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城定秀夫「デコトラギャル 麻里」

城定秀夫「デコトラギャル 麻里」

デコトラギャルの麻里(香西咲)とその姉でソープ嬢のケイ(広瀬奈々美)麻里を一途に思う純情な三平(磯田泰輝)ケイのヒモ男でチンピラのヒロシ(吉岡睦雄)中々上手くいかない姉妹の恋路を、周囲が温かい目でアシスト、デコトラほとんど関係ないw性春映画の秀作。

デコトラギャルシリーズは、全7作。城定監督はそのうち6作を撮っており、これが5作目に当たる。全6作のうち4作は吉沢明歩が主演で、これが本流とすると、原紗央莉と香西咲が主演した2作はスピンオフ企画と言え、物語にも違うアレンジが施され、観ていて興味深い。

シリーズでは異色作で、麻里に恋する三平、麻里の姉のケイが恋するヒロシ。二組のカップルは、方や爽やかな恋愛、方やドロドロの恋愛。これは、男性側の目線から描いた異色作なのです。好きな女に対する男の純愛にヒリヒリ!

劇伴に流れる植木等「無責任一代男」のインスト。あれ?この映画の主人公ってデコトラギャルだよね、でも城定さんのこと、お姉さんの広瀬奈々美が真の主役なんでしょ!と思いつつ「でも、女じゃん!」でもジャジャーン!本作の主役、実は切ないチンピラ男の吉岡睦雄。

吉沢明歩が作り上げた人気シリーズのスピンオフ企画なのだが、これはあっきーとコンビでシリーズを盛り上げた吉岡睦雄に、すんごい良い役をプレゼントした、そういう作品だと思いたい。香西咲も魅力的だけど、ソープに堕ちても吉岡が大好きな奈々美の純情にも惚れる。

デコトラギャルシリーズには到底思えないほどwロマンポルノの香りが色濃く漂う作品で、もうトラック野郎のオマージュ的視点はほとんどない(笑)ヒロインをあっきーから香西咲に変えた時点で、何か新味が必要だった。単発の作品だからダブルヒロインに描いている。

父親は借金を残したまましんでしまい、母親はデコトラ転がして借金を返そうとして過労死。残されたのは咲(=麻里)と奈々美(=ケイ)の美人姉妹二人っきり。奈々美は大学進学を諦めソープに沈み、咲は母の遺志を継いでデコトラギャルになった。結構、重苦しい前提w

香西咲演じる麻里は高校時代はフダ付きのヤンキーでいきがってデコトラ転がしてるけど処女。一方、広瀬奈々美(本作は堀口奈津美名義)演じるケイはソープ嬢をしながらヒモ男の吉岡に寄生され、生活臭がプンプンする。まんま処女と処女性から遠い所にいる二人の対比。

冒頭、森羅万象が社長をしている運送会社の宴会。咲の姉、奈々美とそのヒモである吉岡、運送会社の従業員の磯田、福天、辻利明らが揃っている。ここに戸を「ガラッ」と開けて、咲が登場。彼女はずっと長距離トラッカーでデコトラを転がして来たが、不況の折り、しばらくは近距離配送に専念することにした。

咲は実家に戻って直ぐ、姉の奈々美と情夫・吉岡の異様な関係に気が付く。奈々美が親の借金をソープで身体を売って稼いで返しているのに、吉岡はパチンコで遊び惚けている。借金取りが押しかけてきて、咲は長距離で稼いだ金をポンと返済するが、まだ返すべき金は残っていた。

福天と辻の凸凹コンビは、可愛い咲に大興奮!香西咲は人気AV女優だが、本作ではセクシー路線は封印。あっきーと同様に、スタジャンにジーンズという男の子っぽいいで立ちで、処女性を強調。福天と辻が風呂を覗こうとして爺さんを覗いてしまう(笑)トラブルがあっても、咲は自分が覗かれたこと自体にピンと来ないのだ。

