見出し画像

映画と主題歌について考察

ずいぶん前のことになる。テレビ放送された「ALWAYS 続 三丁目の夕日」の録画を、久しぶりに帰省した大学生の息子と見ようということになった。その録画は初めてのテレビ放映のものではなく何回目かで、たぶん「ALWAYS 三丁目の夕日'64」公開のタイミングでテレビ放送されたものだったように思う。

私は見ていなかったが、息子は中学生の頃友人と映画館で見ていた。その友人は自他ともに認める須賀健太似であった。涙なくしては見られぬラストシーンのあと、あの「花の名」のイントロが流れ、さあ今こそ余韻に浸るのだ、というそのとき、友人が「俺ってほんまに須賀健太に似てるよな」とかなんとか言ったせいで、息子に来たるべき余韻がどこかへ去ってしまったのだ、というエピソードを当時聞かされていた。

そんなこんなで、息子にとっては2回目の、私にとっては初めての「ALWAYS 続 三丁目の夕日」が始まった。泣くべきところで泣き、笑うべきところで笑い、会話を交わすこともなく食い入るようにテレビ画面を見つめ続け、ついに涙なくしては見られぬラストシーンがやってきた。はらはらと、ほろほろと涙を流すふたりが、さあ今一度涙を流すのだ、さああの誰もが知っているあのイントロ「ティーーーン ティーンティティーン‥」あれがやってくる、と息を止めたそのとき、唐突に、あまりにも唐突に放送が終わったのだ。「えっ?」

絶句とはこのことかもしれない。
あの日「えっ?」と言ったあのときほど息子と私の心が通じ合ったことは、ない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?