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アニソンDJなら知っておきたい豆知識5つ

皆さんこんにちは、ろーるすこーです。
偉そうに言えたご身分ではないのですが、私も曲りなりにもアニソンでDJをしたりしている人間で、恥ずかしながらここまで自己流でやってきたので、正しい情報ではないかもしれませんが、逆に「この辺知ってすごい役立った」という情報を今日はまとめてみたいと思います。
多分、楽曲派なら知ってるよね??といった感じですが。

▲Twitchでも話してみたので、こちらも合わせて紹介します。

アニソンの定義について

アニメを見ていれば放送時間の間にOP/EDの2曲は耳にすると思います。
これがいわゆる"アニソン(=アニメソング)"な訳なのですが、ここではDJとして楽曲的側面からアニソンの定義について考えていきましょう。

音楽であれば、ロックだとかジャズだとか、最近ならEDMのようにジャンルという定義が存在します。
それぞれがどんな音楽か?については皆さん大体わかってもらえると思いますが、ここではあえてクラシック音楽を一例に出させて頂きます。

例えば”交響曲”。よく言葉は耳にしますが、その定義はご存知ですか?
有名な所で言えばベートヴェンの交響曲第五番。運命と呼ばれるアレです。
代表的なフレーズでもある「ジャジャジャジャーン!」は、第1楽章の冒頭の一節に過ぎません。
原則として交響曲とは4つの楽章から構成されており、少なくともそのうちの1つの楽章がソナタ形式の曲のことを指します。
もちろん運命も第1楽章から第4楽章まであり、約34分くらいの曲になっています。

(ソナタって何?ドナタ??ヨン様?って人は上のリンクからどうぞ)

……とまぁ、こんな感じでロックとかジャズにも、そのジャンルを構成する定義というものが存在する訳ですが、じゃあアニソンの定義って何?という話なんですよ。

アニソンの定義は非常に簡単で、タイアップされているかどうか?
これだけです。
要するにOP/EDとしてアニメに使われているか?
TVサイズ(89秒ver)が用意されているか?と言い換えれることもできますね。

▲よっぴーさんことニッポン放送アナウンサーの吉田尚記さんのインタビューも"アニソンの定義"を知る上で非常に参考になると思います。

今でこそ"アニソン"って多種多様ですが、アニソンと言えばやっぱり水木一郎さんが歌ってた特撮系の主題歌のような昔ながら(オールドスクール)の楽曲を1番に想起する方も多いでしょう。

▲ムーへ飛べ / 水木一郎
TVアニメ『ムーの白鯨(1980年)』主題歌。もちろんアニソンです。

しかし、アニソンってタイアップされてさえいれば"アニソン"なので、ヒップホップのアニソンだって存在します。

▲To All Tha Dreamers / SOUL'd OUT
TVアニメ『焼きたてジャぱん(2004-2006)』ED2。音楽ジャンル的にはヒップホップです。

もっとニッチな所だとピコリーモ(と呼ばれるジャンル)のアニソンもありますよね。

▲Let Me Hear / Fear, and Loathing in Las Vegas
TVアニメ『寄生獣 -セイの確率-』OPテーマ。劇伴もダブステップでビックリしたアニメでした。

現代のアニソン事情は本当に複雑で、色んな音楽ジャンルやその要素が入り混じっています。

個人的には"アニソン原曲"と言われると、OP/ED/挿入歌のように『アニメの中で使われていた曲』のことを指していると捉えています。
例えばキャラクターソングとか、劇伴とか、これらは付随して"アニクラ"というシーンでは流れることもあると思います。

▲以前、私が出演させていただいた『あにらいく』は正真正銘のアニタイ原曲オンリーイベント。意外とそれだけでDJすることは無く、貴重な経験になりました。

アニソンDJは難易度が高い?