咲の幼馴染のナイーブでシャイな磯田。彼はずっと咲に片想いしていた。彼は森羅の運送会社で働いていたが、咲が帰ってきたことに大喜び。お似合いの二人なので、周囲は熱心にくっつけようとするが、当の二人はシャイな性格過ぎて、距離を縮められない。もうデコトラなんか、どうでも良くなってくる(笑)

福天と辻は面倒見がいいのでw磯田をソープに連れて行く。すると、出てきたのは奈々美「私はいやよ、姉妹どんぶりなんかw」磯田は結局、お風呂に浸かっただけで出て来る。でも、磯田は全く女に縁が無いわけではない。どころか、咲と互いに童貞処女喪失の直前まで行っていた。

高校時代の咲はスケバンで番長を張っていた。舎妹分がしじみ(ツインテールの髪型で、すんごく可愛い!)「咲さんってやっぱ、パネエっすよね。あの高校の番長、ヴァージンで番長、ダセエっすよね」でも、咲は、まだヴァージンであった・・・ここに磯田がちゃんと詰襟を着て登場「学校のプリントもらっといたから」でも、くしゃくしゃにして破り捨てる、咲。

咲と磯田は、一度だけ、凄くいい雰囲気になった。しじみに影響された咲は「おい、俺の部屋に来いよ」と磯田を連れ込み、ズボン脱げ!おっぱい揉んでみろ!と磯田をリードしながらも、処女で全然勝手が分からないまま、磯田にアナルに挿入されてしまい、あまりの痛さに絶叫するw

ここに、帰って来た姉の奈々美が涙目で報告「母ちゃんが、亡くなった」これを最後に、咲と磯田の仲も疎遠になっていた。でも、磯田は今も咲のことが好きだったし、咲も磯田のことが、ホントは素直になれないだけで、心の中で好きだった。

森羅社長は、咲と磯田に「おい、この映画でも二人で観て来いよ」前売り鑑賞券は「デコトラギャル 爆走!夜露死苦編」初めてきちんとデートすることになった二人だが、勝手が分からない。咲が鏡台の前をうろうろしていると、奈々美が「ああ!」と喜んで咲の服をコーディネート。

咲はこれまで来たことの無いようなフリルのワンピースに白い帽子で、もう「お嬢さま」ルック。咲が顔を真っ赤にして照れながら、デートの待ち合わせ場所に行くと、磯田も福天と辻にアドバイスされ、革ジャンにミリタリー柄のズボンにサングラス。背伸びしてお洒落した二人がメチャカワイイ!

「デコトラギャル 奈美」は3D映画であった(←ホントかよw)ポップコーンを食べている咲の膝に磯田が手を伸ばすと、タイミング悪く揺れる椅子(笑)結局、近づくことができぬまま、映画の感想を言い合う二人。咲は「すげー電飾だったよな、奈美のデコトラ」でも磯田は「あの、最後に荷台がパカッと開く奴、マンネリ気味だよね(←お前は全作観てたのかよw)

磯田は「奈美と菊雄、好きな同士なのにくっつかないよね。いったい、最後はどうなるんだろう」こんなこと言いながら、二人はラブホテルの前にいた。磯田はモジモジしながら「咲さん、疲れたでしょ」咲も「うーん、ちょっと疲れたかな」でも、ここでタイミング悪く咲の携帯が鳴る!

