2/6 JR環状線京橋駅8時8分発

まだ夜みたいな気持ちで生きている。

進行方向と逆向きに座った席からは陽光が瞬きながら車内を照らす様が見える。光が煌めくだけなのにパッパッパッと音が伴うように、車内の人、座席、中吊り広告が光る。

寒暖の波がある毎日の中でも陽の出る時間だけは着実に早くなっていく。だから、覚えている光り方とは違う煌めきが目の前にある。

座席に空きが目立つ。こんな朝の通勤ラッシュで簡単に座れるなんて珍しい。人が少なくなる理由を分析しようとした。カレンダーを思い浮かべて、なにか行事はあったかと考える。いや、特にそんなことはない。豆まきも終わった頃だろうし、今日は連休の前後でもないただの月曜日だ。学生もいるから学校が休みになるためのまばらさでもない。

しばし考えていたが、鶴橋駅に着くと少ない乗客に動きがあって更に数を減らした。私は考えることの無意味さを感じて乗客にむけていた視線を漂わせた。次にピントが合ったのは肩こりと目の疲れをとるためのストレッチを紹介するドア横の広告だった。

私は手順通りにぎゅっと3秒、力を入れて目を閉じた。3秒数えてぱっと目を開けると輝く車内と走っていた。

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