アニソンの定義については非常にシンプルだったと思います。
また、DJという行為も同様に非常にシンプルで、何かしらの音楽ジャンルに基づいてプレイすることがスタンダードだと言えるでしょう。
例えばハウスだとか、ドラムンベースだとか、クラブミュージック(DJ用/踊るための音楽)の中でもジャンルが細分化されており、自分の好きなジャンルでのみ貫徹してプレイする人がほとんどだと思います。

しかし前述の通り、アニソンってタイアップされているかどうか?だけなので、音楽の要素としての定義は無いんですよね。
(交響曲のように「楽章が〜」とか「ソナタが〜」のような定義のこと)

アニソンとひと括りにしても、そこにはヒップホップからロックからジャズからEDMまで、様々な音楽が混在しているので、普段は相いれないそのジャンルをmixしていくセンスが必要とされるのです。

更にその上、TVサイズ(89秒)でドンドン次の曲に繋いでいくスタイルがアニクラでは主流となっています。
普通のDJ(アニソン以外と捉えてください)では、90秒でバンバン曲を繋いでいくことはあまりしません。

つまり、実はアニソンDJって結構、難易度の高いことをやってのけているんだぜ。
という事だけでも頭の片隅に入れておいてもらえれば幸いです。

J-POPの定義も知っておこう

アニソンって様々なジャンルが混在してるんだよ、という話をしたばかりですが、じゃあ実際アニソンってどんなジャンルがどのくらいの割合で分布されてるの?という統計のお話をしましょう。

当然アニソンも音楽であり、商業作品なので時代の流れや売り上げに大きく左右されます。

例えば1970年代のアニソンと言えば、
ガッチャマン/ドカベン/宇宙戦艦ヤマト/ヤッターマン/マジンガーZなど…、
まぁ、少なからずどれか1つは聞いた事あると思います。

一方で、当時の日本国内のチャートに目を向けると、

▲おふくろさん / 森進一(1971年)
▲神田川 / かぐや姫(1973年)
▲恋のダイヤル6700 / フィンガー5(1974年)

フォークソング全盛期、いわゆる"歌謡曲"の時代ですよね。
そしてその時代に生まれたアニソンもやはり歌謡曲の流れを組んだ曲調が多いのはなんとなく分かってもらえると思います。

それでは現在の日本で流行っている曲って何でしょうか?

▲2010年以降はマジでAKBかEXILEしか売れてなくてビビりますね……。

答えは当然、J-POPとなる訳です。
今、歌謡曲聞いても「なんか古いよな〜」って感覚になると思います。
それは歌謡曲とJ-POPが全く異なる音楽ジャンルだからなのです。

話は戻って、じゃあアニソン全体のウチの何%がJ-POPで、何%がロックで、何%がヒップホップなの?
という話なのですが、まぁいちいち集計しているわけでは無いので細かな数字まではわかりません。
あくまで肌感ですが、少なからずとも過半数はJ-POPをベースとしたアニソンなんじゃないかと私は思っています。

つまり、J-POPの定義(曲の構造など)を知っておくことはアニソンDJをやっていく上でかなり有利になる、ということを覚えておいてください。

J-POPの構造について

J-POP(ジェーポップ、英: Japanese Popの略で、和製英語である)は、日本で制作されたポピュラー音楽を指す言葉であり、1989年頃にその語と概念が誕生した後、1993年頃から青年が歌唱する曲のジャンルの一つとして広く認識されるようになった。J-POP以前と以後の違いは、BPMの早さや洋楽の影響を受けたメロディ,コード進行,リズムにある。特に、昭和歌謡の時代の邦楽と比較して、グルーヴが洗練された作品は増加した。
引用|Wikipedia

困った時のwikipediaさん。つまりこういうことです。
また、"J-POP"という呼称についてですが…

1988年、10月に開局したばかりの東京のFMラジオ局、J-WAVEが「J-POP」の発祥となった。J-WAVEは「多文化的」「スタイリッシュ」な町六本木に存在しており、当初は邦楽を全く放送していなかった[1]。しかし1988年の年の暮れ[2]、同社の斎藤日出夫常務(2012年より社長)がレコード会社の邦楽担当者らと共に、J-WAVEで邦楽を流そうと言う企画が発足する。レコード会社側も「洋楽しか流さないJ-WAVEが流した邦楽には希少性があり、それを集めたコンピレーションアルバムを出す」などと言った目論見もあったという[3]
引用|Wikipedia