森羅社長からの電話だった。ドジな福天と辻が軽トラをエンストさせ、荷が運べない!咲はデコトラで急行し、荷を積んで(←デコトラに積むほどの量じゃねえw)配送先の旅館に到着。無事に荷物を届けたが、女将さんが「ちょっと休んでけば」元恋人だった森羅社長と口裏合わせしていたのだ。

女将さんは「ここ、混浴風呂もあるんですよ!」全裸で風呂に浸かったはいいが、距離は縮まらない咲と磯田(←混浴してること自体、凄いんですけどw)そして部屋に入ると布団はひとつだけ。思わず身体が硬直する二人だが、磯田が勇気を出して「咲さん!」と抱きしめ、押し倒す。

咲も、「お、おう」と仰向けのまま、磯田に身体を任せ、以前のようにおっぱいを吸われる。咲が気になって磯田のチンコを触るとデカい!Σ(゚Д゚)おい!こんなに大きいのかよ!」でも、磯田も咲の股間を触り「びしょびしょじゃないですか」「勝手に触ってんじゃねーよ」

咲の上にのしかかった磯田は正常位で挿入、で、またしてもアナルに入れてしまった磯田(笑)「いてえじゃねーか!」で、今度は間違えず、アソコに挿入。でも「イタイ、イタイ」と絶叫する咲。彼女は今日の今日まで、処女を守って来たのだった。そして、磯田も童貞だった。幸福な喪失の瞬間。

咲が幸せ一杯にお洒落な服のまま帰宅すると、奈々美が吉岡と大喧嘩していた。奈々美が貯金していた金を吉岡が勝手にギャンブルに使い込んだのだ。吉岡はチンピラだがヤクザではない。金魚すくいをやってるような、零細テキヤだった。金はほとんど持ってなかった。

奈々美が吉岡に激怒した理由、それは妊娠していたからだった。奈々美は職業柄、何度もお腹の子供を堕ろした。でも、医者の見立てでは、今度堕ろすと、二度と子供は産めない。吉岡は追い詰められた。そして、逃げるように家を出た。奈々美は、もう吉岡は帰ってこないと思っていた。

吉岡は奈々美が借金しているヤクザの組員になることを決心した。おじきに挨拶に行く。もう、奈々美の元へは帰れない。「無責任一代男」が流れる。これは吉岡のテーマソング。これまで無責任に生きてきた男の、好きな、好かれた女性に対するケジメをつける時であった。

奈々美は、どうしても子供が欲しかった。自分に片想いしている警官に、親権だけ認めてもらうよう、判子をもらった。警官は、奈々美と結婚して一緒にその子を育てたかった。なので親権証明書を口に入れて食べちゃう(笑)でも、奈々美の決意は変わらなかった。私は吉岡が好きなんだ。

吉岡はおじきの家に挨拶に行く途中、急に土下座する「やっぱり無理です、勘弁してください」何度も土下座するが、ヤクザが許すはずもなく、泥田の中に突き落とされ、ボコボコに殴られた。吉岡はこと、ここに来て初めて分かったのだ。奈々美と生まれて来る子供を大切にしたい、と。

吉岡が身体じゅう泥だらけで帰って来ると、デコトラをホースで放水して洗っている咲が、吉岡についた泥も放水して洗い流した。吉岡は奈々美を抱きしめ「俺の子だ、一緒になろう」こうして、奈々美は吉岡と誕生した息子「虎太郎」と3人、幸せになった。

隣の部屋には咲と磯田がいる。磯田は咲に大型トラックの免許証を見せた「これからは、一緒にデコトラに乗ろう」これは、咲に対するプロポーズであった。でも、翌朝、咲は磯田が寝ているうちに、気づかれぬよう部屋を出た。「またきっと戻って来る。それまで、元気でな」

咲がエンジンをふかした音で、磯田は目が覚めた。咲のデコトラを全速力で追いかける磯田。この疾走感が素晴らしい。走っているデコトラに何とか追いつこうと、「一緒にいたいんだ!好きだ!」絶叫しながら走る磯田の躍動は、パネエ(笑)

咲はデコトラを転がしているので、後ろから追いかけて来る磯田が何を叫んでるのか、全然聞こえない。デコトラを停め「なんだよ、全然きこえねーよ」磯田はいつもの磯田に戻ってしまった。咲は「いいから、乗れよ」泣きじゃくりながら「うん」と答え、助手席に飛び乗る磯田。二人の長距離運転は、これから始まる。

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