙ちゃんに恋して告白したくて仕方ない(笑)濱田の乙ちゃんに対するプラトニックな愛情が恋愛として実るのか?これは本作の大事な見所なんですw

あかり&彩織の悲哀としては、のっけから389万円のジム使用料を請求されて目の玉飛び出る(笑)これは封筒を封すら開けない二人の方が悪い。社会不適合者の二人、町内会のアトラクションで着ぐるみに入ったり下積み生活は続く、正規だからって甘くないw

あかり&彩織のタマを取りたい丞威&濱田。女だからと舐めてかかって最初は逆に銃で撃たれて死体処理屋の水石がトラックに運び込むも脱走し、逆に水石が狙撃され瀕死の状態になる。逃げおおせた丞威&濱田は気を取り直し、濱田が乙に愛の告白をする覚悟!

ベイビーところが丞威&濱田が定食を喰ってる最中に隣の席にあかり&彩織が現れ、銃で狙撃しようとして発覚し、同時に濱田の愛の告白も途中でブチ切れ、彩織は肩を銃で撃ち抜かれて負傷、騒ぎを起こしたために行きつけの定食屋を出入り禁止になってしまったw

不死鳥の如く蘇った瀕死の水石にアシスタントの友望が檄を飛ばす「あんた、ここまでされてヘラヘラして何なのよ!」水石もすかさず反論「苦しい時ほど笑顔を見せるって!」←それは他人が言うもんだw水石はあかり&彩織に電話。「俺の胸ブチ抜いた奴をぶち殺せ!」

ベイビーあかり&彩織は丞威&濱田の廃工場アジトを急襲。ここから丞威と彩織の素手で一対一の真剣勝負が見応え大あり!キック、パンチ、廻し蹴り、背後を取って、頭突きで、とバリエーション豊かな攻撃の応酬は丞威が圧倒的に攻勢でダウンした彩織、もはやこれまでか?

銃声がパーンと鳴り、丞威が先に進もうとすると透明ガラスに遮られパントマイム状態。ここでスキあり!背後から襲い掛かった彩織が再び反撃を仕掛け、最後は猛烈な頭突きで丞威を倒した。そして脇腹を押さえて濱田も登場。死んだふり戦法を賭け将棋で学んだあかり。

一度は倒れ込んだ丞威と濱田だったが、起き上がりあかり&彩織「俺たち、仲間同士だったらウマが合ったかも知れないな」濱田は好物のマグロのチュールを取り出し4人で食べて大団円・・・とはいかず、あかりと彩織は拳銃を取り出すとズドン!獲物を始末したんだぜベイビー。

結局、非正規労働者は正規社員には敵わないのかよ、なんとも言えない後味の悪さを残しつつ、エンディングの劇伴とクレジットが回った後、部屋でダラダラくつろぐ彩織とあかり。「今度、手作り餃子パーティしようか。中に何入れる?」「マグロのチュールとか」

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