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高橋伴明「人妻拷問」

シネロマン池袋で、高橋伴明「人妻拷問」 脚本は西岡琢也。

最愛の妹(青木奈美)が暴漢にレイプされ自殺した復讐を誓う男(下元史朗)が暴漢の情婦たちのアソコに銃突っ込み連続殺人ラストの女(丘ナオミ)は凶暴な夫(大杉漣)に身体を蹂躙される哀れな身の上。同情する大杉がナオミに刺殺された瞬間の「ありがとう」。ロマンチックな赤い靴のレクイエムが心に刺さるニヒルでスタイリッシュな良作。

最愛の妹・奈美が3人のチンピラに輪姦され自殺し、復讐に燃える兄・下元が、「愛する人を喪った悲しみ」を分からせるため、チンピラの妻3人を一人ずつレイプしアソコに拳銃突っ込んで射殺。でも最後の一人ナオミだけは自分と同じ寂しい女だった。童謡「赤い靴」に着想を得た、繊細な心をの動きを描き出すデリケートな作品だ。

大杉漣さんが2018年2月に亡くなられて、翌2019年1月に横浜シネマリンの「一周忌特集上映」で初めて観て、その2年後の2021年1月にシネロマン池袋で2回目の鑑賞。この作品で、大杉漣さんはどんな役なの?と思って観ていると「人に歴史ありw」結構スゴイ映画だ(笑)

大杉漣のデビュー3作目である。1980年1月に高橋伴明「緊縛いけにえ」でデビューし3月に「噂の女 朝まで抱いて」そして本作が5月公開。渡辺護「変態(秘)産婦人科」で初の映画主演を飾るのが同年6月のこと。しかし本作は大杉漣のフィルモグラフィとしてどこまで認識されてるか?

大杉漣のデビュー作「緊縛いけにえ」は新東宝配給の作品だが、残念ながらプリントもデジタル素材も見つからないと聞いた。「噂の女 朝まで抱いて」は風間舞子主演のにっかつ買取りピンクでシネロマン池袋で観た。トリック盛り沢山ブラックコメディは映画史の片隅に隠れた佳品。

大杉漣の初主演作「変態(秘)産婦人科」は、日野繭子主演の新東宝作品、渡辺護監督の作品でフィルムセンターにフィルムが寄贈されているとのことなので、機会があればデビュー半年以内の大杉漣のフレッシュな姿が確認できる日もいつか来るのかなあ、いや、もう来ないかなあ(笑)

日本映画データベースに掲載されている出演者名は、丘ナオミ、青木奈美、青野リマ(出演者クレジットでは青野梨麻)そして実質的な主役である下元史朗の4人。大杉漣は丘ナオミのDV夫で獣のような徹底的なヒールで、ビリング上は5番手に相当、名簿から抜け落ちたのは悔しい。

デビュー直後の大杉漣は(本作の役作りからかもしれないが)雷様のような爆発パーマにちょび髭、伴明監督から借りたんじゃない?と思うような皮ジャンを身にまとい、仲間たちと罪もない女性をレイプしていたぶる、とんでもない悪党で、その後の煌めくオーラはまだ発せられない。

本作の絶対的な主人公は下元史朗で、天涯孤独二人きりで生活してきた愛する妹を大杉達に輪姦され自殺に追い込まれた。天使のような妹を凌辱したワルに復讐してやる!「タクシードライバー」のトラビスのような歪んだ正義感から犯罪に走る下元にとって、大杉は標的とする敵役。

本作のベースは、下元史朗と青木奈美が演じる不幸な兄妹、大杉漣と丘ナオミが演じるレイプ魔とその妻。四人の関係性で物語を描くのはいかにも西岡琢也らしい脚本だと思うが、下元と奈美の近親相姦スレスレの暗い愛情と、下元がナオミの家に押し入り同類相哀れみ共感する悲劇譚が軸。

下元と奈美、下元とナオミ。二組の男女の関係性が「愛されたい者」「愛したい者」の孤独をデリケートすぎる位にデリケートに描く物語の中で、大杉の役柄は「女と見れば襲って身体を蹂躙し、恐怖に怯える、苦痛によがる顔を見て喜ぶ真性サディスト」内面がほとんど描かれない。