ラジオ局の『J-WAVE』がその発祥である、というのは意外と知られていない事実なのかもしれません。

J-POP以前/以後(=J-POPと昭和歌謡)とでは、主に洋楽の影響を受けたメロディ、コード進行、リズムなどにある。と記されています。
確かにJ-POPは洋楽(=ブラックミュージック。ジャズ/ブルースなど)の流れを汲みつつも、しっかりと日本らしさが確立されており、今では逆輸入で海外で一定の評価をされているアーティストも非常に多いですよね。
(puffyとか、perfumeとか、アイドル系に多い気がする)

▲J-POPがいかにジャズの流れを自分のモノにしていったか、これには"日本語"と"英語"の違いが大きく影響している、というのをジャズミュージシャンのPatrick Bartley氏が分析しているのですが、これは必見です。字幕オンにして全て目を通してください。

そして、散々引っ張りましたが、J-POPと歌謡曲の大きな違いは"Bメロの有無"と言えます。

歌謡曲の場合

▲木綿のハンカチーフ / 太田裕美(1975年)を例題として挙げます。大好きな曲なので。
上記リンクから聞けますので、クリックお願いします。

普通、J-POPなら「Aメロ〜Bメロ〜サビ」という流れだと思いますが、歌謡曲には基本的にBメロがありません。

Aメロ「恋人よ〜」
サビ「いいえ、あなた〜」

このようにAメロからすぐにサビに入ってしまいます。
これが昭和歌謡の特徴です。

J-POPの場合

▲SEASONS / 浜崎あゆみ(2000年)
あゆが最近、流行ってるので…。

Aメロ「今年もひとつ〜」
Bメロ「それでもいつか君に託した〜」
サビ「今日がとても楽しいと〜」

BメロってEDMで言うところの『ビルドアップ』なんですよね。

▲ビルドアップとは?という人は冒頭30秒だけ見てください。

要するにサビのメロディやフレーズをより効果的にするためのワンクッションみたいなもんだと思ってください。

J-POPは大体Aメロが32拍、Bメロが32拍、サビが64拍という基本構造になっています(曲によって違いはあります)。
なので、16拍とか32拍でループできる間奏部分にキューを打っておいて、サビが入ったら4回or2回ループさせる、というように覚えると結構色んな曲で綺麗に繋げると思います。

ポップスの曲の構造はこうですが、ヒップホップだったりロック、EDMではまた異なってくるので、それに適した繋ぎ方というのが存在しています。
ショートミックスなのか、カットインなのか、ロングで繋ぐのか?
次に繋ぐ曲に合わせたmix方法を取るとアニソンDJは飛躍的に上手くなると思っています。

その上で効果的なエフェクターの扱い方などを覚えると尚更良いです。

更に、アニソンは楽曲やBPMに縛られないワード遊びだったり、アニメ制作会社だったり監督だったり、色んな繋ぎ方で盛り上げることもできます。

なので一概に、音楽として上手に繋ぐことだけが正義ではないのですが、お客さんに音楽を聞かせる役目なので、やっぱり上手く繋げた方が良い(そりゃそう)と私は思っています。

音楽的側面とアニメオタク的側面の両面を持って、そのバランス感の上で踊らせたり、高まらせられるのが上手なアニソンDJなんだと私は考えています。

もっと知りたい人へ

この辺、めちゃくちゃ勉強になりました(私がお世話になったヤツ)ので、シェアしておきます。
時間を見つけて、実際に各音楽ジャンル毎に有効的なmix方法やエフェクターの使い方なども後日まとめてみようと思います。

▲音楽プロデューサー亀田誠治氏の著作。J-POPについてもっとも分析されている書籍なのではないでしょうか。
▲NHK Eテレで放送していた番組。曲の構造/コード進行などを豪華なJ-POPアーティストと学んでいく…という非常に面白い番組だったのですが。。円盤化してくれ〜!!
(youtubeにブート映像が少しだけうpされています(小声))


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