大杉漣はこの作品ではあくまでもビリング5番手ですので(笑)ここから作品そのものの感想に入りますが、ホンを書いた西岡琢也のコンセプトである「・・・・・赤い靴のレクイエム」あの有名な、横浜が舞台の童謡「赤い靴」が作中に何度も流れ続ける、寂しい女の子の物語なのです。

映画のクオリティは高橋伴明のセンチメンタルかつバイオレンスな演出、長田勇市のカメラも素晴らしい、西岡琢也がコンセプトとして登場人物の中で寂しさ悲しさを感じる者だけに口ずさむことを許す、童謡赤い靴♪赤い靴履いてた女の子 異人さんに連れられて 行っちゃった♪

ビリング6番手が上野淳で、5番手の大杉漣とは出番に大幅な差があるも(笑)隣で起きた女性レイプ殺人事件の捜査で丘ナオミ宅に聞き込み捜査に訪れ「警官が犯人かもよ、証拠は無いけど」とからかわれ「警察を愚弄するな!」垣間見える反権力の描写で、上野淳は印象に残るw

冒頭、赤い靴を履いて夜の公園を歩く女性の足だけを映し出し、それを囲み廃屋に連れ去る男たちの足元を映し出す「赤い靴」押しの開巻から、廃屋で三人がかりで青木奈美を凄惨なリンチ、レイプするシーン。陰毛抜き取りマニアの大杉が奈美の陰毛鷲づかみ、身体がググっとのけぞる。

奈美は見ず知らずの男たち三人に代わる代わる犯された。特に陰毛引き抜きマニアの大杉にアソコの毛を全部むしり取られレイプされた。その後、アソコにサイレンのように赤く回転するカメラを挿入、放置された。そのショックでリカちゃん人形の股間に陰毛を書く、気が狂った奈美。

兄の下元は両親を亡くし妹の奈美と二人きりで慎ましく幸せに暮らしていた。でもある日、奈美は赤い靴を履いたリカちゃん人形のパンティを下ろし、マジックでアソコに陰毛を書く、キ〇ガイに変貌してしまった。下元は妹を輪姦したチンピラたちが許せない!あいつらに復讐してやる!

下元が取った行動は、チンピラへの直接の復讐ではなく、その情婦を襲うことだった。一人目は完了、二人目は青野梨麻で、彼女の陰毛をガムテープで引っこ抜き、そのまま仰向けに寝かせレイプした「これで許してくれるんでしょ」でも、下元の怒りは収まらず、アソコを銃で撃った。

下元は、アソコから大量出血して死んだ梨麻に寂しそうに呟く「生き恥を晒すより、死んだ方がましさ」チンピラ二人への復讐は終わり、最終ターゲットは妹輪姦事件の首謀者大杉漣の妻・丘ナオミであった。警察を装い銃で脅して侵入、そのままナオミを裸にして虐待を始めた。

全裸のナオミの前で、下元が取り出したのはガムテープ。これでナオミの陰毛を引き抜いてやる!と思ったら、( ゚Д゚)え、な、無いの?ナオミの陰毛は綺麗に剃り上げられていた。大杉は無毛フェチだったのだ。生えてくればすぐに剃ってやる!それが大杉のナオミに対する歪んだ愛情。

下元は仕方なく(←仕方なく、じゃねーだろw)ガムテープでナオミを縛り上げ、おっぱいをガムテープで絞り上げ、乳首を舌で転がし、巨乳を堪能した(笑)下元がふと気が付くと、ナオミは全裸でキッチンに立ち、料理を作っている(←裸エプロンより全裸の方が、やっぱりエロい)

下元は「旦那さん、帰って来るのか?」ドキッとするがナオミは「あなたと二人分」ナオミは独白を始めた「私、寂しいの。夫に愛してもらってなんかいない。奈美さんってどんな子だったの。その子が羨ましいわ」下元は「妹の話はするな!」と激怒。ナオミを四つん這いにした。

ワンワンスタイルのナオミに、ケツからトマトを押し付けぐちゃぐちゃに鮮血のようにアソコを染め上げる下元。でも、ナオミが抵抗せず自分を受け入れる姿に、思わず妹との悲しい顛末を語り始めた。下元は、妹がレイプされたショックで狂人となってしまったことに呆然としていた。

リカちゃん人形に陰毛を書き続ける奈美に「もう、やめろ!」と叫ぶ下元。奈美は「お兄ちゃん、抱いて!」雷鳴が轟き、全裸の二人は正常位で、近親相姦という超えてはならない一線寸前に。でも下元は勃起しない「お兄ちゃん、やっぱりダメだよ」奈美はそのまま眠ってしまった。

下元も眠ってしまい( ゚Д゚)と目が覚めると、隣で寝ていた奈美は、全裸のままリストカットし、手首から大量の血を流して自殺した。その日から下元は奈美がいつも口ずさんでいた童謡赤い靴を伝染したように口ずさみ始めた。彼がレイプ魔の大切な人に復讐する原動力は赤い靴だった。

ここまで聞いて「奈美ちゃん、可哀そうな人ね」ナオミは全裸になり、ベッドの上に誘った。下元は思った「あんたのことは、殺せねえ」二人は熱くFUCK。コトが済むと、ナオミは自分の夫である大杉との出会いと結婚までの経緯を、下元に語り始めたが、それは下元には意外な話だった。

バーのママをしていたナオミは大杉たち荒くれものの三人の客が入って来て戸惑い「もう、閉めたいんですけど」でも、大杉は「俺たち、挿れたいんですけどw」とニヤニヤ笑い、三人がかりでナオミを強姦、陰毛をむしり取り、そのまま腰をナオミの股間に当て、暴力的にレイプした。

そんな悪夢があったのに、ナオミはその悪夢の男・大杉とレイプ事件の半年後に結婚した。思わず「なんで?」と訝しがる下元。「それが女ってものかも知れないわね」「だから、あなたのような男が、女たちに復讐する気持ち、分かるのよ」下元はナオミと気持ちを通じ合えた気がした。

結婚してもナオミに酷いDVを続ける大杉。帰宅してもガン無視で食事中のナオミの服を脱がせおっぱいを嬲り、ベッドに転がして、ナオミの持っていた箸を取り上げ、近くにあったレコードを箸を使ってグルグル回転させアソコを嬲り、レコードに付いた愛液をナオミにしゃぶらせる。

大杉は、ナオミが自分に鬼畜変態行為をされて嫌がる姿に性的興奮を感じる変態、そしてナオミも大杉のそんな卑劣漢でハレンチな行為に性的興奮を覚える変態。結局は変態カップルだった。その一部始終を聴き、下元は「愛する人を失うことが一番辛いと思っていたよ」と肩を落とした。

チャイムが鳴り「お出迎えが来たか」逮捕を覚悟した下元が玄関に出ると、なんと入って来たのは帰宅した大杉。お出迎えが来たつもりが、逆に出迎えてしまったのだ(笑)大杉は全裸のナオミと下元を見て「何やってんだ、貴様!」と激怒するが、下元の手の銃を見て急にビビりだすw

下元が銃を構えて大杉を脅すが、卑劣な大杉は「この女、お前にやる!」下元が「奈美って覚えてるか?三人組にレイプされた女だ」に大杉は「俺は関係ねえ、知らねえ」の一点張り、「この女ならくれてやる!」取引することは忘れず(笑)怒髪天に達した下元は「殺してやる!」

下元が大杉に発砲しようとした瞬間、全裸のナオミがナイフを構えて二人に向かって走る。そして場面は変わり、取調室。逮捕されたナオミが「ええ、確かに私が殺しました」ここからラストでナオミがどっちの男を選択したか?何を仕出かしたのか?犯罪の瞬間が劇的に回想される。

大杉を撃ち殺そうとする下元を、ナオミはグサリを刺した。理由は「どんな暴力的な人でも私の夫。一人ぼっちになりたくなかった」ナイフで刺されて死ぬ瞬間、下元はナオミの耳元で「ありがとう」と呟いた。ナオミには確かに聞えた。でも次の瞬間、獣のような大杉はナオミを犯した。

バックから大杉に激しく犯されながら、ナオミは死んだ下元と目が合った。ナオミは発作的に、転がっている銃を手に取ると、大杉を撃ち殺した。呆然とする彼女の前に転がる、2人の死体。まるで「ナオミさん、俺の代わりに大杉を撃ってくれ」と言われたかのような、神の導き。ナオミは手錠をかけられ、連行された。

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